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第八章 過去の嘆き
264.ファルミアとセヴィル-①(ファルミア視点)
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反対、賛成などと色々言われたりしたが……御名手の儀式が成立したのだから、そんなちっぽけな理由で私達を引き離すことだなんて出来ない。下手をすれば唯一神様によって天罰が下るからだ。
結婚までは、この世界基準であれ数年は必要だったらしいが……その間、私は王子様をユティリウスではなくリースと呼ぶようになった彼と、たしかな時間を過ごすことが出来た。
「ミーアの作るお菓子は何だって美味しいね?」
彼もまた、私のことをファルとかではなく『ミーア』と呼ぶようになった。彼の提案で、特別感がある呼び名にしたいと言われ。
婚約者として、付き合い出してから……彼は週に何回も私のいるムスタリカ家にやってきた。いきなりもあり、前もって識札で知らせがある時もあるけれど……付き合いたての頃はともかく、しばらくしてからは私もいつ彼がやってくるのかわかるようになり。
その度に、彼の好物になったシュークリームやエクレアを振る舞うようになった。
「飽きないの? リース」
「ちっとも? 甘さも丁度いいし」
「それは調整しているから」
敬語とかも、初めは無理だったが慣れれば出来るようになっていた。
いくら王子様でも、歳上の相手でも好きな相手であり将来の旦那様だから。そう思うと、いつのまにか出来るようになっていたわ。
「異界渡りとも違う、転生かあ? ミーアのいた世界は食に富んでいたんだろうね?」
それと当然、王子様でも知らないお菓子や料理を作れるのを疑問に持ち、私に尋ねてきたわけである。旦那様になる人にならいいかな? と、一応四凶達の許可を得てからだけど。
彼らは今、私とリースの時間を邪魔しないようにと、私の影に入り込んでいるわ。
「そうね? 世界中とは言えないけど、私が過ごしていた国は一番ってくらいに色々あったわ」
「ミーアみたいに作れる人は多いの?」
「家庭で言うと少数だけど、職人は多くいたわ。私は趣味で作っていたからだけど」
「そっか~? 俺幸せ~!!」
と言いながら、手にしていた苺入りのシュークリームを頬張ってくれた。
(幸せ……本当に、幸せだわ)
それから結婚までに、リースのおやつ食べ過ぎでメタボ寸前になってしまったので鍛錬や減量料理で事なきを得たり。
神王国に行く機会を得て、神王様であるエディや彼の親族達とも交流を深めるきっかけになったけど。
唯一人、ゼルことセヴィルについては興味深い事があったわ。私が異世界からの転生者である事を……結婚してからすぐの交友会で、彼に知られてしまった。
四凶達と城の裏庭で話していた時に、彼と遭遇したのよね??
リース以上の美貌だけど、無口で怖い印象でしかなかった彼とマンツーマンであった時は、内心ビクビクしたわ。
「……どうも」
「…………いや」
神王……エディと仲良くなったばかりだけど、その従兄弟らしいゼルは美しいけど、他人に畏怖を与えるような美貌だった。けど、悪い人じゃないのは挨拶を返してくれる様子から、なんとなくわかった。
四凶のコンパクトサイズでも、本性を見て怖がっていないもの?
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