最強の剣がフランスパン!?〜最弱冒険者の無双冒険録〜

櫛田こころ

文字の大きさ
63 / 100
第十三章 堪能しつつも

第3話 報酬は石?

しおりを挟む
 色々順番があったはずなのに、他の冒険者の皆さんが僕とジェフさんが先に受け取るべきだと『どうぞどうぞ』と言ってくれた。

 なので、温泉地の支配人さんだと言うエルフさんの執務室に入ることになり……エクレアさんやマシュさん達よりもう少し歳上っぽい、エルフの男の人が出迎えてくださった。


「お名前は、リクシアの冒険者ギルドのマスターからお聞きしております。『シリウスの風』のおふたりが、此度の襲撃をしりぞけていただけたと」

「こっちは手助けだけだ。先に出てた連中がいなきゃ……被害が門の内側にまで広がっていただろうな?」

「……そうですね、おっしゃる通りです」


 いくら有名人でもそれを下手に自慢したり、誇張したりしない。ジェフさんのいいところであるし、僕も見習わなきゃって思う。

 とりあえず、報酬はジェフさんからの提案で他の冒険者さん達と同じでいいからとなり……支配人さんはちょっと苦笑いしていたが、ジェフさんの提案が有難かったのかも。

 奥に準備していたと思われる、報酬が入った布袋のひとつを僕らの前に持ってきてくださった。


(……これでふたり分??)


 ずっしりと結構な量が入っているように見えたけど……なんか、少ないようにも見える気がした。ちらっと、ジェフさんを見ても特に不満があるようには見えなかった。


「どうぞ、ご確認ください」


 僕ではなく、ジェフさんに袋を渡し……ジェフさんはすぐに封を開けると口笛を吹いた。


「見ろよ、トラディス」


 僕に袋を見やすいように近づけてくれると……中にはお金じゃなくて、ゴロゴロと赤い綺麗な結晶が入っていた。


「……これは?」

「魔鉱石。鉱石の一種ですが、扱いは魔結晶などと似ています。色の属性によって用途は違ってきますが、ここいらですと温泉地なので……質の良い炎の魔鉱石が採掘されるのです」

「トラディスは料理するだろ? しばらく、焚き火しなくても困らねーぜ?」

「おお!」

「……料理に、ですか」


 支配人さんからは苦笑いされちゃったけど……。僕はフランツに教わりながら料理はするし、生活魔法で火はつけられるけど……この魔鉱石だと微調整が簡単に出来るんだって。


【微調整楽やったら、煮込みとか……焼き豚とか出来るなあ??】


 フランツもやる気満々だった。ヤキブタと言うのは……よくわからないけど、フランツが美味しいと言うのは『超美味しい』に繋がるから絶対作ってみたい!!


「報酬には充分だ。数日はここでゆっくりしてっから、また何かあったら呼んでくれ」

「お心遣い感謝致します」


 ただ、お金も少し渡されたので……それはマシュさん達のお土産におまんじゅうを買おうとお土産屋さんに行くことにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。 そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。 母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。 双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた── 前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...