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第4話 宅配弁当提案
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「弁当提案?」
「ほら、自炊も大事だけど。自炊出来ない障がい者って結構いるでしょう?」
藍葉はまだ正規雇用のアルバイトに成りたてではあるが、提案はどんどんして欲しいと兄の美晴経由で上司からの指示は受けている。
ならば、藍葉よりも重度の『障がい者』『高齢者』向きのデリバリー提案はどうかと思ったのだ。藍葉も今の障がいが絶対とは言い切れないし、少しは外食負担を減らすように出来るならば。昨今の宅配弁当の『内容改善』へのレシピ提案をしたかったのだ。
介護のチェアがあれば、藍葉も多少は自炊が出来る身。ネットスーパーで食材を買い込む費用にと思っていたのはそのためだ。しかし、全てを素人の自分で提案などは資格がないために厳しいので、そこは企業側の方が上だ。
美晴は一瞬首をひねったが、妹の後半の言葉を聞いて『ああ』と頷いてくれた。
「なるほど、外注の一部をネットスーパーにしてもええけど……か。藍葉以外のモニターにもそれは使えるなあ?」
「……このポイ活、他にもモニターいるんでしょ? その人たちの時間を使うならデリバリーだけじゃ、健康面に良くない」
「俺にも痛い言葉やわ」
「だから、私が今『クルス』に任務として作らせようとしてるの」
キャラメイクは最初女性にしようとしたが、逆に『落ちぶれた男』だとどこまで出来るかと考え直した。
とある王国が崩壊し、生き残った兵士がファームを開花させるための『宝物の種』を運んで……藍葉が設計した場所に埋めさせた。起動させた途端、端末越しにファームの敷地内はその通りに展開。
外界との繋がりは無くなった代わりに、AIにさせた『クルス』と言う存在がこれからのファームを育てていく。と言うところまで来たのはいいが、レベルを上げるにはきちんとマニュアルを藍葉も整える必要が出てきた。
長くなったが、ここで藍葉側では『宅配弁当』のレシピ提案に行き着いたわけである。
単純に、献立を藍葉がデータで整えさせ、クルスに作らせることでレベル上げの経験値にしようとしているのだ。だから、先に畑のデータなどを『食材の成る樹々』『ファンタジー食材』と組み込んだ理由があった。
電子書籍の趣味がある藍葉には、アニメも嗜むのでメディアカルチャーは割と好んでいる。他のモニターも、おそらく取り込んでいるだろうが別に被りを意識したわけではない。
必要だから、ただそうしただけだ。
兄の業務内容は、開発半分と営業半分は教えてもらえていたので。妹がモニターのひとりであれば兄は上司として、真摯に打ち合わせしてくれている。今も、藍葉のタブレットを閲覧しながら、真剣にファームの外殻を調べてくれていた。
「……せやな。宅配弁当はチープなもんが多い。逆に、カロリー気にしたり、ちょい高価なもんやとモニターが付きにくいなあ? こりゃ、藍葉入れて数人限定がええかもな? 課長あたりに今からメールしとくわ」
「ん。あ、今だと普通の出前系しか繋がらない?」
「俺は今日午後休やし、たまにはそーゆーので語り合わん? 藍葉のポイ活、見てておもろい」
「そだね。たまにはいいかー」
なので、『クルス』にもベーコン果実を収穫させたので……フライパンで出来るパン生地と合わせての『ピザ』を作らせる任務を投入。
どれだけ経験値が出来るか楽しみにしつつ、リアルでは兄妹で世話になってる宅配業者でピザやサイドメニューを頼む。
ポイ活は基本『時間を対価にリワードを得る』ので、これはまだ普通の注文だ。
いつか、クルスの経験値から得られるポイント還元でどれだけお金になるか。ワクワクしつつも、今はきちんと料金を兄と折半するのだった。
「ほら、自炊も大事だけど。自炊出来ない障がい者って結構いるでしょう?」
藍葉はまだ正規雇用のアルバイトに成りたてではあるが、提案はどんどんして欲しいと兄の美晴経由で上司からの指示は受けている。
ならば、藍葉よりも重度の『障がい者』『高齢者』向きのデリバリー提案はどうかと思ったのだ。藍葉も今の障がいが絶対とは言い切れないし、少しは外食負担を減らすように出来るならば。昨今の宅配弁当の『内容改善』へのレシピ提案をしたかったのだ。
介護のチェアがあれば、藍葉も多少は自炊が出来る身。ネットスーパーで食材を買い込む費用にと思っていたのはそのためだ。しかし、全てを素人の自分で提案などは資格がないために厳しいので、そこは企業側の方が上だ。
美晴は一瞬首をひねったが、妹の後半の言葉を聞いて『ああ』と頷いてくれた。
「なるほど、外注の一部をネットスーパーにしてもええけど……か。藍葉以外のモニターにもそれは使えるなあ?」
「……このポイ活、他にもモニターいるんでしょ? その人たちの時間を使うならデリバリーだけじゃ、健康面に良くない」
「俺にも痛い言葉やわ」
「だから、私が今『クルス』に任務として作らせようとしてるの」
キャラメイクは最初女性にしようとしたが、逆に『落ちぶれた男』だとどこまで出来るかと考え直した。
とある王国が崩壊し、生き残った兵士がファームを開花させるための『宝物の種』を運んで……藍葉が設計した場所に埋めさせた。起動させた途端、端末越しにファームの敷地内はその通りに展開。
外界との繋がりは無くなった代わりに、AIにさせた『クルス』と言う存在がこれからのファームを育てていく。と言うところまで来たのはいいが、レベルを上げるにはきちんとマニュアルを藍葉も整える必要が出てきた。
長くなったが、ここで藍葉側では『宅配弁当』のレシピ提案に行き着いたわけである。
単純に、献立を藍葉がデータで整えさせ、クルスに作らせることでレベル上げの経験値にしようとしているのだ。だから、先に畑のデータなどを『食材の成る樹々』『ファンタジー食材』と組み込んだ理由があった。
電子書籍の趣味がある藍葉には、アニメも嗜むのでメディアカルチャーは割と好んでいる。他のモニターも、おそらく取り込んでいるだろうが別に被りを意識したわけではない。
必要だから、ただそうしただけだ。
兄の業務内容は、開発半分と営業半分は教えてもらえていたので。妹がモニターのひとりであれば兄は上司として、真摯に打ち合わせしてくれている。今も、藍葉のタブレットを閲覧しながら、真剣にファームの外殻を調べてくれていた。
「……せやな。宅配弁当はチープなもんが多い。逆に、カロリー気にしたり、ちょい高価なもんやとモニターが付きにくいなあ? こりゃ、藍葉入れて数人限定がええかもな? 課長あたりに今からメールしとくわ」
「ん。あ、今だと普通の出前系しか繋がらない?」
「俺は今日午後休やし、たまにはそーゆーので語り合わん? 藍葉のポイ活、見てておもろい」
「そだね。たまにはいいかー」
なので、『クルス』にもベーコン果実を収穫させたので……フライパンで出来るパン生地と合わせての『ピザ』を作らせる任務を投入。
どれだけ経験値が出来るか楽しみにしつつ、リアルでは兄妹で世話になってる宅配業者でピザやサイドメニューを頼む。
ポイ活は基本『時間を対価にリワードを得る』ので、これはまだ普通の注文だ。
いつか、クルスの経験値から得られるポイント還元でどれだけお金になるか。ワクワクしつつも、今はきちんと料金を兄と折半するのだった。
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