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第103話 愛を告げる①
しおりを挟む「ヒロ、話がある」
とある日の営業を終えた時に。
スインドさんから、真剣な表情で話かけられたのだ。
なんだろうと思っていると、厨房でなく裏口で話せないかとも告げてきたのだ。
「……どうしました?」
これだけ真剣であることと言えば……ひとつしか私は思い浮かばない。
彼が……この里から去ると言うこと。
チルットにある、自分のお店に戻ると言うことだ。
随分と滞在してくれたが……彼の本来の仕事はあちらだ。私が引き留めてはいけない。
私が質問すると、スインドさんは何度か目を泳がせたが……何故かいきなり、私の両肩に大きな手を置いたのだ。
「……言葉は、飾らない」
「はい?」
「……率直に言う。俺は……ヒロ。お前のことが好きだ! 異世界人とかの興味からじゃない……ひとりの女性として!!」
「え?」
今……信じられない言葉を言われたような?
びっくりして、変な声で聞き返してしまったが……真っ赤っかなスインドさんは、真剣な目で私を見つめてくるだけ。
と言うことは……つまり?
「……信じてもらえないか?」
私が黙っていると……スインドさんは自信がないように、声のトーンを落としていく。どれだけ……勇気を出して、私に告白してくれたのか。
私の空耳でないことを自覚すると、胸が熱くなり……鼓動が速くなっていく!! 背中から汗がブワッと出てきた!?
「え、え……す、スインド……さんが?」
「……嘘ではない。俺は……ヒロを愛しく思っている」
「えぇえ!?」
さらに愛の言葉を告げられたので、飛び上がりそうだったが……まだ手は肩に置かれたままなので出来ない。逃げ出すことも。
「料理への姿勢も……人間でもアヤカシでも真摯に向き合う強さも。姿形だけでなく……『ヒロ』だから、好きなんだ」
「…………きょ、恐縮……です」
いつから……そう思っていたか、聞けば答えてくれるかもしれないが。
私は……見向きもされていないと思っていたから、べた褒めの言葉達が嬉しくて仕方がない!
ちんちくりんだし、顔も年齢詐欺くらい童顔だから。
最初は子供に見られていたのに……今は、違う。
スインドさんは、『私』をきちんと見てくれている上で……告白してくれているのだ。
照れ臭くて俯こうとしたら、顎に手を添えられて上を向かされた!? イケメンさんのご尊顔が目の前に!!
「……ヒロがいいんだ。俺の言葉……受けてもらえないか?」
真剣だけど……どこか不安そうな色が見えた。
ああ、この人にそんな顔をさせているのは……私なんだと。
胸が熱い以上に切なく締め付けられる感覚を得る。ここは……応えていいか、告げられる前だったら悩んだけど。
スインドさんは、真摯に想いを告げてくれたんだ。なら、私も誠意を向けなくては。
だから……顎に添えられた手に、自分の手を重ねたのだ。
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