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第21話 大精霊の怒り

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 ほんま……腹立つわ。


(なんやねん……要らんからって、あんな場所にほっとくか?)


 俺もまあ、魔力があんまなかったから……精霊界と通じる『道』を繋いでしまったとは言え。

 ミラ……ミラジェーン言うあの姉ちゃん、つーか嬢ちゃんは……俺ら大精霊には、大恩人との運命的な出会いやったわ。

 簡易体に変化するくらい、魔力が枯渇しまくってて……もうダメや、と思ったとこに……落ちてしまった場所は、ミラの膝の上で。

 もふもふと、毛を撫でられるのは……普通やったら嫌なもんなのに、あの子に触れられるのは嫌やなかった。

 優しい触り方に、もっと触って~と思ったのが本音やった。

 せやから……嬉しかったんや。

 俺もやけど、他の大精霊連中だけでなく……精霊王の龍羽リュウハ様も救ってくれて。

 その龍羽様のお言葉で、里に住むことを許可された。本人の希望で……俺のことを選んでくれた。

 めちゃくちゃ嬉しかったんや!

 最初に出会ったのが俺やからかもだけど……そうだとしても、俺んとこで良い言ってもろた。

 だからこそ……ミラを好き勝手に扱ってたと言う、アホな王家の連中どもに腹が立っているんや!!


『……珀瑛ハクエイ様。恐ろしいお顔になられていますが』

「……しゃぁないわ」


 ポフムと一緒に、今はフーと風呂に入っとるミラのための食事の支度をしてる。

 最初はポフムだけに任せようとしたが、風呂には流石に一緒には入れんから暇なんで手伝いにきた。

 簡易体ならともかく……いや、もうあかんか? 男の俺がミラと風呂に入れるのは無理やな。つがいでも無し。

 とりあえず、ミラの喜びそうな食事が何かわからんけど……ヒトの子やったら好きそうな食べやすいもんを作っとる。

 半分は王家の連中にどんな仕打ちをしようか企んどるけど。


《お~い、ハク? 聴こえる~?》


 あと少しで出来上がるとこで、龍羽様からのテレパシーが届いてきたわ。


《おん。聴こえとります~。どないしはりました?》


 別にポフムの前やから口で返事してもいいけんど、なんや本能的にテレパシーで返した。


《今、こっちではあのモーディアスって馬鹿な国を観たんだけど……僕らが手出しするのも遅かったよ》

《と言いますと?》


 つまりは、俺らにとっては良い予感しかしなかった。


《まだ御言葉はいただけていないけど……神が既に動かれていたよ。ミラがあいつらに渡してた異界の財宝はすべて土くれに還った。戦争起こして滅亡になるのも、きっとすぐだね?》

《けんど、龍羽様としちゃ……それだけやと足りんでっしゃろ?》

《わかってる~!》


 なんせ、上司と部下とは言え……俺らは馬鹿騒ぎとかは大好きやからな?

 自然と考えられることは、ようわかっとるっちゅーねん!

 打ち合わせをしながら料理を仕上げ、テレパシーを終えてからすぐに……フーからミラの風呂が終わったとのテレパシーが届いてきた。

 なんか、びっくりするから気をつけてと言われたのがよぉわからんかったが。
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