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第43話 幼馴染み集結して
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「……なんか、すんませんでした」
成樹にこってりと絞られるくらいに怒りを向けられた美晴は、藍葉にも足蹴ならぬ杖での打撃を受けたので、結構ぼろぼろ。とはいえ、土産の菓子などは無事に成樹が確保していたため。藍葉は成樹が茶などを淹れているのを美晴と待っているだけだった。ここは家主だからだと、手伝いは先に却下されているし、自宅とは違うので杖の補助つきで物を運ぶのは確かに難しい。
おとなしく、美晴と端末越しにまだ見れる『ポイントざくざく演出』を見ているしかなかった。
「……お兄ちゃんも、これ知らなかった?」
「知らんなあ? たしかに、広告出来そうなくらい面白い演出やけど……ポイント数えぐいな?」
「ほかのモニターさんとも確認した?」
「俺かて、さっき起きたばっか。それは今させて」
と、端末ではなくノートパソコンで対応するのか。かなり速いブラインドタッチに、教室に通いだした藍葉の目から見てもほかの受講者より速いのがよくわかった。これが学生と会社員の差なのかと、少し悔しいが十歳くらい年の差があれば仕事の差もあって当然だと理解しておくしかない。
「ほかにも、あったか?」
もう怒りは引っ込めた成樹も、人数分の飲み物を持ってきながら半分上司スタイルで美晴に聞いてくるほどだ。
「いや? 他は平均ポイントくらいしかなかったらしい。二、三人アクションかけたけど藍葉ほどやないわ」
「……『リーナ』ってひとのとこどうかな?」
「……アバターが女の名前なん?」
「うん。この間、初めて接触したの。ちょっとしかチャットできてないけど」
「……どうやろ? シゲ」
「聞けんことはないじゃろが、俺から聞いとくわ」
「はーい」
部下の部下でしかない藍葉は、上司の指示はきちんと聞いておくに限る。まだ只のインターンシップでしかないので、正社員でも準社員でもない。ただの大学生でアルバイトより少し上でしかないからだ。
「うーん。あと五人にも聞いたけど、移動設定してるやつ少ないしな。電車移動くらいのやつはまあまあ?」
「……見ても、いい?」
「おん。データやけど、ちょっとな」
覗かせてもらったが、情報処理のなんちゃらが多過ぎて映画とかドラマの小道具のワンシーンを見ている気分になった。目にはあまりよくないのと、情報共有してはいけないからとすぐに引っ込む。
「お兄ちゃん、ちゃんと会社員してたんだ……」
「ちゃんとって、なんや! まあ、十年離れてたら仕事の話とか出来んもんな? 藍葉はまだ学生やし、こっちおっさん近い年齢やし」
「シゲくんはおっさんじゃない」
「ん?」
「……けんど、俺も美晴とタメじゃから。年齢だけだとおっさんじゃぞ?」
「そぉう? お兄ちゃんは知らないけど、モテそうなおじさんって……イケオジっていうの??」
「は?」
「どやろなあ? 今時の壮年層の方がイケオジちゃう? 俺らの世代やとまだまだ二十越えただけやから、上からは若造扱いやし」
「え~?」
顔が少し若いとかそうではなく、『中年』がまだ若いのは時代錯誤のせいだろうか。藍葉は当然若くても、顔が幼いだけで今日は化粧をしていても『大人っぽく』は見えない。さっき、軽くメイク直しはしたが……ナチュラルメイクだけだと大人には見えないだろう。
「……そこは置いといて。藍葉のポイント還元やけど、俺の権限で上と掛け合って足の手術費にするんは……美晴も同意してくれるか?」
「その話な? 俺も同意見や、ふたりで頭さげよか」
「……それする必要あるの?」
「形式だけじゃ。心配なさんな」
「俺の妹のため……ってのは、もとから言っとったんや。おとんとおかんにも黙ってもらっててん」
「……ありがと」
十年の月日をかけて、溝はそれなりに深かった関係ではあったが。それが少しずつ埋まっていくのはこれからかもしれないと、今日だけで藍葉も心に沁みていくようだった。
成樹にこってりと絞られるくらいに怒りを向けられた美晴は、藍葉にも足蹴ならぬ杖での打撃を受けたので、結構ぼろぼろ。とはいえ、土産の菓子などは無事に成樹が確保していたため。藍葉は成樹が茶などを淹れているのを美晴と待っているだけだった。ここは家主だからだと、手伝いは先に却下されているし、自宅とは違うので杖の補助つきで物を運ぶのは確かに難しい。
おとなしく、美晴と端末越しにまだ見れる『ポイントざくざく演出』を見ているしかなかった。
「……お兄ちゃんも、これ知らなかった?」
「知らんなあ? たしかに、広告出来そうなくらい面白い演出やけど……ポイント数えぐいな?」
「ほかのモニターさんとも確認した?」
「俺かて、さっき起きたばっか。それは今させて」
と、端末ではなくノートパソコンで対応するのか。かなり速いブラインドタッチに、教室に通いだした藍葉の目から見てもほかの受講者より速いのがよくわかった。これが学生と会社員の差なのかと、少し悔しいが十歳くらい年の差があれば仕事の差もあって当然だと理解しておくしかない。
「ほかにも、あったか?」
もう怒りは引っ込めた成樹も、人数分の飲み物を持ってきながら半分上司スタイルで美晴に聞いてくるほどだ。
「いや? 他は平均ポイントくらいしかなかったらしい。二、三人アクションかけたけど藍葉ほどやないわ」
「……『リーナ』ってひとのとこどうかな?」
「……アバターが女の名前なん?」
「うん。この間、初めて接触したの。ちょっとしかチャットできてないけど」
「……どうやろ? シゲ」
「聞けんことはないじゃろが、俺から聞いとくわ」
「はーい」
部下の部下でしかない藍葉は、上司の指示はきちんと聞いておくに限る。まだ只のインターンシップでしかないので、正社員でも準社員でもない。ただの大学生でアルバイトより少し上でしかないからだ。
「うーん。あと五人にも聞いたけど、移動設定してるやつ少ないしな。電車移動くらいのやつはまあまあ?」
「……見ても、いい?」
「おん。データやけど、ちょっとな」
覗かせてもらったが、情報処理のなんちゃらが多過ぎて映画とかドラマの小道具のワンシーンを見ている気分になった。目にはあまりよくないのと、情報共有してはいけないからとすぐに引っ込む。
「お兄ちゃん、ちゃんと会社員してたんだ……」
「ちゃんとって、なんや! まあ、十年離れてたら仕事の話とか出来んもんな? 藍葉はまだ学生やし、こっちおっさん近い年齢やし」
「シゲくんはおっさんじゃない」
「ん?」
「……けんど、俺も美晴とタメじゃから。年齢だけだとおっさんじゃぞ?」
「そぉう? お兄ちゃんは知らないけど、モテそうなおじさんって……イケオジっていうの??」
「は?」
「どやろなあ? 今時の壮年層の方がイケオジちゃう? 俺らの世代やとまだまだ二十越えただけやから、上からは若造扱いやし」
「え~?」
顔が少し若いとかそうではなく、『中年』がまだ若いのは時代錯誤のせいだろうか。藍葉は当然若くても、顔が幼いだけで今日は化粧をしていても『大人っぽく』は見えない。さっき、軽くメイク直しはしたが……ナチュラルメイクだけだと大人には見えないだろう。
「……そこは置いといて。藍葉のポイント還元やけど、俺の権限で上と掛け合って足の手術費にするんは……美晴も同意してくれるか?」
「その話な? 俺も同意見や、ふたりで頭さげよか」
「……それする必要あるの?」
「形式だけじゃ。心配なさんな」
「俺の妹のため……ってのは、もとから言っとったんや。おとんとおかんにも黙ってもらっててん」
「……ありがと」
十年の月日をかけて、溝はそれなりに深かった関係ではあったが。それが少しずつ埋まっていくのはこれからかもしれないと、今日だけで藍葉も心に沁みていくようだった。
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