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第114話 並行の境目①
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ハル神は、藍葉がパスワードを再設定したのがすぐにわかった。速報のようにして届いたそれは、VRMMO『スカベンジャー・ハント』に半ばログインしている美晴にも理解できたのか、意識体の中で『お?』と声をかけてきた。
『なんや? 藍葉は寝てなかったん?』
「向こうで『起こした』んだよ。お前の悪友がな?」
『そやったぁ……。ナツ神言っとったな?』
「外部連絡に、クロード残して来ただろ? あいつと連携して今ファームの方にログイン出来たらしい」
『あの再設定は、シゲにもわかりやすいようにしただけなんやけど……』
「なら、藍葉にも解けるだろ?」
アラートのようにして広がるそれぞれの『狭間』というか『境目』への信号反応。
美晴が作ったプロテクトを解除しながら、まるで波打つようにしてアラートが各所に広がっていく。
ハル神は夏奈をナツ神のところへ、意識だけでも転送させたがこのタイミングであの体には戻っていないようだ。つまり、まだ義姉妹対面とは至っていないのだろう。
『新パスワードはあとで見るにしても……『加東奈月』が全然見つからんのなんでや!?』
「俺に聞くな。そっちの奈月とは基本シャットアウトされてる身だぞ」
『神さんなのに、ほんま万能ちゃうんやな?』
「言っただろう? 存在の定義と役割があるだけで、人間との差が少しあるだけだ」
難しく言えば、粒子の構成が違うくらい。
簡単に言えば、見えるか見えないの人間と死人との違いと似たものだ。
肉体の有る無し。寿命の良し悪しもないだけで、長く存在してるだけに変わりない。
ただし、同じ次元に居ず、他所のところは絶対だ。構成が同じところに居続ければ、混乱を招く以上の事態になってしまう。
それが、次元の在り方というもの。
なので、種族が違っても『万能』などあり得ないのだ。神を都合よく扱うだけの言い訳でしかない。
『え~? の、割にはドンピシャなタイミングで救難信号とか出しとるやん?』
「お前が死ねば、どの並行での『俺たち』も死ぬからな? 俺は神だから、しばらく『休眠』する形を取らされるが」
『……軸がどこなんよ?』
「表裏一体とやらで言うなら、俺とお前だ」
『あ~……生きます』
「そういうことだ。さて、パスワードを解除した藍葉へアクセス権限をどこまで許すか……兄らしく決めてやれ」
『そこ、あんさんの仕事ちゃうん?』
「許容範囲内にするのは、『同じ』だからわかるだろ?」
『……あー』
意識体の中なので、利き手をスライドさせれば目の前に音響設備並みのキーボードが。音楽を嗜んでいたのは学生時代くらいでも、それを活かしてエンジニアの技術も物にしている。適当に叩いているように見えるそれは、ハル神の耳にもひとつの楽曲のような音として届いてきた。
(……春の調べにゃ程遠いが、『芽吹く』ためのメロディーにはきちんとなっている)
美しく晴れ渡るように。
その文字を持つ者として、美晴が生まれたときに建物の外でそのように美しい情景が見えたと名付けたのは父親だ。
まさか、世界を揺さぶるくらいに『役割』を持つ人間として任命されたのを今は休眠状態なので知ることはない。
だが、同じようで違う存在が、その活躍を見守っている。
管理者権限をあのサーバーに繋げるように動いているように見えない美晴のそれは、一種の演奏会といっても言いくらい楽しげだった。
『よっしゃ!! 藍葉、好きに動きぃ! 兄ちゃんとして、『異世界ファーム』の全権限を一旦お前に預けるわ!!』
ジャン、とエンターキーのような動作をした途端、境目に亀裂が走ったのだがハル神は呆れずに見守るだけ。
これで、次へのステップアップが出来ると、今度は『加東奈月』の捜索を美晴に依頼することにした。当然、面倒と呆れ顔になったが。
『なんや? 藍葉は寝てなかったん?』
「向こうで『起こした』んだよ。お前の悪友がな?」
『そやったぁ……。ナツ神言っとったな?』
「外部連絡に、クロード残して来ただろ? あいつと連携して今ファームの方にログイン出来たらしい」
『あの再設定は、シゲにもわかりやすいようにしただけなんやけど……』
「なら、藍葉にも解けるだろ?」
アラートのようにして広がるそれぞれの『狭間』というか『境目』への信号反応。
美晴が作ったプロテクトを解除しながら、まるで波打つようにしてアラートが各所に広がっていく。
ハル神は夏奈をナツ神のところへ、意識だけでも転送させたがこのタイミングであの体には戻っていないようだ。つまり、まだ義姉妹対面とは至っていないのだろう。
『新パスワードはあとで見るにしても……『加東奈月』が全然見つからんのなんでや!?』
「俺に聞くな。そっちの奈月とは基本シャットアウトされてる身だぞ」
『神さんなのに、ほんま万能ちゃうんやな?』
「言っただろう? 存在の定義と役割があるだけで、人間との差が少しあるだけだ」
難しく言えば、粒子の構成が違うくらい。
簡単に言えば、見えるか見えないの人間と死人との違いと似たものだ。
肉体の有る無し。寿命の良し悪しもないだけで、長く存在してるだけに変わりない。
ただし、同じ次元に居ず、他所のところは絶対だ。構成が同じところに居続ければ、混乱を招く以上の事態になってしまう。
それが、次元の在り方というもの。
なので、種族が違っても『万能』などあり得ないのだ。神を都合よく扱うだけの言い訳でしかない。
『え~? の、割にはドンピシャなタイミングで救難信号とか出しとるやん?』
「お前が死ねば、どの並行での『俺たち』も死ぬからな? 俺は神だから、しばらく『休眠』する形を取らされるが」
『……軸がどこなんよ?』
「表裏一体とやらで言うなら、俺とお前だ」
『あ~……生きます』
「そういうことだ。さて、パスワードを解除した藍葉へアクセス権限をどこまで許すか……兄らしく決めてやれ」
『そこ、あんさんの仕事ちゃうん?』
「許容範囲内にするのは、『同じ』だからわかるだろ?」
『……あー』
意識体の中なので、利き手をスライドさせれば目の前に音響設備並みのキーボードが。音楽を嗜んでいたのは学生時代くらいでも、それを活かしてエンジニアの技術も物にしている。適当に叩いているように見えるそれは、ハル神の耳にもひとつの楽曲のような音として届いてきた。
(……春の調べにゃ程遠いが、『芽吹く』ためのメロディーにはきちんとなっている)
美しく晴れ渡るように。
その文字を持つ者として、美晴が生まれたときに建物の外でそのように美しい情景が見えたと名付けたのは父親だ。
まさか、世界を揺さぶるくらいに『役割』を持つ人間として任命されたのを今は休眠状態なので知ることはない。
だが、同じようで違う存在が、その活躍を見守っている。
管理者権限をあのサーバーに繋げるように動いているように見えない美晴のそれは、一種の演奏会といっても言いくらい楽しげだった。
『よっしゃ!! 藍葉、好きに動きぃ! 兄ちゃんとして、『異世界ファーム』の全権限を一旦お前に預けるわ!!』
ジャン、とエンターキーのような動作をした途端、境目に亀裂が走ったのだがハル神は呆れずに見守るだけ。
これで、次へのステップアップが出来ると、今度は『加東奈月』の捜索を美晴に依頼することにした。当然、面倒と呆れ顔になったが。
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