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第26話 回収した皮の使用目的
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クーの説明によると、ここからお台場を経由して太平洋側に移動するそうだが。
「AKIRAが成兄に言われて用意したっていう、鯨級の皮なんですけど。あれ、わてらが既に清掃済みですー」
「は?」
「……ばあちゃんに言われたのか?」
夢見の予知を通じて、調達するように指示を出してきた先代の編集。これまで表立って、活動をさせて来なかったクーとメメには既に別の指示を出していたのか。
侮れない手腕の持ち主だと思っていると、クーは苦笑いしながらグラサンを少し傾けた。
「えらい大変でしたよぉ。中身の配分もですけど、使用出来るように掃除とか加工とか」
「……中身?」
「中身って、本当に中身のことかね?」
「わてはともかく、おふたりも食ったっすよ?」
「「は!?」」
「AKIRAは外見変えて、かわるがわる提供してきたって言ってたような……臭み消しは十分して」
「ま、待て!? いつ、だ??」
「篠崎だったときのボクですら、覚えがないぞ?? そんな巧妙な手口をあの子はどうやって??」
「あ! スープに溶かしたはず?」
「「いやああああ!!」」
成が五条だった時に、何回か口にしたスープストック。中身をすり替えられるなど、異界側の操作であれば簡単に出来る。将来有望の、異界の編集長様方は『従兄弟』にも容赦ない。
クーを確実に自分がいる異界との境目に、到達するまでは身内すらも利用するのか。豪傑な性格がそのままであるのなら、それはたしかに間違いない。
「あははは。兄さんら、AKIRAの性格を考えたらわかることですやん」
「予想以上……だ。ボクも気付けないとは!」
「わーった。とりあえず、向かえばいいんだろ? その皮の『中』に」
「おおきに。表側の濁流んとこは、わてらが飛ばした『竜王』らが対処してくださるでしょって」
「俺らがしなくちゃなんねぇのは」
「一度は閉じさせた『皮』の回収だろう。異界で必要な『遺骨の接着剤』に使う重要素材だからなあ?」
「そゆこと」
特殊な結界をまとっている三人は、水に飛び込んでも冷たさを感じない。濁っている水の中は、上の濁流と違って内側は穏やか。
クーの案内を頼りに、下水道から川へ。川から海へと到達したときには。目的地であった『皮』は既に岸辺へと引き上げられていた。皮というかむしろ筒状のそれは巨大な蛇か龍にも見えそうだ。
そして周囲には、警察や自衛隊どころか人っ子ひとりも近づいていなかった。
「都内の救護に必死だろうなあ?」
「そうだな? これ災害とくれば、普通は人命救助が先だろう」
「ノストラダムスもかくや、の予言なんてあてにならんやろな? わてら異界の編集者が、人類のフォローを何遍もしてきたの知らないでっしゃろ?」
「秘密裏に『選別した存在』だけで、救助作業してたのに気づかんだろうよ」
そのために、外側の肉体を何十回も蕩かせて素材にしてきたことを、誰も気づかないようにしてきたのが。
先代を含める『異界の編纂部』なのだから。
塵となる外側の肉体が焼けても凍っても干からびても知りもしない。
最終的に『最愛の相手』の元へ還ればいいのだから。その覚悟無くして、表側である地球が崩壊しても再生を繕う編集者の立場でいられないわけがない。
「AKIRAが成兄に言われて用意したっていう、鯨級の皮なんですけど。あれ、わてらが既に清掃済みですー」
「は?」
「……ばあちゃんに言われたのか?」
夢見の予知を通じて、調達するように指示を出してきた先代の編集。これまで表立って、活動をさせて来なかったクーとメメには既に別の指示を出していたのか。
侮れない手腕の持ち主だと思っていると、クーは苦笑いしながらグラサンを少し傾けた。
「えらい大変でしたよぉ。中身の配分もですけど、使用出来るように掃除とか加工とか」
「……中身?」
「中身って、本当に中身のことかね?」
「わてはともかく、おふたりも食ったっすよ?」
「「は!?」」
「AKIRAは外見変えて、かわるがわる提供してきたって言ってたような……臭み消しは十分して」
「ま、待て!? いつ、だ??」
「篠崎だったときのボクですら、覚えがないぞ?? そんな巧妙な手口をあの子はどうやって??」
「あ! スープに溶かしたはず?」
「「いやああああ!!」」
成が五条だった時に、何回か口にしたスープストック。中身をすり替えられるなど、異界側の操作であれば簡単に出来る。将来有望の、異界の編集長様方は『従兄弟』にも容赦ない。
クーを確実に自分がいる異界との境目に、到達するまでは身内すらも利用するのか。豪傑な性格がそのままであるのなら、それはたしかに間違いない。
「あははは。兄さんら、AKIRAの性格を考えたらわかることですやん」
「予想以上……だ。ボクも気付けないとは!」
「わーった。とりあえず、向かえばいいんだろ? その皮の『中』に」
「おおきに。表側の濁流んとこは、わてらが飛ばした『竜王』らが対処してくださるでしょって」
「俺らがしなくちゃなんねぇのは」
「一度は閉じさせた『皮』の回収だろう。異界で必要な『遺骨の接着剤』に使う重要素材だからなあ?」
「そゆこと」
特殊な結界をまとっている三人は、水に飛び込んでも冷たさを感じない。濁っている水の中は、上の濁流と違って内側は穏やか。
クーの案内を頼りに、下水道から川へ。川から海へと到達したときには。目的地であった『皮』は既に岸辺へと引き上げられていた。皮というかむしろ筒状のそれは巨大な蛇か龍にも見えそうだ。
そして周囲には、警察や自衛隊どころか人っ子ひとりも近づいていなかった。
「都内の救護に必死だろうなあ?」
「そうだな? これ災害とくれば、普通は人命救助が先だろう」
「ノストラダムスもかくや、の予言なんてあてにならんやろな? わてら異界の編集者が、人類のフォローを何遍もしてきたの知らないでっしゃろ?」
「秘密裏に『選別した存在』だけで、救助作業してたのに気づかんだろうよ」
そのために、外側の肉体を何十回も蕩かせて素材にしてきたことを、誰も気づかないようにしてきたのが。
先代を含める『異界の編纂部』なのだから。
塵となる外側の肉体が焼けても凍っても干からびても知りもしない。
最終的に『最愛の相手』の元へ還ればいいのだから。その覚悟無くして、表側である地球が崩壊しても再生を繕う編集者の立場でいられないわけがない。
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