【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

文字の大きさ
76 / 108

第76話 ネコマタのツンデレ?

しおりを挟む


「……この美味なるもの。お主が……作りおったのか? ヒトの子供よ」


 空っぽになった器に指を向けた……焔の長老様は、私をまだジーっと見つめてきたわ。疑う……と言うよりかは、信じられないと言う感じ。

 綺麗な赤い目をこれでもかと見開いているんだもの。


「は……はい。わ、私だけでなく……クレハや皆さんの協力もあってですが」

「クレハ……? おお、そこに居るネコマタの孫か? 長老からは面白いことを聞いたが……そうかそうか」


 にっと笑顔になられると、器を私に差し出してきた。


「え?」

「おかわりなのじゃ!!」

「へ?」

「調子に乗りすぎやわ!? 焔の!!」

「いて!?」


 クレハが焔の長老様に、上からチョップをお見舞いして……長老様は床にごっちんこ。

 器の方は、クレハがぷりぷり怒りながらも奪取していたのでした。


「あちきだって、まだ食ってないんやで!? しかも、金払わんとお代わりやとぉ?!」


 クレハ、あなたもお金払ってないけど。

 でも、クレハがいなきゃニョロギアもだけど……蒲焼きも出来なかったものね? 一応は調理も手伝ってくれたからとやかく言いたくはないけど。

 でも、軽く失神しそうな勢いで、相手を打つのは良くないわ。


「……クレハ。まだあるから落ち着いて」

「…………せやけど。こいつ、草のを無断で」

「まあまあ、元は私のだし?」


 あれ? クレハって、草の長老様のこと嫌っていたんじゃないのかしら?

 ちょっと顔を覗き込むと……照れているのか、ほっぺが赤い。

 視線もちょーっと、草の長老様に向けられている?


(おやや? これは……まさかの??)


 いわゆる……ツンデレと言うやつかもしれない?

 草の長老様は……と言うと、苦笑いされている? と言うことは、もしや……表面上だけはクレハが一方的に嫌っているだけ?!


「ぶははは!? おっもしろー!」


 当然、私以外にもやり取りを見ていたザックさんはゲラゲラ笑っていた。スインドさんは……笑いを堪えているのか、軽く後ろを向いて口元を押さえていたわ。大笑い……スインドさんでもするのね?


「あ、あの! 長老様大丈夫ですか!?」


 呆気に取られていたけど……クレハが焔の長老様を失神させかけたことに変わりない! 急いで起こしてみると……見た目以上に軽くて、ほんのり温かかった。

 顔は軽くぽやーっとしてたが、私が声をかければ……目をぱちぱちとしてくれた。


「……ん?」

「大丈夫ですか? 怪我は?」

「……おお。すまなんだ。油断しておった」


 すぐ回復したのか、焔の長老様は私から離れ……着ている服のシワをぱんぱんと整えたわ。


「……すみません。クレハが」

「いや、何。妾も匂いに釣られ……我を忘れるように食ってすまなんだ。金……とやらが必要であれば、ここがネコマタの言っておった『店』と言うものか?」

「あ、はい」


 強く頷けば、長老様も……にこにこ笑顔で何度も頷いてくれた。


「であれば。あのような美味を振る舞う店……妾も認めようぞ? ちょいと……面倒な輩らが、やってくるかもしれぬが」

「面倒?」


 どう言うことだと思っていると……表から、草の長老様がノックをした時以上の、爆音が響いてきたわ!?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...