【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十三章 神王の御名手

386.とうとうか?(サイノス視点)

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 ☆      ☆      ☆      ☆      ☆      ☆(サイノス視点)









 それは偶然だった。

 執務が意外と早く終わったんで、アナと軽く茶でも飲もうかと誘いに行こうとしたら……。


「あら! サイノス様!」


 食堂の方から、俺をもう兄と呼ばなくなった愛しい婚約者が、息を弾ませながら廊下を走っていたのだ。


「お? どうした?」


 アナがここまで興奮すると言うことは余程のことがない限り、ない。


「サイノス様は知ってらして?」
「うん?」
「エディお兄様とセリカのことですわ!!」
「……うん?」


 こいつには、実はあの二人が御名手みなてだと言う事実は知らないはず。

 と言うことは、何か進展があったのか。


「御名手の儀式をされましてよ!!」
「…………マジか」
「ええ!!」


 どこで、っつーと……エディの部屋か執務の部屋だろうが。まさか、そんな大胆な場所でするとは……イシャールとかも、上層の廊下だったのを思い出した。


「で、お前さんは何を?」
「セリカの召し物を用意するためですわ!!」
「……わかった。俺はエディんとこに行く」
「あら、いけませんわ」
「うん?」
「今行かれては、おふたりの語らいの邪魔でしてよ?」


 なんだかんだ、アナは母君似だがこう言うところは兄妹なんだなと思った。


「……わかった。他に知っているのは?」
「皆ご存知ですわ。カティアさんは、きっとお祝いのピッツァをご用意なさっているはずですわ」
「そりゃ楽しみだ」


 イシャール達ん時以来だが、あれは何度食っても飽きがこない。

 なら、そちらの様子を見に行こうと食堂に向かえば。

 扉を開けると、もわっと何か温かい空気が流れてきた。


「あ、サイノスさん!」


 中に入ると、料理人用の青い服を着ていたカティアと目があった。


「よ。聞いたぜ? エディ達のために仕込んでいるのか?」
「はい! お祝いですので……特大級のピッツァを!!」
「うん?」


 その割に皿がないように見えたが……テーブルを見ると、ギリギリ取り皿が置ける場所以外、布の上に置かれた『ピッツァ』のサイズに口の端が思わず、ひくっとなった。


「あら? サイノスも来てくれたの?」


 数日前から、ヴァスシードより来訪していたファルミアもだが、夫のユティに……守護妖の四凶しきょうらまで、意欲的にピッツァを仕上げていた。


「…………これが、ピッツァ?」
「はい! 発祥の地では特別なお祝いの時に振る舞うピッツァなんです!!」


 いつから仕込んでいたかはわからないが。

 アナの様子から見て、そこまで時間は経っていない。厨房からフィーも出てきたんで、時間操作をして仕上げたのだろう。

 フィーが、立て続けに御名手の儀式に介入したせいか……めちゃくちゃ疲れた表情でいた。
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