王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編②

第127話『異世界での燻製』

 待ちに待って、なんとか出来上がった燻製たち。

 メインはいぶりがっこ用のたくあんだったけれど、今回は隙間に入る分のとこにお肉も吊るしてある。張りぼてぽい簡単な燻し窯だけど、ワルシュさんの手にかかると本格的な機材に見えてしまうんだよね?

 そこは流石としか言いようがないし、現役宮廷料理長だからこその発想もあるだろう。元英雄級の冒険者さんだったから、野営もお手の物だったぽい。

 ともあれ、出来立ては熱いので燻したものから順に調理台に避難していく。たくあんはスモーク色というか少し炭っぽい表面に。チーズと卵は私には馴染のある色合い。お肉はよく見るベーコンなどへと変わっていた。


「おお、こう見ると圧巻だな?」
「問題は、味……ですね」
「漬物の方はイツキの舌次第だが……チーズも悪くねぇ匂いだ」
「まずは、チーズと卵にしますか」


 いぶりがっこ用のクリームチーズは待ち時間の間だけじゃ作れないから、昨日お屋敷で自作してきた。久々にあちらの料理長の目の前で振舞ったので、メモの集中力はすごかったな……。

 ワルシュさんとひとつずつ食べたけど、まずチーズは出来立てな分スモーキーさが強いけど……蕩けた触感が病みつきになりそうなくらいに美味しい!! スモークチーズって、いつも固いイメージがあったから……これは、おつまみの概念が少し変わりそうだ。意外にあたためても美味しいんだ納得出来るねっとりさ。


「卵もいいな? 見た目は色付いたゆで卵だが、塩気があるように感じるしツマミにもいい」
「単純なゆで卵より手間はかかりますけどね」
「これはリュカルドにも出すかどうか」
「……独り占めはよくありませんよ」
「悪友抜きにしても悪酔いはさせれんだろ? あいつ、飲むのはいいが酔いやすいんだよ」
「……ああ、なるほど」


 おつまみがあっても、美味しくてがぶ飲みしちゃうタイプ。それだとたしかに、少し検討した方がいいのは頷けるなあ……。


「肉はいいとして、問題の漬物か。……すげぇ色だな」
「普通、漬物を燻製する発想ないですからね?」
「異世界でも異質か?」
「むしろ、郷土料理に近いでしょうか? 広まったのはチーズとの組み合わせを見つけた人ですけど」

 まずは、たくあんだけを薄くスライスしてひと口。

 ワルシュさんはかなりためらっていたけど、まあ美味しくないわけが……という勢いでかじりついてくださった。


「……お?」
「これですこれ!! 本場ほどにはいかずとも、程よい塩気と燻製の香り!!」


 ただ酢漬けや塩漬けなどで塩っ辛くした漬物とは全く違う風味と味わい。触感はたくあんより少しやわらかいくらいに仕上がっているが、それは出来立ての今のうちだけ。

 コリコリと歯で噛む触感が楽しくて、これにほかの食材とどうマリアージュさせていけるか非常に楽しみになってしまう!! 見た目はあれだけど、お酒以外にサンドイッチにも出来るからヘルミーナ様にも食べていただこうと思うくらいの出来栄えだった。

 次は、そのマリアージュを組み合わせるべく、ワルシュさんと調理開始だ。
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