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第八章 過去の嘆き
265.ファルミアとセヴィル-②(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
ある意味、ぞっとするような美しさ。
こんな人の奥さんとかは、釣り合うくらいの美人さんしか無理ね? とか思っていたんだけど。
「…………今、『異世界』とか聞こえたが??」
窮奇とかとは違う美低音に腰が抜けかけたが、質問には答えようと姿勢を正した。
「……どこまで?」
「…………お前が四凶達に話し始めた時だ」
敬語を抜きにしているのは、神王のエディから気にするなと言われたから。もちろん、公式ではしないけど。
「……聞いてしまった通りよ。私は異界からの転生者。けど、それを盾にユティリウスと結ばれたわけじゃない」
「…………それは疑わないが。……………………ファルミアは『カナタ』ではないのか」
「…………は?」
今度はセヴィルの方が意味がわからない言葉を言うと、彼は首を横に振った。
「……いや、違う」
「どう言うことかしら??」
「……………………俺は、一度だけ異界渡りをしたんだ」
「は??」
【【【【是】】】】
私があっけらかんになっていると、四凶達は一斉に返答したわ。
【この者から匂う匂う】
【ファルとは違うが】
【同じ蒼の世界の匂いが、する】
【するぞ】
本当かと聞けば、彼はゆっくりと頷いてくれた。
「……もう二度と会えない。かけがえのない存在と同じ、蒼の世界か」
笑う、っていうのに縁がない男の人に見えたけど。
その時だけは、微かだが笑っているように見えたわ。そのかけがえのない存在……多分女の子ね? その子の事をすっごく大事に想っているんだわ……。
(リースの親友って言ってたけど。なんだ、人らしいとこがあるじゃない?)
冷徹の宰相とか言われがちらしいが、やっぱり感情を持った人間だもの??
「けど、基本は内緒にしてて? 私達やリースしか知らないもの」
「……そのつもりだ。本来なら、誰にも言わずにいたつもりだった」
「そう。あ、お菓子食べる?? 苦手でなければ」
「…………いただこう」
実は、甘いものは苦手だったらしいが。そのお菓子は食べれたようで……そこから四十年後に、実はその大切な存在と再会出来るだなんて思うだろうか??
そして、私は新たな命を身体に宿すことが出来た。
エディ達もだけど、カティ達もそうなってほしい。
この世界で唯一の神様であるフィーは、人間達を酷く愛おしく思い、かつ時には残酷な処罰を下す存在だから。
彼が望む結果を、どうかこの先に続いて行って欲しいわ。
「エディの、誕生日に海に行くのは難しくなりそうだね?」
私が思い出を振り返っている間、リースはまだ膨らんでいない私のお腹を撫でてくれていた。
「そうね? けど、この世界の妊娠期間は二年。日差し対策をしっかりしていれば、軽く遊ぶことくらい出来てよ?」
「ミーアは見たいの??」
「もちろん。カティの水着プロデュースくらいはしたいわ!! リュシアとも計画してたんだから!!」
「……ま。無茶しなきゃいいけど」
「出産だなんて初めてだもの。慎重にもなるわ」
男の子でも、女の子でも。
私達の子供だ。大切にしないわけがない。
リースの手に自分の手を重ねてから、私達は笑い合った。
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