ポイ活で、異世界ファームを育成しよう!

櫛田こころ

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第131話 地底の鼓動

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『加東奈月』の別個体。

 地球サイドとは別の奈月は、会話していたもうひとりの自分と接触していたところから離れ……夢遊泳のようにして、自分たち側の世界災害について調べていた。

 突然の。

『氷河期』。

『大地震』。

『大津波』。

『地底火山の噴火』。

 これらが意図的に起こったわけではなく、惑星も『生命』ととらえるのであれば……人間でもいう体内外の『循環』とまったく同じだ。

 宇宙空間であれど、それは同じ。

 奈月はそれを数年前から、他の並行世界とのリンクが成せてから『予知』として信頼できる関係者たちに共有してきたのだ。宇宙開発基地とかそこにもリンクはさせているが、信頼できる関係者は少ない。

 だからこそ、あちらの奈月は『異常者』としての症状が身体に起こってしまった。情報過多が幻影と幻覚でいっきに処理できずに救急搬送されたわけである。

 お陰で、入院期間中なこともあって、こちらの別個体ともリンクは出来たが。代わりに『拘束器具』と『カテーテル』しなければいけないので実働は出来ない状況になってしまった。

 そのため、会社への休職届けは関係各社に任せるしかなかった。

 リンクしている『加東奈月』らのほとんども、似た状況になるのは『本人』だから仕様がない。


『……さて。どこだ? この『鼓動』の原因は』


 遊泳するようにして地底に潜り込めるのは、『意識体』だから。簡単に言えば、精神体とか幽霊状態。

 神の力を借りずとも、『前世』や『役割』を持つ存在であれば、条件が整えば使用可能な技能。

 奈月については『役割』を持つリンクが多いので、ごく簡単に使用できるのだが……使用後の疲労に加えて、記憶に残りにくいのがネック。だからこそ、リンクしている『本人』たちに記録を残すように頼んだのだ。

 その始まりが、クリエイター集団『クロニクル=バースト』のはしりである。

 空は凍えるような暴風があるだけ。

 山の緑は一斉に枯れたのかで、細い木はしおれたように雪に埋まっている。

 小動物らもだが、野生の大型のも氷の中に閉じ込められているので一種の仮死状態だ。それはほとんどの人間たちも変わりない。

 劇的過ぎる環境の一変に、体が追い付かないのはどうしようもない。ぎりぎり『起きて』いる者たちはいても避難場所で同じ道を辿るはずだ。


『……地球の再生と進化。それを成すのが今回の周期ってだけなのに』


 なにをそんなに慌てているのか。自分たちもその一部でしかない。

 しかし、その事実を知っているのもほんの一部。すべてに伝授したとて、戦争などを起こしている国々にとっては領土拡大などを増やすだけの好機にしか思われないだろう。

 そのため、奈月らにも予告なしに起きてしまったのだ。新年の明くる日そのときに。

 とにかく、地中の活動を確認するのに潜ってはみたが、例の『異世界ファーム』とやらの中でも活動が活発になっていたのは地底も同じだったようだ。

『何か』いるのはわかっているが、奈月と交渉してくれるかどうか。

 煌めきの先に見える、ぼやけた光源を目指して潜り続ければ……そこは、神秘的とも言える光の洪水があふれる『火山の中』だった。

 その中に、人間ではないが奈月に近いような『存在』がきちんといた。男は幻影、女は実体化。

 おそらく、並行のどこかでは人間である『神たち』なのだろう。


『や。俺は何をしたらいい? カミサマたち?』


 出会い頭で意味不明な言葉を告げてしまったが、それでも彼らには待っていた言葉だったのか。

 それぞれ顔を合わせてから、ふたりから笑顔をもらえたので……間違っていなかったらしい。


「この地底を」
『ゆるく眠らす子守唄を』
『作れって、依頼か? クリエイター集団にはもってこいの仕事だ』


 外野側に聞こえる『演舞』はなんとなく覚えがあるので、意識体ではあるが技能で衣装を整えてから……聞こえてくる音源に合わせて舞った。

 地底に響く鼓動が、地上を揺るがすことがなくなるためにと。
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