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第41話 こころの距離感とやら?
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少しくっつくようにして、タブレットを操作している成樹にやきもきしてしまっていたが。人との距離感がうまくつかめていない藍葉には慣れるしかないと覚悟した。
でなければ、もしこの先彼に告白して『恋人』になれるとしたら……これくらいの距離の詰め方など普通なのだから。ちらっと、横目で見たが真剣にタブレットを見つめるブルーアイの瞳がきれいにも見えるしかっこいい。これで、彼女がいないのに藍葉のようなひよっこを自宅に入れていいのか、期待に胸が躍ってしまいそうだったが。
下手に期待し過ぎると、あとの傷が少ないので……そこは軽めに。チキンと言われようが、健常者への憧れを捨てきれない藍葉也の対処法だ。
「うーん。かなりバグに近い状況じゃけど……まあ、広告演出ってことで記録にはこのまま残しとこうか」
「……広告に使うの?」
「おん。まあ、そんくらい派手に……は普通じゃ。ただ、リアルではまずあり得ん」
「……本当に、手術費用のキャッシュに使っていいの?」
「もちろん。つか、藍葉へこの企画持ちかけたんは……ほとんど、そのためじゃし」
説明しながらグラサンを外したが、素顔が見れるとますますかっこよくて心臓が落ち着かない。しかし今は、真剣な話し合いをしているのでちょっとピンクな思考は端に避けておく。
「……罪悪感?」
もう一度聞く形になってしまったが、成樹は苦笑いしながら首を横に振った。
「全否定したいところじゃが、ゼロじゃないな。俺の性格悪いせいで、藍葉にも酷い傷を負わせたのは間違いない。美晴も美晴で気にしとったし、上の俺らが藍葉くらいの子の未来を奪った……って、方の罪悪感が強いな」
「……そうなの?」
「きっかけひとつで、今があるんじゃ。俺も俺で……まあ、荒れとったし」
「不良とか?」
「髪と目は遺伝じゃからな。方言はもうしみついとんのに、生意気とか言われたんじゃ」
「かっこいいのにな」
「ん?」
「あ」
正直にそのまま告げると、成樹にぽかんと口を開けさせてしまっていた。相手が好きな人だから、彼が他人から否定されてきた時期を思えば……藍葉のなんて、足の障がいを理由にただただコミュニケーションが苦手だと、勝手にこじらせているだけだった。
なのに、今成樹の前で『普通に』会話出来ているのが不思議ではあるけれど、嫌ではなかった。とはいえ、ついつい思ったことを口に出してしまうところはよくなかったかもしれない。
成樹は髪色に近いくらい赤面になっていたし、藍葉も藍葉で顔が熱いから似た状況だろう。これはもしや、と思いつつも……関係というのを進めていいかもわからない。告白の展開にしていいのかと考えても、何分初めての経験なためにポイ活などの試運転のような感覚で進めていいわけがない。
もう一度、と成樹を見れば……なぜか口を真一文字に引き締めていた。藍葉のように何か口にしようと考えていても、内容までは予測できない。でも、ブルーアイの奥にはゆらりと燃える熱情のようなものが見えた気がした。
これは、もしかして、と口を開こうとしたのだが。
「おーっす! お兄ちゃんの登場やで!!」
タイミング悪いにしてもほどがある、というような展開で会話は終わってしまった。なぜなら、成樹が土産を持ってきた美晴にカツアゲのように胸倉をつかんだからだ。
「……おい。空気くらい読めや」
「おん? なんかあったん??」
「とぼけんな」
「へ? 俺、マジで知らんけど!?」
「嘘つけ!!」
などと、男同士の言い合いが始まってしまい、今度は藍葉がぽかんとする側だったが。それでもあのような対応を美晴にするのなら……脈有りとやらでいいかもしれないと、いくらか安心出来た。それくらいの順番を経て、次のステップに行くのは恋愛も仕事も同じだ。
だから、杖を使って、藍葉は美晴の足を強く押して転げさせたのだった。
でなければ、もしこの先彼に告白して『恋人』になれるとしたら……これくらいの距離の詰め方など普通なのだから。ちらっと、横目で見たが真剣にタブレットを見つめるブルーアイの瞳がきれいにも見えるしかっこいい。これで、彼女がいないのに藍葉のようなひよっこを自宅に入れていいのか、期待に胸が躍ってしまいそうだったが。
下手に期待し過ぎると、あとの傷が少ないので……そこは軽めに。チキンと言われようが、健常者への憧れを捨てきれない藍葉也の対処法だ。
「うーん。かなりバグに近い状況じゃけど……まあ、広告演出ってことで記録にはこのまま残しとこうか」
「……広告に使うの?」
「おん。まあ、そんくらい派手に……は普通じゃ。ただ、リアルではまずあり得ん」
「……本当に、手術費用のキャッシュに使っていいの?」
「もちろん。つか、藍葉へこの企画持ちかけたんは……ほとんど、そのためじゃし」
説明しながらグラサンを外したが、素顔が見れるとますますかっこよくて心臓が落ち着かない。しかし今は、真剣な話し合いをしているのでちょっとピンクな思考は端に避けておく。
「……罪悪感?」
もう一度聞く形になってしまったが、成樹は苦笑いしながら首を横に振った。
「全否定したいところじゃが、ゼロじゃないな。俺の性格悪いせいで、藍葉にも酷い傷を負わせたのは間違いない。美晴も美晴で気にしとったし、上の俺らが藍葉くらいの子の未来を奪った……って、方の罪悪感が強いな」
「……そうなの?」
「きっかけひとつで、今があるんじゃ。俺も俺で……まあ、荒れとったし」
「不良とか?」
「髪と目は遺伝じゃからな。方言はもうしみついとんのに、生意気とか言われたんじゃ」
「かっこいいのにな」
「ん?」
「あ」
正直にそのまま告げると、成樹にぽかんと口を開けさせてしまっていた。相手が好きな人だから、彼が他人から否定されてきた時期を思えば……藍葉のなんて、足の障がいを理由にただただコミュニケーションが苦手だと、勝手にこじらせているだけだった。
なのに、今成樹の前で『普通に』会話出来ているのが不思議ではあるけれど、嫌ではなかった。とはいえ、ついつい思ったことを口に出してしまうところはよくなかったかもしれない。
成樹は髪色に近いくらい赤面になっていたし、藍葉も藍葉で顔が熱いから似た状況だろう。これはもしや、と思いつつも……関係というのを進めていいかもわからない。告白の展開にしていいのかと考えても、何分初めての経験なためにポイ活などの試運転のような感覚で進めていいわけがない。
もう一度、と成樹を見れば……なぜか口を真一文字に引き締めていた。藍葉のように何か口にしようと考えていても、内容までは予測できない。でも、ブルーアイの奥にはゆらりと燃える熱情のようなものが見えた気がした。
これは、もしかして、と口を開こうとしたのだが。
「おーっす! お兄ちゃんの登場やで!!」
タイミング悪いにしてもほどがある、というような展開で会話は終わってしまった。なぜなら、成樹が土産を持ってきた美晴にカツアゲのように胸倉をつかんだからだ。
「……おい。空気くらい読めや」
「おん? なんかあったん??」
「とぼけんな」
「へ? 俺、マジで知らんけど!?」
「嘘つけ!!」
などと、男同士の言い合いが始まってしまい、今度は藍葉がぽかんとする側だったが。それでもあのような対応を美晴にするのなら……脈有りとやらでいいかもしれないと、いくらか安心出来た。それくらいの順番を経て、次のステップに行くのは恋愛も仕事も同じだ。
だから、杖を使って、藍葉は美晴の足を強く押して転げさせたのだった。
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