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第八章 過去の嘆き
258.転生初の料理(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
料理をしてはいけない理由は、だいたい中学生くらいの外見になってから教えてもらったわ。
「ファルちゃんが、包丁で怪我したら大変だもの!?」
と言う母親のミスティアもだが、父親のロスバーンも同じ意見だった。というか、二人とも暗殺術とかは得意でいるのに、料理はド下手らしいというのもあったからだって。
(いやいやいや?? 訓練でも刃物とか扱うのに今更!?)
だから、四凶の補助付きと言う約束をしてから、私は許可を得て料理をすることにした。と言っても、前世の知識を忘れないようにしてたって百五十年以上も保つのは大変だった。
あとは、日記で日本語レシピを書いてたお陰もあったけど。
「ファルよ、何を手伝えば良い?」
四凶は私のことを『主人』ではなく『ファル』と呼ぶようになった。私がお願いしたからだけどね?
「はじめてだし……ご飯よりはおやつがいいわ。あんまり包丁使うとお母さんが心配するし」
ちなみに、お母さんと呼ぶようになったミスティアが今も窮奇のちょっと後ろで見守っているのだ。外見が中学生なのに精神年齢が低いこの世界基準だと……まあ、心配になるのも仕方ないかもね??
とりあえず作るのは……!!
(シュークリームよ!!)
手間はかかるけど、四凶達がいれば大丈夫なはず!!
とは言っても、四凶達はあんまりこれまでの宿主と料理したことがないらしいから……ほとんど私が作るようなものだけど。
四凶達には、混ぜる工程をとことんやってもらい、私は材料を量ったり、加えていく作業をやっていく。当然だけど、厨房にいた料理人達にも不思議そうに見られたわ。
そりゃ、今日初めて料理する人間の手際だとは思えないだろうし??
「ファルちゃん……すっごく料理上手……ね?」
ミスティアも、ちょっとずつこちらに近づいてきたわ。ちょうど、クリームが出来上がったから……冷却の魔術で粗熱を取り、彼女に味見してもらうことにしたわ。
「お母さん、ちょっと食べてみて?」
「……いいの?」
「まだこれで完成じゃないけど」
カスタードクリームをスプーンですくい、さっと渡してみる。ミスティアはドキドキしてるのが顔でわかったが……娘のお願いを聞かないわけもなく、受け取ってから勢いよく、パクりと口に入れてくれたわ。
「……甘い! トロトロしていて……すっごく美味しいわ!? これは何のクリームかしら??」
「卵を使った、カスタードってクリームだよ?」
「…………そう。どうして知っているか、出来上がったら教えてちょうだいな? あとで、お父さんも一緒に食べましょう??」
「うん」
料理人達がいるから追求も出来ないのね??
それから、シュー生地もうまく出来たので……料理人達に絞り袋があるかを聞いてから生地に詰めて。彼らにもいくつか渡してから、私はロスバーン達がいる執務室に向かった。
「ファルミア! お前に兄弟が出来るかもしれないんだ!!」
二人とも、クリームに苦戦しながらもシュークリームを美味しそうに食べてくれたが。
ロスバーンから、いきなり重大発表させられて……思わずシュークリームを握りつぶしそうになったわ!?
「……もし男の子だったら、私は当主になれないの??」
「そうだな。その可能性は高い。だが、四凶達の選んだ主だ。蔑ろにはしないよ?」
「……そう」
せっかく目標があったのに、なんだか淋しく思えて。作ったシュークリームもあんまり味がわからなかった。
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