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第十一章 異界の年の瀬
333.従兄弟の表情(エディオス視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(エディオス視点)
ゼルが面白いことになっていやがる。
「…………おい、ゼル」
今日は執務等も休みの日。
俺だけではなく、宰相のゼルもだが……カティアの看病に行かず、ずっと俺の部屋の隅でうずくまっている状態だ。
冷徹宰相だとか言われ続けていた、従兄弟の様子がおかしい……。今朝、食堂に来てからは顔を赤くしたり青くしたりして……なんだなんだ? と俺やサイノスは問い詰めたが全然言う気がなかった。
それは、今俺の部屋に連れてきても変わらず。
従兄弟のこんな様子は、カティアをこの城に連れてきて以来だ。カイツの件の時は逆に怒気が激しかったから違う。
まるで……恋のような。
「あ?」
恋っつーか、ずっとカティアを想っているのは今も同じだ。
そのカティアが風邪で寝込んで、こいつは看病をしていた。何かあったとすれば、カティア以外あり得ない。
(……フィーもはぐらかしていたし、なんかあったのか??)
体調については、フィーからだいぶ回復したがよく寝ているとだけだった。
だが、それ以外で……ゼルがここまで表情とかを面白くしているのは、それだけではないはず。
なら、と俺はカマをかけてみることにした。
「……ゼール?」
「……………………」
無視はしないが、振り返ってきた顔はまだ赤い。
これには、俺も確信が持てたので言葉を続けることにした。
「カティアに、なんか嬉しいことでも言われたのか?? 告白とか」
「な!? な、ななな、な!!?」
「当たりか」
カティアは気持ちを自覚してないよなあ、とは思っていたが。とうとう言ったのか??
その割には、フィーが俺らに伝えることとかもなかったが。
とりあえず、当たっていたのを納得していると……ゼルはさらに顔を赤くして首まで広げていった。
「……だが」
「おう?」
どうやら、どんな状況で告白されたか聞けそうだった。嬉しいはずなのに、ゼルの表情はだんだん青くなっていったが。
「…………直接ではなく、寝言……だった」
「……カティア」
寝てて本音を言うのはわかるが、それ言い逃げと同じだぞ!??
フィーも聞いていたのかと言えば、ゼルは頷いた。
「……起きてから……聞こうとも思ったが。ぐっすり寝ていて」
「だから、返事しようにも出来なかったっつーわけか?」
「…………ああ」
カティア、お前凄いな?
従兄弟の表情と内側をこれでもかと乱すことが出来んのはお前だけだぜ??
(ただ……フィーが聞かせたとしたら)
早いことくっつく分には良い。
しかし、カティアの身体にかけられている封印とかが……フィーでも解けないとなると、ゼルと婚約することも出来ん。
まだまだ当分先かと思うしか出来なかった。
とりあえず……ゼルは真昼に様子を見にいくと言い、俺の部屋から出て行った。
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