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第八章 過去の嘆き
256.今の両親(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
実際、その母親についてだったが。
父親の予想通りだったのだ。たしかに、四凶達の主人となった畏怖感もないわけではないが……どう扱っていいのかわからなかったんだって。
なにせ、嫁いで来て百年も懐妊の兆しがなかった待望の我が子だから……壊れてしまうんじゃないかって怖かったらしい。子供かと言いたいとこだが、私は赤ん坊でしゃべれないし……四凶達のようにテレパシーで思いを伝えることだなんて無理。
魔術も使えない赤ん坊が意思伝達だなんて難しいもの。とりあえず、両親がきちんと話し合ってくれたので私への育児についても少しずつ変わってきた。
まずは、四凶に席を……と言うか、私の影に潜ってもらって親子三人で話し合う席を設けたこと。
これについては、父親のロスバーンが頑張ってくれたみたい。仕事の合間に娘である私ともっと触れ合いたいからって……この人については親バカ丸出しだったわ。
「ほーら、ファルミア~? お父さんだよー? お母さんもこっちにいるよ~?」
積極的に抱っこしてくれるのは、ロスバーンの方だけど。母親のミスティアについては、キョドキョドしてばっかり。よく見ると、顔を赤くしたろり青くしたりしてるが、完全に拒否モードではないみたい。
赤ん坊をどう扱っていいかわからないのは本当みたいだ。
「あーうあーう」
なので、態とチャレンジさせるために私はちょっとだけ動く手を使ってミスティアの方に向けた。
すると、それを見てロスバーンも何故か喜んだ。
「ティア! 君を呼んでいるようだよ! おいで!!」
「で、ですが……バーン様」
「大丈夫!! 乳やりの時みたいにしてゆっくりでいいから。ね?」
「あーう(そうそう怖くない)」
今の世界とは違い、前世で生きた世界にはもう帰られない。
だから、成長して万が一頼りに出来るのはおそらくこの世界の両親と四凶だけだ。わだかまりは出来るだけ早いうちに取り除くべき。
ロスバーンがゆっくりとミスティアに近づくと、彼女は反射的に自分の手を抱っこする体勢にした。
「ほーら?」
ロスバーンがゆっくりと私を彼女に渡せば、ミスティアはしっかりと抱っこ出来た。
(なんだ、出来るじゃない?)
なので、精一杯笑ってやれば彼女も少しはにかんだ笑顔を見せてくれた。
「…………今まで、ごめんなさい。ファルミア」
重みに慣れたら、片手で抱き上げると空いている手で私の頭を撫でてくれた。初めてのことだわ。なんだかくすぐったい。
「ね? ムスタリカの家訓には……まだまだ先の事だから、精一杯愛していこう?」
「……はい」
「あう?」
え、なんか物騒なこと言わなかった??
たしかに、四凶って化け物が宿る家系だから、ただの貴族の家じゃないと思ってたけど!!
とりあえず、この日を境に育児放棄だけは無くなったわ。
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