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31-5.元通り?
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ルーイス王子を討伐してから、だいたい二週間が経った。
俺とセリカの生活は、以前と同じようで少し違う。
まず、この俺。クローム=アルケイディスが、約一年前より美貌が輝いていること。
そして、自ら不正のエーテル生成液を培養液にして、最初は助手のつもりで生み出した、エルフ型のホムンクルスであるセリカ。
まさか、婚約するまで惚れ込むとは思ってもいなかった。
だが、セリカと、セリカに組み込んだ『異世界レシピ』のお陰で、俺はルーイス王子達に画策されていた死のルートから外れることが出来たのだ。
そして、事件も無事解決を迎えた今は!
【TEST
TEST
右の培養管に料理名『オムライス』を作成
左の培養管に料理名『ミックスピザ(キノコなし)』を作成
続けますか?
YES/NO?】
事件が終わり、きちんとしたエーテル生成液を使い、俺は新しくシャインにエーテル培養液を作った。
作業にはセリカも加わり、培養液の出来上がりも確認してから入れ替えて。
シャインから、錬成料理を作成すべく、日々研究を重ねているのだが。
「……クローム。食べた分は動いてもらうからね?」
「……あ、ああ。勿論だ!」
「だったら、なんでこんなにも炭水化物が多い料理ばっかり作るの!」
「美味いだろう!?」
「美味しいけど、私の作る料理も美味しいでしょ!?」
「たまには、食べさせてくれ!?」
「たまにの、限度が超えてるよ!?」
そう、美味くなった。
美味くなり過ぎた。
初回に、セリカとシャインの再稼動に合わせて、大量に錬成料理を作ったのだが。
以前の培養液とは全く違い、美味過ぎたのだ!
それで、その日はセリカと大いに飲み食いしてしまい。結果的に少しばかり体重が戻ってしまったので。
今では、三日に一度にしているのだが。それでも美味さを覚えてしまった舌が疼いてしまうのだ。
セリカの作る料理ももちろん美味いのだが、体型維持を考えてくれてる料理が多いので、いくらか物足りない。
俺はまだまだ二十代盛りの年頃なんだぞ?
食べ盛りの真っ只中なんだぞ?
一年をかけて減量して来たのだが、ハメくらい外させても……うんうん、考えを読まれたのでセリカの顔が怖い!?
「じゃ、じゃあ。キノコの副菜かスープを入れてくれ。それでいいだろう?」
「むー。じゃあ、食べやすい温サラダも増やしておくよ」
「わかった」
とりあえず、出来上がった料理をシャインから取り出して、セリカは二つともワゴンに乗せて地下室から出て行った。
「……しかし」
俺は、『恵の豊穣』を見上げた。
たったひとつの欠陥品があっても、よく無事で稼働していたものだ。エーテル生成液の不正に気づかなかければ、俺はおそらくセリカに看取られて死んでしまっていただろう。
それに気付けたのは、このシャインとセリカのお陰だ。
「これからも、錬成に励んでくれよ?」
【はい、創造主】
シャインは緑柱玉のオーブをチカチカと光らせてから、俺に返事をしてくれた。
今日のところは、稼働する必要がないので休眠モードにさせて俺はセリカを手伝うべく、厨房に向かう。
俺の嫌いなキノコの香りはするが、セリカが工夫してくれた料理ならなんとか食べられる。
これを、愛ゆえにと言うべきか。
まだセリカに恋心を抱いていなかった頃には、純粋に感心していただけだが。
「クロームぅ。手伝って!」
「ああ」
誓約書に誓いを立てた通り、まだ半年以上はセリカと深くは触れ合えないが。
キスくらいはいいので、俺は日頃のセリカに感謝の意を示すべく。
軽く頬にキスしたら、異常に真っ赤にさせてしまったのだ。
「く、クローム!?」
「はは! いいだろう、これくらい?」
「ふ、不意打ちだよぉ……」
「なら、口の方が良かったか?」
「そう言う問題じゃなくて!?」
けど、口には出来なかった。
手早く作るのに、少し火を強めていた鍋の中身が吹きこぼれそうになっていたので。
触れ合うのは、一時的に止められてしまったのである。
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