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番外編
第82話 未知なる食材達の扱い
しおりを挟む「もち米も使ってしまいましょう」
「……奥様。本日はどのようなお菓子を?」
「おはぎと言うものにします」
「「おはぎ??」」
私めもキルトも聞きましたが、全く聞き覚えのないお菓子の名前です。それも、東方大陸では存在するものなのでしょうか?
「以前お城でも作ったのですが、お餅と言うもののまわりにあんこをまとわせたモノです」
「……想像が出来ませんな」
「……ええ」
なにがなにやら、さっぱりです。奥様の世代より長く生きている私めでも知らないお菓子ですか。お茶のこともありましたが、本当に奥様は博識でいらっしゃる。
せっかくだから、と調理には私めも加わることになりました。見ているより参加するのも楽しいからと。
どちらも時間がかかるとのことなので、それぞれ煮炊きの準備が出来上がるまで……大変でした。思った以上に労力を使ったからなのです。
「んー。全殺しか半殺しか」
そして、待つ時間のときに、奥様が物騒な事を口にされました!?
「お、奥様? 今の言葉は」
「ああ。すみません。……お餅の部分の粒をどのくらいにしようか悩んでまして」
「……それが今のと?」
「粒を無くす意味合いでそう呼ぶだけです。本当に殺すわけではありません」
「「……そうですか」」
いやはや、私めもですがキルトも肝が冷えたでしょう。
しかしながら、『モチ』と言うものも食べたことがない私らでは奥様のお力になれそうにないですな。そこは、奥様のお好みで決められることになりました。
あんこと言うものが出来上がった時は、これもまた食べ物かと疑問に思いましたが……出来立てを味見させていただくと、その疑問がすぐに払拭しました。
「……優しい味わいと甘さですな」
ほっくりしているのに、しっとりと。
甘さは強めですが、嫌な甘さではありません。豆を甘くするのには最初驚きましたが、これは納得のいく美味しさです。
米と同じような穀物のライシと組み合わせると、どのようなお菓子になるのか非常に楽しみですな。
ライシの方は、熱いうちに穀物の粒を残さない方法となり……男手と言うことで、私めとキルトがそれぞれボウルに麺棒で潰していくと……失礼ですが、とりもちのようにねばっとしてきました。
これを先ほど美味しく感じたあんこと合うのでしょうか??
不思議で不思議でたまりませんが……少しずつ美味しさへの期待も高鳴ります。奥様のお料理は、やはり美味しいですから。
出来上がった頃には、ライシの粒が全く見えませんでした。
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