【完結】癒しの巫女と十二神将はいつも腹ペコ三昧

櫛田こころ

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第51話 その感情は神将らにも

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 ★ ☆ ★






 伝わってきた。

 我らは、異界にとっては塵芥でしかなかった神の一端。

 形を整え、性のようなものを与えられ。

 使役する術師を巡り、ひとときの流れを得て成長してきた。

 十二の枝分かれ。

 十二は、もともとひとつでしかなかった。

 別れに別れ、力の形となったのは……まだ術師らが自由にたむろしていた雅の裏を支えていた頃か。


「……天一。我らの形も、崩れる時が来そうだな」
「…………そうだね」


 十二が少し減るとしたら、四獣の位置の手前である自分たちだろう。蕩けて流れて、まだ砂羽と顔合わせしていない他の十二神将らの中に戻るのか。

 哀しいがこれで良い。

 また生まれる可能性はいくらでもあるのだから。

 初めて、笑顔を見せてくれた記憶を持って行くだけでいい。

 天一が何よりも欲した、主の帰還を目の当たり出来たのだから。沙霧以上に朱音。ふたり以上に、最後の裏八王の姫に。

 散り散りになった、砂羽の姉の『魂魄』をかき集めるのも天一らの務め。それが異界に揃っていたのならば、元に戻すために動こうか?


「戻るなら、まず朱雀の方かもしれん」
「……うん。だよね、朱雀?」


 いることはとっくにわかっていた。

 泣き続けているのも、とっくに知っていた。どうやら、他の神将が消えたのも受け止めてきたのか。もしくは、玄武らのを見てきたのか。


「……別れてた、俺のかよ」
「我らはひとつの星」
「天一たちは、寄り添う星なの。また離れるときまで……預かって」
「……ああ」


 意識が蕩けていく。異界で保っていた、形すら蕩けてしまう。

 水でなく、炎となり……蕩けたそれは、粒と化して朱雀の口へと運ばれていくんだ。


『……またね、朱雀』


 砂羽の相対を支えてやれるのは、君しかいないんだよ。最強と最恐を整えてあげられる粒は、四獣の位置以外いないと思うんだ。

 裏は闇。

 邪を取り込んで浄化するのは、最恐しか出来ない。

 飲み込まれた時、朱雀の前にもう居たから気づけたんだ。


『『さらば、騰蛇』』


『砂羽』という贄姫と巫女姫を救えるのは、凶将の君しかいないんだよ。

 また別れて、いっしょにご飯食べれるように……主を支えてね?

 沙霧だけじゃなく、砂羽っちや白蛇様を。

 狼王様や朱音たちを。

 昔の桃源郷だった異界を……整えてね?

 我らが兄者の本性よ。


「……受け取った。その、願い。あいつとはきちんと向き合うからな! いっぱい飯、また食えるように保っててくれ!!」


 泣き顔は似合わないのに、情の深い男は好かれるもんね?

 四獣らが奪わないように、我らは楔となろう。だからこそ、一旦退くの……ごめんね、砂羽っち。

 朱雀の嚥下が終わったら、意識はすぐに封じられた。
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