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第八章 過去の嘆き
259.世界の慣わし(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
兄弟は……結局男の子だった。
だから、必然的に当主の継承権はその子に移ることになり……私は四凶の主として日々を過ごしていくだけだった。お見合い云々で、他家に嫁ぐ動きは全然ない。
と言うのも、この黑の世界には……少し特別な慣わしがあるらしく。簡単にお見合い云々で政略結婚とかが出来ないそうだ。
「御名手ねぇ……??」
魂の片割れ。
運命共同体?
そんな習慣が、ファンタジー満載のこの世界では根強いらしく。無理矢理の場合だと、唯一神である『フィルザス様』と言う神様からの天罰があり、大変で済まない事象になるそうだ。
市民もだが、特に貴族以上はどの国でも同じなんだとか。それに、この世界でのある意味頂点の位置する神王国でも……それは同じらしい。
神ではなく、神霊って神様の分身のようで違う存在の子孫達である……この世界の人間の仕組みだと、余計に恋愛は慎重だそうだ。
それは四凶を束ねる私も同じなんだって。
「そんな乙女ゲームとかでありそうな世界だなんて……」
ここって、ゲームの世界? とか、四凶達に聞いたことはあるが、全員首を横に振った。
「連なる世界」
「異なる世界ではあるが、神は縁深き存在」
「虹の世界の下の下」
「ファルがいたのは、蒼の世界」
だと言われただけだが、よくわからない。
窮奇もだけど、渾沌と檮杌とかは言いたいこととかが時々謎めいているから意味不明。
だけど、一万年以上も生きるんだから……贅沢に時間はあるから料理も色々作りたい。両親達は弟のバスティスにかかりっきりだもの。私を蔑ろにしないとは言っていたけど……少しずつ離れていっている。
前世の記憶持ちだから、子供らしさはないはずなのに……この世界に染まってきたのか、年相応の精神状態にもなっているかもしれない。
少し寂しくて、辛い。
学園でも相変わらず、ひとりぼっちだから……せめてもの楽しみは、自分で作ったお弁当とデザートを四凶達と食べることだったわ。
「やあ! 可愛いらしい後輩のようだね?」
それを数年繰り返したところで出会ったのが。
若い頃の、リース……ユティリウスだったわ。
明るめのオレンジがかった、赤のセミロングヘアに整った……王子様風のイケメン!?
自分もクラスメイトとかの美醜は見慣れていたはずなのに……いきなり現れた先輩らしい男子生徒を目にした途端、私の心臓が痛いくらい跳ね上がったわ!?
(……なにこれ?)
前世でも久しく感じていなかった……ある意味『一目惚れ』状態に、私はなってしまったようだわ。
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