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第1話 能無し令嬢のスキルが?
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わたくし、レイシア=ファンベル=ラディスト。
一応ですが、公爵令嬢ですわ。ですが、容姿だけでなく。教養は公爵家として通常はあれど、特筆な箇所はありません。ましてや、生まれ持ったスキルはユニーク過ぎて、学園では秘匿にしておりましたわ。
中等部に進学しても、同じでしたわ。下手すると、市井の方が有益な人材が多くおりますのに……と、悩んだくらいですわ。
「……『洗濯』のユニークなスキルだなんて! わたくしは市井の人間ではありませんのよ!?」
公言出来たらどんなに良かったことか。ですが、神殿での結果は毎回同じ。両親が三年連続、伺った結果も同じだったようですわ。
ですから、わたくしは家でも肩身が狭く、教養も基準では見向きもされない。郊外の奥地に、遠駆けでぽつんとひとりも今更ですわ。汚れても、スキルは使えるので新品同様に出来ますもの。
「……はぁ。もうすぐ、婚約パーティーらしいですけれど」
わたくしなんて、身分以外のお飾り夫人でしょう。旦那様候補の貴族の方もあんまり評判のいい方でないから、愛人囲いは当然。というよりも、両親がわざと『不出来貴族』に押し付けただけですもの。配下となるための、家の道具。
たった、十五歳程度の女児にでもそれくらいの予測は出来て当然ですわ。
でも……ずっと、ずーっと操り人形も嫌ですわ!!
「あー、もう! 素のわたくしと過ごしてくださる殿方はいませんのことぉ!?」
「い゛!?」
もう一度、腹いせに叫べば……後ろからどなたか倒れ込んできた? 賊かと振り返れば、ボロッボロの服の……若い男性? 服装の割に、髪色はきれいな緑のグラデーションですけれど。
「……えと、大丈夫ですの?」
武器で構えることもなく、ただ頭を擦っているだけ。指先もひどく汚れておりますわ。服もよく見れば何日も洗っていないくらいに汚れたり、ほつれたりと。
「…………いや、何も」
「……その。服、とか。ひどく汚れておりますわよ?」
「…………仕事、のだ」
「……仕事」
合わせようとしない視線。アイスブルーの瞳の奥に見えた熱に、何故か心が揺さぶられます。だからなのか、手が動いてスキルの発動をしてしまいましたわ。
『貴方様の御身』
両手を動かし、左右に大きく広げ。
『その汚れた外側を、この水と共に洗い流そう』
泉の水を、少しだけ借りて……身体の表面と奥の汚れを洗い流しますの。ただし、汚れた水は捨てずに埋めるという手間はかかりますが。
「これで大丈夫ですわ。気分はどう……」
「……消え、て?!」
身綺麗になった殿方は、どうやら指先の汚れも落とせることが予想外だったのでしょうか。驚かれたあとに、わたくしと目が合えば!? 手を掴まれましたの!!? 婚約者を持つ淑女としてはあってはいけませんのに……拒絶が出てきませんでしたわ。
「あの……卑しいスキル、ですけれど」
「賤しくない。とても有益なスキルだ。……こんな風に白い手を見たのは、子どもの頃以来だ」
「あの……それは、ようございました?……名は?
「その……レイシア、と」
「…………では、親愛を込めて。レティ……と。俺のことはリデルとでも呼んでくれ」
「あ、はい……」
真剣に見つめてくださる殿方に、つい名前を答えてしまいましたが。そのあと、一応設けられた門限を思い出して……近くで待たせていた馬で屋敷に戻りましたわ。
早駆けで帰りましたが、リデル様の温もりが忘れられないですの。行動の素早さもですが、スキルで服が整った彼の笑顔も……素敵でしたの!
だから、わたくし決めましたわ!!
「没落令嬢になって、リデル様の仕事を手伝いたいですわ!!」
そのためには、婚約破棄されなければ。いっそ、わたくしが仕向けるのも良い手ですわ!!
一応ですが、公爵令嬢ですわ。ですが、容姿だけでなく。教養は公爵家として通常はあれど、特筆な箇所はありません。ましてや、生まれ持ったスキルはユニーク過ぎて、学園では秘匿にしておりましたわ。
中等部に進学しても、同じでしたわ。下手すると、市井の方が有益な人材が多くおりますのに……と、悩んだくらいですわ。
「……『洗濯』のユニークなスキルだなんて! わたくしは市井の人間ではありませんのよ!?」
公言出来たらどんなに良かったことか。ですが、神殿での結果は毎回同じ。両親が三年連続、伺った結果も同じだったようですわ。
ですから、わたくしは家でも肩身が狭く、教養も基準では見向きもされない。郊外の奥地に、遠駆けでぽつんとひとりも今更ですわ。汚れても、スキルは使えるので新品同様に出来ますもの。
「……はぁ。もうすぐ、婚約パーティーらしいですけれど」
わたくしなんて、身分以外のお飾り夫人でしょう。旦那様候補の貴族の方もあんまり評判のいい方でないから、愛人囲いは当然。というよりも、両親がわざと『不出来貴族』に押し付けただけですもの。配下となるための、家の道具。
たった、十五歳程度の女児にでもそれくらいの予測は出来て当然ですわ。
でも……ずっと、ずーっと操り人形も嫌ですわ!!
「あー、もう! 素のわたくしと過ごしてくださる殿方はいませんのことぉ!?」
「い゛!?」
もう一度、腹いせに叫べば……後ろからどなたか倒れ込んできた? 賊かと振り返れば、ボロッボロの服の……若い男性? 服装の割に、髪色はきれいな緑のグラデーションですけれど。
「……えと、大丈夫ですの?」
武器で構えることもなく、ただ頭を擦っているだけ。指先もひどく汚れておりますわ。服もよく見れば何日も洗っていないくらいに汚れたり、ほつれたりと。
「…………いや、何も」
「……その。服、とか。ひどく汚れておりますわよ?」
「…………仕事、のだ」
「……仕事」
合わせようとしない視線。アイスブルーの瞳の奥に見えた熱に、何故か心が揺さぶられます。だからなのか、手が動いてスキルの発動をしてしまいましたわ。
『貴方様の御身』
両手を動かし、左右に大きく広げ。
『その汚れた外側を、この水と共に洗い流そう』
泉の水を、少しだけ借りて……身体の表面と奥の汚れを洗い流しますの。ただし、汚れた水は捨てずに埋めるという手間はかかりますが。
「これで大丈夫ですわ。気分はどう……」
「……消え、て?!」
身綺麗になった殿方は、どうやら指先の汚れも落とせることが予想外だったのでしょうか。驚かれたあとに、わたくしと目が合えば!? 手を掴まれましたの!!? 婚約者を持つ淑女としてはあってはいけませんのに……拒絶が出てきませんでしたわ。
「あの……卑しいスキル、ですけれど」
「賤しくない。とても有益なスキルだ。……こんな風に白い手を見たのは、子どもの頃以来だ」
「あの……それは、ようございました?……名は?
「その……レイシア、と」
「…………では、親愛を込めて。レティ……と。俺のことはリデルとでも呼んでくれ」
「あ、はい……」
真剣に見つめてくださる殿方に、つい名前を答えてしまいましたが。そのあと、一応設けられた門限を思い出して……近くで待たせていた馬で屋敷に戻りましたわ。
早駆けで帰りましたが、リデル様の温もりが忘れられないですの。行動の素早さもですが、スキルで服が整った彼の笑顔も……素敵でしたの!
だから、わたくし決めましたわ!!
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