【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第九章 想う相手に向けて

288.神獣の好意(セヴィル視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(セヴィル視点)








 クラウが俺に抱きついてきた。

 ここのところ、執務は式典の前後に比べれば落ち着いているお陰で、触れ合うことは増えてきたせいもあるが。

 もともと聖獣に好かれにくい俺が、神獣であるクラウは俺に好意的である。主人の御名手みなてだからかもしれないが……好かれて悪い気がしない。


「ふーゅぅ!」


 カティアに甘える時と同じように、俺の懐に頭を押し付けてぐりぐりしてくる。まだまだ赤ん坊の身体だからか、痛みが感じないがほわほわした毛並みが触ると心地良い。


「クラウ、良かったねー?」


 すぐ隣の席にいるカティアがニコニコと笑っていた。

 その笑顔に、お前を抱きしめたいと思う気持ちが湧いてくるが。ここには、エディオス達がいるから無理だ。それに……拒まれてはいないがカティアの想いはまだ打ち明けてもらえていない。

 待つと言っておきながら、急かすだなんてわがままでしかない。


「ふゅふゅぅう!!」


 クラウは俺に抱っこをせがんできた。カティアほどではないが、なんとなくわかってきた俺はクラウを抱き抱えてやると……クラウはさらに鳴き声を上げて喜んでくれたようだ。


「ふーん? クラウはほんとにセヴィルも気に入っているみたいだね?」
「そうですわね?」
「聖獣にも大抵怯まれてっのに」


 カティア以外は言いたい放題だが、その通りなので反論出来ん。

 すると、カティアは首を傾げていた。


「え? フェルディスは普通でしたけど??」
「あいつも、あれで時間かかったぜ? 最初はゼルにビビりまくってたのなんの」
「…………ああ」


 今は騎獣らしく振る舞ってくれているが、出会った当初はなかなか大変だった。気弱な態度を見せたり色々と……今のように堂々とした態度を見せたりはしなかった。


「ふゅ、ふゅ!」


 少し思い返していると、クラウが俺に手を伸ばして必死に頭を撫でようとしてきた。生まれてまだ数ヶ月程度だが、感情は豊か……そして、エディオス以上の大食らいだ。

 それを思うと、何だか殊更愛らしく見えて……頭を撫でてやるとさらに鳴き声を上げた。


「そう言えば、ゼルお兄様? カティアさんと逢引はなさっていませんの?」


 そして、従妹であり妹分に痛い箇所をつつかれた。


「そういや……」
「見てないねー?」


 と、エディオス達まで俺をじっと見てくると……カティアは愛らしく頬を朱に染め上げてしまう。とても愛らしい……ではない。


「魔術訓練も始まったんだ。時間は」
「今日はセリカとのお勉強もないんだしー?」
「執務はいいぜ? 言って来い」
「そのようですわよ?」
「「…………」」


 既視感どころか、以前と似た状況になったことがある。

 今度は、クラウも連れて……宮城内を軽く散策することになったのだ。
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