ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第113話 寝てられない

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「はぁ……ごちそうさま」


 非常事態だと言っても、食事が美味しいのに罪はない。温め返した宅配弁当が冷めきらないうちに食べ終えたが、今日も今日とて美味だった。

 極寒の中、ただでさえ障がいで歩きづらいのに体力を削られ、途中すぐに空腹となったのを我慢したから余計に美味しく感じたのだろう。ちなみに、藍葉が選んだのはチーズイントマトハンバーグ弁当だった。がっつりいきたい気分だったのと、これが最初に冷凍庫の中から出てきたから。


『……うらやま。そーゆーの、別の倉庫とかストック保管室に行かないとないからな?』


 タブレットの通話画面で見えるようにしていたので、クロードの方はカップ麺をすすっているところだった。しかも、これで二杯目とやはり若い男性ゆえに腹が減るのだろう。


「クーちゃんは、自炊しないの?」
『全然。妹はするけんど、俺ぶきっちょやし』
「妹さん? いたんだ」
『同じ会社の総務課におんねん。藍葉より少し上やな』
「あ、そっか」


 歳が近くとも、年上に変わりない。なんだかんだで、モニターの面々はともかく関係者の中では一番年下なのに、このフランクさでいいのか気にはなったが今更だ。

 二杯目をスープごと平らげたクロードが、向こうでキーボードを弾く音が聞こえたあとに。タブレットの方に通知がひとつきた。クロードからの空メールにリンクがひとつついているものだった。


『次は、『異世界ファーム』にリンクする方やな。ハル神がサーバー自体をネットワークで管理しやすいようにはしとったが、そこを小鳥遊兄が持ち前の技術で何重にもロックかけててん。これを解除して……向こうのナツ神らと接触出来たらええんやが』
「……うっわ。RPGとかのCG演出みたい」
『にせもんちゃうで。マジもんや』


 パスワードの入力画面にのブラウザが幾重にもあるように見えるそれは。まるで、メディア演出のそれと似ていたがきちんと解除出来るか不安で堪らない。というか、ここからクロードは解除するためのパスワードを知っているのだろうか。


「クーちゃん。ここからのパスワードって」
『……そこや。共通のパスワードまでは伝えれるんやけど。こっからのはさっぱわからん』
「か、勝手に入力してエラーにならない??」
『開発部門用のやから、そこまでならん。素人がパソコンで扱うような質問形式で簡易版を残すようにはしとるんやけど……』
「その望みの綱が、あたし?」
『頼む、藍葉!! 助けて!!』
「……とりあえず、適当に入れていけば質問出るんだよね?」
『おん』


 半角英数字で4‐6文字などで適当に何回か失敗してみたところ。パソコン教室でも習ったとおり、質問が出てきた。


【九州地方の特産でもある染物の名前は?】


「は?」
『おん?』
「いや、お兄ちゃんにしては至極まともな質問だなと……」
『あいつそんなちゃらんぽらんやったか?』
「シゲくんにツッコミ入れられるくらいには」
『んで、わかるん?』
「うん。……たしか、これ社会の授業で昔習ったから」


『答え』の項目に『藍染め』と入れれば、パスワードがメールを通じてタブレットに送信されてきた。パスワードの内容は簡易版ではなく、新規作成。

 もともと想定していたのなら、してやられた感はあるが、そこは仕方がないだろうと『aiba1027』と成樹が使ってもわかりやすいようにした。それをクロードにもメールにて伝達すれば『愛されとんな?』と苦笑いされてしまったが。

 そのパスワードを入力して、解除を展開させてみたのだが……タブレットの画面が一気に真っ黒になってしまった。
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