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第75話 執刀医が決まりそう
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「藍葉! 足の医者さんが決まりそうやで!」
美晴がその日帰宅したと同時に、びっくり以上のニュースを持ち込んできた。成樹は今日こちらにいなかったが、この前会ったばかりの左藤とメールのやり取りをしていた最中。送るタイミングで誤字していないかを確認し、送信してから美晴の方へ声をかけた。
「誰? 有名な人?」
「向こう側やとな? 女医さんやからなんでも気軽に話して大丈夫やて」
「……なんか、女の人多いね?」
「左藤さんとのことか?」
「うん。今打ち合わせしてたとこ」
たまたまにしても、執刀医まで女性に固めたのが成樹の意見があったにしても……藍葉が出来るだけ健常者に近い『足』に戻れるように手を尽くしてくれているのだ。下手な探りを入れて、離別するのはもう嫌なのでそこはふたりでいるときに話し合おうと決めた。そのおかげか、あの探り合いのような話し合い以降、特にケンカのような状況にはならない。
「左藤さんなあ? 会社やと出来るだけ手作り弁当かと思いきや、昼間は好きに食べたいとかでカフェ巡りしとるらしいで? 今度いっしょに行ったらどうや?」
「まさに、今。その話題だった」
藍葉は卒業制作以外、単位を取得するゼミや講義が限られているのでほとんど『ポイ活ファーム』を運営していくくらいの日々だ。任務の打ち込み、その間の時間つぶしくらいで……食事も大概自炊。なら、週に一日か二日はどう?と誘いを受けたところ。
それなら、と美晴も藍葉が喜んでいる様子を見て頭を撫でてくれた。
「夏菜ちゃん以外、ほとんど女と交友せんかった藍葉がなあ? 成長したもんや」
「む。色々言いたくなるけど……たしかに、その通り」
「シゲって恋人も出来たし、順風満帆やんなあ? タメやけど、義弟になるのはおもろい」
「家族構成を面白いって……相変わらず、お兄ちゃんは誰もいないの?」
「むしろ、シゲ経由でピンとくる女おらんねん!!」
「……なに、ヒトの彼氏に惚れてくる人限定にしたの」
「参考にしよ思って!」
「なんか失礼だよ、それ!?」
「せやかて!? あいつに惚れて近寄ってくる女の方が多いのは藍葉もわかるやろ!?」
「うん。素敵でモテるのはわかる」
「やから、かんにん思いながら選んでいるわけや!!」
「自慢気に言うな!?」
美晴に男性的魅力がないわけじゃないのはわかっている。ただ単に、近くにいることの多い成樹がそれを横取りするかのように素敵過ぎなのも問題のひとつ。
藍葉もまあまあモテたことはなくもないが、この足のせいで断りもした。その兄だから、と顔はいいのだが中身が単に『男友達以上』になりにくい魅力が美晴の場合強い。
そのため、本人が『この人』という相手がなかなか見つからないらしい。もはや、憐れにも近い感情が浮かぶほどだ。
「とりあえず、受診日の候補くらいいくつかメッセで送ってくれん? それか自分で連絡するか?」
「あ、うん。連絡先教えてくれれば、自分で」
「付き添いは、俺とシゲメインでいくからちゃんと連絡ほしいわ」
「はーい」
この切り替えの早さには感服するところではあるけれど。豪胆にも受け取れるこの兄に相応しい女性が義姉になるのはどんな人なのか。この間の左藤さんは既婚者だからダメなので、社内結婚とやらも難しいなと思ったのだが。
「小鳥遊チーフ? モテモテだよ? 社内でも」
左藤との打ち合わせ兼食事会の日に、そう告げられたときは『本人の選り好みが激しいだけでは?』と逆に妹として心配になったのだった。
美晴がその日帰宅したと同時に、びっくり以上のニュースを持ち込んできた。成樹は今日こちらにいなかったが、この前会ったばかりの左藤とメールのやり取りをしていた最中。送るタイミングで誤字していないかを確認し、送信してから美晴の方へ声をかけた。
「誰? 有名な人?」
「向こう側やとな? 女医さんやからなんでも気軽に話して大丈夫やて」
「……なんか、女の人多いね?」
「左藤さんとのことか?」
「うん。今打ち合わせしてたとこ」
たまたまにしても、執刀医まで女性に固めたのが成樹の意見があったにしても……藍葉が出来るだけ健常者に近い『足』に戻れるように手を尽くしてくれているのだ。下手な探りを入れて、離別するのはもう嫌なのでそこはふたりでいるときに話し合おうと決めた。そのおかげか、あの探り合いのような話し合い以降、特にケンカのような状況にはならない。
「左藤さんなあ? 会社やと出来るだけ手作り弁当かと思いきや、昼間は好きに食べたいとかでカフェ巡りしとるらしいで? 今度いっしょに行ったらどうや?」
「まさに、今。その話題だった」
藍葉は卒業制作以外、単位を取得するゼミや講義が限られているのでほとんど『ポイ活ファーム』を運営していくくらいの日々だ。任務の打ち込み、その間の時間つぶしくらいで……食事も大概自炊。なら、週に一日か二日はどう?と誘いを受けたところ。
それなら、と美晴も藍葉が喜んでいる様子を見て頭を撫でてくれた。
「夏菜ちゃん以外、ほとんど女と交友せんかった藍葉がなあ? 成長したもんや」
「む。色々言いたくなるけど……たしかに、その通り」
「シゲって恋人も出来たし、順風満帆やんなあ? タメやけど、義弟になるのはおもろい」
「家族構成を面白いって……相変わらず、お兄ちゃんは誰もいないの?」
「むしろ、シゲ経由でピンとくる女おらんねん!!」
「……なに、ヒトの彼氏に惚れてくる人限定にしたの」
「参考にしよ思って!」
「なんか失礼だよ、それ!?」
「せやかて!? あいつに惚れて近寄ってくる女の方が多いのは藍葉もわかるやろ!?」
「うん。素敵でモテるのはわかる」
「やから、かんにん思いながら選んでいるわけや!!」
「自慢気に言うな!?」
美晴に男性的魅力がないわけじゃないのはわかっている。ただ単に、近くにいることの多い成樹がそれを横取りするかのように素敵過ぎなのも問題のひとつ。
藍葉もまあまあモテたことはなくもないが、この足のせいで断りもした。その兄だから、と顔はいいのだが中身が単に『男友達以上』になりにくい魅力が美晴の場合強い。
そのため、本人が『この人』という相手がなかなか見つからないらしい。もはや、憐れにも近い感情が浮かぶほどだ。
「とりあえず、受診日の候補くらいいくつかメッセで送ってくれん? それか自分で連絡するか?」
「あ、うん。連絡先教えてくれれば、自分で」
「付き添いは、俺とシゲメインでいくからちゃんと連絡ほしいわ」
「はーい」
この切り替えの早さには感服するところではあるけれど。豪胆にも受け取れるこの兄に相応しい女性が義姉になるのはどんな人なのか。この間の左藤さんは既婚者だからダメなので、社内結婚とやらも難しいなと思ったのだが。
「小鳥遊チーフ? モテモテだよ? 社内でも」
左藤との打ち合わせ兼食事会の日に、そう告げられたときは『本人の選り好みが激しいだけでは?』と逆に妹として心配になったのだった。
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