【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十二章 異界の年明け

382.信じられない-①(エディオス視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(エディオス視点)










 ……マジで、クソ疲れた。

 ゼルが俺に執務をさっさとこなせっつーのはいつも通りだが。

 あと少しで、自分の誕生日で……カティアと過ごしたいからって、俺が目を通せるのを押しつけるわ押しつけるわ……。カティアと思いを交わしたからって、様変わりし過ぎた。

 以前に比べて、確実に表情にも現れるようになってきたから……近侍らは、何が起こったかわかってねぇから不用意に近づかない。


(……まあ、言えるわけねぇよなあ?)


 半年くらい前から王城に突如現れた(ことになってる)……八十歳程度の少女が、実はゼルの御名手みなてだとか。

 カティアが、本来は二百五十くらいの外見のはずというのもだが。

 つい最近……色々あったが、無事に互いに思いを交わして……フィーはとっくに認めていたが、正式に御名手との誓約を交わしたんだ。けど、カティアの外見が元に戻らないとかで……公表には出来ん。じい様にだけは言ったが。


「あ~……羨ましい」


 今日も執務がひと段落ついたとこで、ゼルが茶を淹れるとかで離れたにしては……遅い。

 たしか、誰かの来訪があった気がしたが……それにしても遅い。

 どうした? と声をかけようとした時に。

 ゼルじゃないやつが、いつのまにか、執務室に入って来ていた!?


「……セリカ?」


 薄紫の髪。

 水晶色の、透明感がある瞳。

 緊張してんのか、顔はこわばっていたが。

 ゼルがいない代わりに、セリカが扉の前に立っていたのだ。


「……ご機嫌よう。エディ……お兄様」


 俺が声を掛ければ、セリカは片手に何かを抱えていたがドレスの裾を掴んで挨拶してきたんだが。


「? おう。ゼルは?」
「……カティア……ちゃんとご一緒に」
「……あいつ」


 カティアと一緒に過ごしたいがためにか、俺がいい加減セリカに伝えろとでも言いたいのか。

 どっちもあるだろうが……なんで、セリカがカティアと一緒にここに来るんだ?

 全然気づかなかったのは、俺がそれだけ気疲れしてたってことだが。


「あの……エディお兄様」


 セリカが少しだけ俺の近くに来ると、抱えていた包みのようなもんを……俺に差し出してきた。


「……俺に?」
「……作った、の。お兄様のために」
「……え」


 セリカが……俺のために?

 その言葉がすぐに頭に入らず、思わず素通りしかけたが……目の前にある包みは消えていない。つまり、マジでセリカが俺のために作ってくれたってことだ!


「…………少し、早いけど」
「早い?」
「…………カティアちゃんや、ファルミア様に教わって。大事な……相手にココルルのお菓子を作って渡す慣習が、異界にはあるそうなの」
「…………へ?」


 また、間抜けな返事をしてしまったが。

 今度は、セリカの言葉を聞き逃すはずがなく。

 思わず、俺は……包みごとセリカの腕を掴んで、腕の中に閉じ込めた。
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