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第11話 住処の場所は?
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審神者という方のお名前は『沙霧』様とおっしゃいました。
「砂羽、君の家は僕の屋敷にしよう。血縁的には、一応兄妹に近いからね」
「は……はい」
「不慣れは多いけど。十二神将の里の外れだから、彼らもよく来ると思うよ? ひとりじゃないから安心して」
「……はい」
沙霧様は優しく微笑んでいらっしゃいますが、本当に都波の家が恐れたと言う『審神者』には見えませんでした。私自身もその審神者として、あの両親に追い出されましたが。
どうやら、父が口にしていた『荒神』と言う存在が家にとっては沙霧様だったそうです。あまりにも強大な霊力によりあの井戸に投げられたそうですが、異界との繋がりでこの里まで到達されたと。
「僕も都波の姓は一応残してあるから、後見人としては最適だよ。ところで、砂羽は騰蛇が気に入ったの? すっごくしがみついるけど」
「! 申し訳ありません!」
衣にまだしがみついたままでしたので、すぐに謝罪しましたが。騰蛇様は気にされずに苦笑いされているだけでした。この里の方々は、やはり私を『忌避』の目で見ることがありません。
「で? 沙霧が出られたってことは、他の連中にも伝えたのか?」
「うん。砂羽の霊力が一旦抜かれたのは事実だからね? それが支柱に作用してたって判れば……都波の連中は焦るだろうね。自分らが崩落することに」
「ほーらく……?」
「簡単に言うと、自分で自分を滅ぼした。せっかくの金蔓がこっちに来たんだよ? 僕に知らせたことで、『偽浄化商売』は終わりってこと」
「……私、利用されてたのですか?」
役に立てていたことが、実は害悪だったことだと判れば……気落ちもせずにいられません。
でも、力を封じられたことで……この里に居られるのはうれしいと矛盾した感情でいっぱいですが。私は罪悪感をもっと持つべきではないでしょうか?
「僕も利用されてた。けど、今は里に来れて幸せ。しかも、『楔の枷』が外れたんだ。それは砂羽が来てくれたおかげだよ?」
「……え?」
「お腹もある程度満たされたようだし、次は『主神様』への挨拶だよ! 騰蛇、砂羽を支えて屋敷に行こう!」
「了解。月の蛇に仕えるお前が来れたんなら、主もお喜びだろう」
「そのために、僕が審神者にちゃんとならないとね」
「あの? ひゃ!」
難しいお話のあとに、騰蛇様にまた抱えられてしまいました。降りようにも、そのまま空を駆けていかれるのでしがみつくしかありません。
「ふふ。僕も置いてかないでー」
下から沙霧様のお声がしましたのに、すぐ横に来られました。黒い馬の背にそのまま乗っていらっしゃいました?
「お、落ちませんか?」
「大丈夫だよー。さあ、僕らの主に会いに行こう」
その言葉のあと、馬に合わせて騰蛇様が飛ぶ速さも強くなりました! びっくりして、舌を噛まないように口を塞ぐしか出来ませんでした……。
感覚的に、時計で五分経ったくらいでしょうか。急に風が止まったと思えば、騰蛇様が転けないようにと降ろしてくださいました。
「本殿に来るのは、俺も久しいな?」
「……お美しい、です」
目に見えた場所は、薄っすら霞が漂っても涼しくて気持ちの良い霊力が漂っているお社でした。
「ようこそ、月蛇の社へ」
こちらにおいでと言うように、沙霧様が手招きしてくださったので向かうことにしました。
「砂羽、君の家は僕の屋敷にしよう。血縁的には、一応兄妹に近いからね」
「は……はい」
「不慣れは多いけど。十二神将の里の外れだから、彼らもよく来ると思うよ? ひとりじゃないから安心して」
「……はい」
沙霧様は優しく微笑んでいらっしゃいますが、本当に都波の家が恐れたと言う『審神者』には見えませんでした。私自身もその審神者として、あの両親に追い出されましたが。
どうやら、父が口にしていた『荒神』と言う存在が家にとっては沙霧様だったそうです。あまりにも強大な霊力によりあの井戸に投げられたそうですが、異界との繋がりでこの里まで到達されたと。
「僕も都波の姓は一応残してあるから、後見人としては最適だよ。ところで、砂羽は騰蛇が気に入ったの? すっごくしがみついるけど」
「! 申し訳ありません!」
衣にまだしがみついたままでしたので、すぐに謝罪しましたが。騰蛇様は気にされずに苦笑いされているだけでした。この里の方々は、やはり私を『忌避』の目で見ることがありません。
「で? 沙霧が出られたってことは、他の連中にも伝えたのか?」
「うん。砂羽の霊力が一旦抜かれたのは事実だからね? それが支柱に作用してたって判れば……都波の連中は焦るだろうね。自分らが崩落することに」
「ほーらく……?」
「簡単に言うと、自分で自分を滅ぼした。せっかくの金蔓がこっちに来たんだよ? 僕に知らせたことで、『偽浄化商売』は終わりってこと」
「……私、利用されてたのですか?」
役に立てていたことが、実は害悪だったことだと判れば……気落ちもせずにいられません。
でも、力を封じられたことで……この里に居られるのはうれしいと矛盾した感情でいっぱいですが。私は罪悪感をもっと持つべきではないでしょうか?
「僕も利用されてた。けど、今は里に来れて幸せ。しかも、『楔の枷』が外れたんだ。それは砂羽が来てくれたおかげだよ?」
「……え?」
「お腹もある程度満たされたようだし、次は『主神様』への挨拶だよ! 騰蛇、砂羽を支えて屋敷に行こう!」
「了解。月の蛇に仕えるお前が来れたんなら、主もお喜びだろう」
「そのために、僕が審神者にちゃんとならないとね」
「あの? ひゃ!」
難しいお話のあとに、騰蛇様にまた抱えられてしまいました。降りようにも、そのまま空を駆けていかれるのでしがみつくしかありません。
「ふふ。僕も置いてかないでー」
下から沙霧様のお声がしましたのに、すぐ横に来られました。黒い馬の背にそのまま乗っていらっしゃいました?
「お、落ちませんか?」
「大丈夫だよー。さあ、僕らの主に会いに行こう」
その言葉のあと、馬に合わせて騰蛇様が飛ぶ速さも強くなりました! びっくりして、舌を噛まないように口を塞ぐしか出来ませんでした……。
感覚的に、時計で五分経ったくらいでしょうか。急に風が止まったと思えば、騰蛇様が転けないようにと降ろしてくださいました。
「本殿に来るのは、俺も久しいな?」
「……お美しい、です」
目に見えた場所は、薄っすら霞が漂っても涼しくて気持ちの良い霊力が漂っているお社でした。
「ようこそ、月蛇の社へ」
こちらにおいでと言うように、沙霧様が手招きしてくださったので向かうことにしました。
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