ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

文字の大きさ
74 / 131

第74話 ちょっとした打ち合わせ?

しおりを挟む
 炊き出しの納品に行ったときは、またさらにルドガーらに驚き以上の反応をさせてしまったが。

 とりあえずは、この三名で共同生活するような感じとして提案したら、大袈裟なくらいにため息を吐かれた。サナのギルドカードは後日用意するから待っててくれと言われたが、そこは別に気にしない。

 しゃべるゴーレムなど聞いたことがないとかぶつぶつ言うのも仕方がないだろう。クルスも『管理者』の存在を認知していなかったら、ルドガーと同じような対応をしていたかもしれない。


「これから……だが。お前たちが普段使っている『食材』について知りたい」


 炊き出しについては職員に任せ、ギルマスの執務室に案内されたクルスらは直球に聞かれたのがやはりそのことについてだった。

 どうする?と、目線だけで話し合うものの……サナはともかく、リーナは『任せた』ような表情をしていたので、仕方がないかと打ち明けることにした。


「……あの関所の向こう、ですけど」
「おう」
「……変わった、魔法のかかった敷地なんです」
「それくらいは、予想してたが。まさか、あれか? 食材まで魔物肉とか植物を扱っているとか??」
「いや……もっと、簡単な」
「どれくらい?」
「木の実自体が燻製肉とか……」
「…………ふたりのとこも、そうなのか?」
「面白い食材ばっかりだよ~?」
『ハイ。ワタシのところも』
「…………なら。料理しちまってから、持ち込むか。たしかに、それはそうだな」


 加工してから持ち込むように指示されていたのは、やはり正解だったようだ。商人でなかったクルスでも、今は馴染んで使用しているあの食材たちは……飢えをしのぐ意味で食べていたこともあり、あまり気にはしてなかった。

 だが、これからはそうもいかない。建物は別であれ『リーナ』『サナ』との共同生活が始まったのだ。年長者としても、集落のリーダー的な存在としても、ここできちんとルドガーと取引しないと『仕事』が出来ない。

 国の中枢がどうなっているのかまだよくわかっていないが、ここいら一帯の改善策を手伝うくらいには、ちゃんと外側の仕事も受けていかないと……『好き勝手』に生きるのはなにか違うと本能的に考えてしまうのだ。


「今日は持ってきてませんけど。今からなら」
「いや待て。それなりに目立つんだろ? 明日、ひとつでいいから布に包んできてくれないか? 俺だけが確認するようにしたい」
「……わかりました」


 リーナたちも特に突っ込んでこないので、三人は納品が終わっているであろう荷馬車の方に向かえば。なにか揉めているのか騒がしい喧噪のようなものが聞こえてきた。


「誰だよ!? こんな美味いもん。施しに見せかけて自慢してくるやつ!!?」
「ちょっと。その荷馬車は向こうの方のものなので、調べちゃ!?」
「貴族のボンボンとかの善幸のつもりか? あ゛??」


 人だかりが出来ているので、誰がどうだかがよくわからないが。冒険者登録している人間とかが勝手に騒ぎ出しているだけだろう。歩兵時代に門兵も経験してはいたので、似たような対応を受けたことはある。

 とはいえ、ガタイの凄さだとクルスは細っこいので対応し切れるか心配になっていると。横で舌打ちの音と同時に風が軽く吹いたような動きが。


「勝手なこと言うな!?」
「いで!!?」
「だっ!?」


 一瞬のことで、こっちもびっくりしてしまったのだが。どうやら、軽くキレたリーナが突撃したのかで騒いでいた連中を黙らせたらしく。あとからサナとそこに向かうまで、リーナが延々と数人の冒険者らに『施し』とも違う『仕事』を受けたことで説き伏せていたのだった。


(……リーナも、『仕事』を悪く言われるのは嫌やもんな?)


 なので、今回はクルスも連中には謝らずに『弁当無しやで?』と軽く注意すれば……さすがに腹が減っている人間に変わりないので、そいつらは『ごめんなさい』と深く腰を折ってきた。結局は、単純なところはそう簡単に変わりないということらしい。

 職員らが礼を告げてくれたあとは、ひとまずクルスの家の方でのんびり昼飯にでもしようとリーナの元気が戻ったのか、いつものように明るかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので

eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」 勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。 しかし、勇者たちは気づいていなかった。 彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。 アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。 一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。 そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……? 一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。 「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」 これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

追放された地味探索者、実は隠された伝説級スキルの持ち主でした~気付いたら無自覚に最強ハーレムを築いていた件~

fuwamofu
ファンタジー
地味で目立たない探索者アレンは、仲間に「足手まとい」と罵られパーティを追放された。だが実は彼のスキル【探索眼】は、古代英雄の力を見抜く唯一の能力だった! 鉱山の奥で偶然出会った少女を救ったことから、運命が動き出す。 魔王軍、古代遺跡、神々の争い——すべての鍵を握るのは「ただの探索者」だった男。彼は気付かぬうちに、世界を救い、そして多くの少女たちの心をつかんでいく。 地味だけど最強、無自覚だけどモテまくり。これは世界を変えた謙虚な英雄の物語である。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

処理中です...