王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編②

第126話 木材チップからの

 木材チップと言っても、要は薪を砕いたもの。

 厨房のコンロは魔石コンロというものだから、石がなくなるまで稼働するために薪の問題がない。

 薪は予備であるけれど、実質使わないらしいのでそこから選別するのをワルシュさんと運んでから開始しました。


「水分が多すぎてもいけないんですよね」
「香りづけ用にも、か。水っけが多いのはアーモンドの薪材がいいか?」
「向こうでも、桜のスモークチップは多いですし。使うにはいいと思います」
「あとはもうひとつ、くらいか?」
「紅葉する樹がいいですね」
「てーっと、メープルシロップの」
「それですね」


 もっと細かい手順があるかもしれないが、私もワルシュさんも初挑戦なので。やってみないとわからないからここはここで試行錯誤の結果を見るだけ。

 ちなみに、いつものベーコンとかの燻製は魔石でやるため、ワルシュさんも木材での燻製は初挑戦なのだ。


「どんくらい砕くんだ?」
「チップの名の通り、かなり細かく……なにか結界で保護して、飛び散るの防ぐとか出来ますか?」
「そんな発想。お前さんじゃなきゃ出来んな? 結界の活用法なんざ、普通思いつかん」
「そうでしょうか?」
「結界は『人間』を基本守るように、編み出されたとされているからな? ……とりあえず、薪一つを結界で包んで。中で砕くイメージか。面白い」


 ワルシュさんは元凄腕の冒険者さんだったから、なにかまた面白いことをゲイリッシュさんとかに言いそう。それはさておき、チップの製造は内側に風の刃を鋸状に展開させたことでうまくいき。

 もう少し、水分を飛ばしてから管理室内での燻製実験をスタートするのに、色々と準備していきます。

 私は、天板に燻製したい材料を。ワルシュさんは私のつたない説明で教えた燻製窯を作ってもらう。それぞれ準備が出来たら、換気口用の暖炉の通り道を確認して……燻製クッキングスタートだ!!

 といっても、基本的に火の調整と燻す煙の様子見以外……待つだけ。


「……地味だな。燻製といや、基本放置だからよ」
「そうですね。こうやって、待つ間になにか暇つぶしも考えてませんでした」
「んじゃ、イツキは火加減見てろ。適当につまむもん作ってやる」
「お願いします」


 ひとりだと事前準備がほかにも必要だと思い直し、誰かがいると暇つぶしをいくらか調整できるのはいいことだ。アーネストさんにも今日の燻製工程は話してあるから……あのお屋敷でもできるだろうか? 外の方がいいから、バーベキューぽくしてお茶会をしている間に作るのもいいかもしれない。

 色々期待が膨らむが、なかなか煙がうまく立ち上がらないのがもどかしい。いかに、現代では庶民にも使いやすいアウトドア用品が売っていたのだなと企業努力に感心するしかなかった。


「ま、今日は俺も休みにしてある。互いのレシピとかの情報交換もしねぇか?」
「いいですね。これぞ、親子って感じです」
「元上司と部下じゃねぇか?」
「まあ、私とワルシュさんは出会ってから、こうでしたし」
「だな。男女関係なく、付き合いやすい」


 とはいえ、好きになった相手は私の場合、アーネストさんでしたが。互いに、意識の端では火加減とか煙を気にしながら本当に情報交換に熱がこもってしまったのでした。
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