【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第八章 過去の嘆き

263.ファルミアの葛藤-②(ファルミア視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(ファルミア視点)










 何故、何故、何故って。

 文字通り、王子様が夢物語の王子様のような発言をされて。

 私は不敬に問われていいと思うくらい、勢いで逃げてしまった。それくらい、王子様に告げられた言葉の意味がわからないでいたから。


(あり得ない……あり得ない、あり得ないあり得ない!?)


 彼自身も感じ取っていたと言うのか?

 私があなた。

 あなたが私に……運命共同体である『御名手みなて』かもしれない事実を。

 私だけだと思っていたのに……あの人は感じていないと思ったから。そんな事実が受け入れれるはずもなく……四凶しきょう達のテレパシーも総無視だったわ。


『『『ファル!?』』』
『何故逃げる!? 望んでいたことではなかったのか?!』
「逃げるわよ!?」


 あんなにも素敵に成長された王太子殿下の横に立つだなんて……やっぱり無理!?

 迎えに来たって言うのは、そう言うことだろうけど……何故、今の両親は何も言わなかった。……言わないでいたのかしら??

 今日のために。

 とにかく、庭の奥に逃げようと軽業を使いながら走っっていたら……誰かに腕を掴まれた。


「…………やっと捕まえた!」


 王子様……が何故か追いかけてきていたのだ。しかも、軽業を使っている私を追いかけられるくらい。この人も、護身術か何かで得たのだろうか?

 なんのために??

 ちょうど捕まえられた場所は、我が家でも一番大きい木の太い枝のところで。彼は私の腕を掴んだまま、枝に座るように促してきた。


「…………何故」


 私が最初に口に出来たのはこれだけだったわ。

 その拙い言葉に、王子様は昔見せてくれたキラキラした笑顔になった。


「……君が、俺の御名手だからだよ」


 いともあっさり、理由を話してくれた。だけど、私は体を駆け巡る甘い痺れにも似た感情を振り切った。


「……いけません。私は伯爵の人間でも、あなた様方の影の存在」


 王家直属の護衛部隊に行く予定だった人間が王妃にだなんてなれない。神王国の現王妃が商家の娘だった噂は聞いていても、彼の国とこの国は違う。

 私が首を横に振れば、王子様は空いている手で頭を撫でてくださった。


「身分差理由はまだ全部解決していないけど。俺は君以外に選ぶつもりは全然ないよ? 君も感じてくれたから、そう言う言葉を選んだんじゃないの?」
「……しかし」
「ほんとは、二百年前に言おうとしてた。けど、君の四凶達を納得させるくらいの王の器になるためには……自分の周りから固めることにした。だから、今は国王も王妃も、俺の御名手が君だと知っている。だから……受けて欲しい」
「!?」


 そう言って、王子様はなんのためらいもなく、私の額に唇を寄せてくれた。こんなロマンチックなこと、前世でもなかったから羞恥心が沸く。


(本当に……いい、の?)


 封じていた気持ちがあふれ出てくる。

 自然と、枯れていたと思っていた涙が出てきた。

 嗚咽も止まらなくなり、王子様に涙を拭いてもらうばかりで……。その後に出来た返事をした途端、フィルザス神様のお告げがあり、私達は結ばれたのだ。
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