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第十五章 異界の夏に向けて
458.ツッコミ親友の前世-②(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
「けーい!! ピッツァ回しの練習しよ!!」
カティ……奏樹だった、あの子は。
とにかく……元気いっぱいで、底抜けに明るくて。
料理……特に、ピザ……ピッツァ作りについては積極的で。
私……『彗』の何倍も、仕事には一生懸命に取り組んでいたわ。
「また? 飽きないわねぇ、あんたも」
「まあ。大会には出れないけど……出来なくて損はないよ? ぼ……私もお客さんの前でパフォーマンスしたいし!」
「また『僕』になりかけているわよ」
「……だって、社会人になって矯正するの難しいー!」
「ほんとにねぇ」
あたしは……奏樹の近くに居られれば、なんだって良かった。
隣にいないと……なんか、調子が狂うかなんと言うか。
仕事も……選り好みする主義ではなかったし。ちっちゃい頃から、この子と一緒じゃなきゃ……自分らしく過ごせないと、固執したこだわりを持っていた。
進学や進路も。
自分の意志だけど、奏樹の側じゃないと……息がし難いと思って。
就職先まで……全部一緒にするまで、努力した。
ただ、ぽやんぽやんしているところが多いので……色々ツッコミするから『ツッコミ親友』とか呼ばれたりしたけど。
「明日も頑張ろうね!」
仕事が終わるたびに、奏樹はいつもそう言う。
学校とかでも、同じことは言ってたけど。
奏樹が言うと……不思議とやる気が出てくるのよね?
「……そうね。また明日」
あの日もそう。
奏樹と帰り道で別れた時も。
次の日が同じようになることを願っていたのに。
『あたし達』は……無差別な犯罪者によって、殺されたのだ。
あたしは……奏樹のすぐ後。
あの子が、息絶えたのを目の前で見た時……狂ってしまいたいと思ったが。
犯人には、なにも報復することが出来ず……逆に殺された。
その記憶が……今、クロノソティスによって、戻されたのだ。
『……思い出せた?』
フィーと同じ顔の青年は……あたし……『私』がすべての記憶を戻されても、ただただ微笑んでいるだけだったわ。
『……ええ。思い出せたわ、すべて』
『……それでも、君はどうする? カティアには』
『決まっていてよ』
リースの隣にいることで……執着心の矛先は変わった。
もちろん、『カティ』と呼んでいる『奏樹』も大事に変わりないけれど。
『私』は『私』……ヴァスシード国の王妃よ!!
そこは履き違えないわ!!
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