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第71話 ファームの領土拡大について
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「敷地やけど。俺と藍葉んとこ。あとは美晴んとこも『併せ』へんか?」
大学に車で迎えに来てくれた成樹の会話の切り出しは、ポイ活よりも『ファーム』に関係することだった。たしかに、以前のチェックインのポイントだけで、とんでもない金額をたたき出し……ファーム全体も敷地内で大幅にリニューアルしてしまった。
だからこそ、少し手狭になるくらいになった、敷地内の『屋敷』『風呂場』『畑』『樹木』のフィールドをどうにかしなくてはいけないのは当然だ。
ただ、一点不満があるとすれば。兄とはいえ美晴のファームもか、と思ってしまう。ポイ活のモニターは恋人の成樹とだけで運営しているわけではないから、人数が増えるのは当然でも。疑似世界のあちらでもふたりだけ、で生活する夢くらい見てもいいかと思うのは我がままだろう。
しかし、それを表に出さずに藍葉は頷いた。
「お兄ちゃん、シゲくんとは反対側にいるの?」
「いるけど。普段からアップデートの調整ばっかしとるから、運営は俺とかがほとんど兼任しとるんじゃ」
「キャラはいるの?」
「おん。アンドロイド風……異世界じゃとゴーレムだな」
「……なんで、ゴーレム?」
「自動運営するための垢だからじゃ」
「ああ」
SNSの予約投稿とかスパムではないように、複数のアカウントを持つようなアレに近いかもしれない。本垢はあれど、美晴の役割としてはあくまで運営全体のサポート。アップデートに必要な作業効率も素人目で見てもすごかったから……それなら、たしかにキャラを据え置く程度なのも頷けた。
「どうじゃろ? 俺んとこはすでに繋いだから、あとは藍葉んとこだけじゃが」
「いいよ。シゲくんとなら楽しく出来そう」
「ん」
作業自体は成樹の自宅に到着してから、アップデートのし直しに合わせて成樹からの『依頼文』とやらが端末に送られてきた。これを受け取ると、垣根が瞬時に減り畑などの敷地も合体してしまうのがデメリットくらいだ。
『屋敷』『風呂場』などはそのままの位置になり、藍葉がタップして文を開いたらまるでワープゾーンに突入したかのような演出が間にあったが。すぐに、垣根が少し減った『敷地』が端末内に出来上がった。
「すっごーい。ゲームの演出みたい~」
「ポイ活じゃから、一応ゲームなんじゃけど」
「あ、そっか。ついつい、仕事って思うようにしてるから」
「はは。藍葉監修の宅配弁当のメニューは上にも好評じゃ。なんなら、栄養士のアドバイザーと組んではどうかとも言われた」
「え? そんなことまでいいの??」
「食育発展に、貢献したようなもんじゃ。むしろ、提案を向こうからしてきたほどな?」
「……ご迷惑でないなら。日程、組みたいな」
「おう。向こうも女じゃ。気楽に話せるじゃろ」
「……女性?」
「誓って、ただの部下じゃ。藍葉以外考えられん」
「あ、うん」
聞き返しただけで、即否定なのがなんだか可愛く見えてしまい。つい、返事をすると頬に軽くキスされてしまった。お互いの『今』を共有できるところはしないといけない時期なので、そこばかりは仕方がない。
失言に近い言葉が気になると、それなりのフォローをしてくれる成樹が……やはり好きで仕方ない。諦めていた時期が長かったが、きちんと誤解が解けた上での交際はとても充実している。だからこそ、彼が藍葉以上に世の障がい者たちが順序立てて生活しやすい環境をつくるのには協力したかった。
自分自身が、一番『気鬱』が激しく、まだ服薬も安定してないからこそ……無茶をしたくない気持ちも強い。だがそれ以上に、成樹の隣は誰にも渡したくなかった。
大学に車で迎えに来てくれた成樹の会話の切り出しは、ポイ活よりも『ファーム』に関係することだった。たしかに、以前のチェックインのポイントだけで、とんでもない金額をたたき出し……ファーム全体も敷地内で大幅にリニューアルしてしまった。
だからこそ、少し手狭になるくらいになった、敷地内の『屋敷』『風呂場』『畑』『樹木』のフィールドをどうにかしなくてはいけないのは当然だ。
ただ、一点不満があるとすれば。兄とはいえ美晴のファームもか、と思ってしまう。ポイ活のモニターは恋人の成樹とだけで運営しているわけではないから、人数が増えるのは当然でも。疑似世界のあちらでもふたりだけ、で生活する夢くらい見てもいいかと思うのは我がままだろう。
しかし、それを表に出さずに藍葉は頷いた。
「お兄ちゃん、シゲくんとは反対側にいるの?」
「いるけど。普段からアップデートの調整ばっかしとるから、運営は俺とかがほとんど兼任しとるんじゃ」
「キャラはいるの?」
「おん。アンドロイド風……異世界じゃとゴーレムだな」
「……なんで、ゴーレム?」
「自動運営するための垢だからじゃ」
「ああ」
SNSの予約投稿とかスパムではないように、複数のアカウントを持つようなアレに近いかもしれない。本垢はあれど、美晴の役割としてはあくまで運営全体のサポート。アップデートに必要な作業効率も素人目で見てもすごかったから……それなら、たしかにキャラを据え置く程度なのも頷けた。
「どうじゃろ? 俺んとこはすでに繋いだから、あとは藍葉んとこだけじゃが」
「いいよ。シゲくんとなら楽しく出来そう」
「ん」
作業自体は成樹の自宅に到着してから、アップデートのし直しに合わせて成樹からの『依頼文』とやらが端末に送られてきた。これを受け取ると、垣根が瞬時に減り畑などの敷地も合体してしまうのがデメリットくらいだ。
『屋敷』『風呂場』などはそのままの位置になり、藍葉がタップして文を開いたらまるでワープゾーンに突入したかのような演出が間にあったが。すぐに、垣根が少し減った『敷地』が端末内に出来上がった。
「すっごーい。ゲームの演出みたい~」
「ポイ活じゃから、一応ゲームなんじゃけど」
「あ、そっか。ついつい、仕事って思うようにしてるから」
「はは。藍葉監修の宅配弁当のメニューは上にも好評じゃ。なんなら、栄養士のアドバイザーと組んではどうかとも言われた」
「え? そんなことまでいいの??」
「食育発展に、貢献したようなもんじゃ。むしろ、提案を向こうからしてきたほどな?」
「……ご迷惑でないなら。日程、組みたいな」
「おう。向こうも女じゃ。気楽に話せるじゃろ」
「……女性?」
「誓って、ただの部下じゃ。藍葉以外考えられん」
「あ、うん」
聞き返しただけで、即否定なのがなんだか可愛く見えてしまい。つい、返事をすると頬に軽くキスされてしまった。お互いの『今』を共有できるところはしないといけない時期なので、そこばかりは仕方がない。
失言に近い言葉が気になると、それなりのフォローをしてくれる成樹が……やはり好きで仕方ない。諦めていた時期が長かったが、きちんと誤解が解けた上での交際はとても充実している。だからこそ、彼が藍葉以上に世の障がい者たちが順序立てて生活しやすい環境をつくるのには協力したかった。
自分自身が、一番『気鬱』が激しく、まだ服薬も安定してないからこそ……無茶をしたくない気持ちも強い。だがそれ以上に、成樹の隣は誰にも渡したくなかった。
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