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第一章 異界渡り
016.食堂にて美女と出会う
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むしろ、好印象を受けたものばかりだった。
フィーさんが言っていた、僕が知らない事情をセヴィルさんが知っているから?
お互い初対面にはずなのに、そこに訳が隠されてるかもしれない。……あの様子からすぐに話してくれるとは思えないけど。
「お、着いたぜ」
どうやら食堂に到着したようだ。
エディオスさんの後ろから前を見れば、執務室程じゃないが綺麗な木の扉が。大きさは執務室よりはひと回りくらい小さい? それでも大きいことに変わりない。
やっぱり王様が食事をするとこだからVIPルームなのだろう。
そのまま先頭のエディオスさんが開けるかと思いきや、
「ここはカティアに開けさせようよ」
「けど、さっきもああだったのに出来るか?」
「まあ、物は試しとも言うじゃない?」
「どう言うことですか?」
二人の会話の意味がわからずなので聞けば、フィーさんはまたくすくす笑い出した。
「あのね。僕の小屋は別だけど、この世界の『もの』には魔力が込められているんだ。動かしたりするには、自分の魔力を流して相殺させる必要があるんだよ。とーくに、エディのこの城は特別製だからね。さっきの椅子も勿論特注品」
「えっと……じゃあ、さっき重く感じたのは?」
「君の魔力の具合が椅子より下回ってたってこと。まあ、教えてなかった僕もごめんね?」
「いえ……」
じゃあ椅子が引けなかったのは、単に僕が非力だったからじゃないんだ?
と言うことは?
「僕の魔力ってそんなに少ないんですか?」
「いいや」
「それはないね?」
おや、二人揃って否定してくださいました。
「ゼルの御名手になったからあり得ねぇな」
「僕が身体を創り変えたのもあるしね?」
後半物騒な理由でした。
ただ身長差からノブに手が届くかなと思ったけど、なんとかギリギリ大丈夫だった。
普通に捻れば難なく開き、やったと思ってたら後ろから脇に手を入れられて扉から離された。誰だと振り返ればにこにこ笑顔のフィーさんだった。
「え?」
「君だけはちょっと下がろうか」
「あ? どーした」
ガチャ!
ドガッ!
僕が退いた途端向こうから扉が開いてきて、ちょうど後ろにいたエディオスさんの顔面に戸板が当たってしまった。
(え──⁉︎ なんでなんで⁉︎)
フィーさんはこうなるのを予想してた?
にしては、タイミングがバッチリ過ぎやしないだろうか?
エディオスさんはと言うと、戸板がぶつかったそのままの状態。
「───────っ⁉︎」
角が鼻にぶつかった感じだから、声も出ないようです。物凄い痛そう……。
「────……よーやく、来ましたわね」
地を這うような声が、部屋の方から聞こえてきた。
しかも、女の人の声。
あ、この世界に来て初めての同性だ、とか思うよりもまた恐怖に当てられて体がぷるぷると震えてしまう。
(なんかこう言うのばっかりっ)
今日これで3度目だ。
「いってぇっ‼︎……って、アナ?」
「遅過ぎますわ! アルシャの報告を聞きましてからもう半刻近く。一体何をなされていましたの」
そろーっとフィーさんの影から顔を覗かせてみると、お姉さんの姿がちゃんと見えた。
ディシャスよりは明るめの紅いウェーブがかかった長い髪と、身体を覆う大きな碧色の法衣が特徴的だった。
セヴィルさんやフィーさん以外は異常色多い。
グレーの服のお兄さんはちらっと見えたけど、水色の髪だったのは覚えてる。兵士さん達は兜被ってたから見えなかったしね。
他にも、お姉さんの瞳は薄い紫……藤の花みたいな色だね。物凄い怒気が表れていて、目も吊り上っている。
そう言えば、エディオスさんも忘れてたけど濃い紫だ。何この無茶苦茶配色。
だけど、物すっごい美人さんだ。
「何って、ゼルから聞いてねぇのか?」
「擦れ違いましたの。識札からの通達は受けておりましたからこちらでお待ち申し上げておりましたのに……貴方様ときたら!」
敬語ではあるけど、セヴィルさん同様に親しい感じだ。また高位の人なんだろうか?
しかし、目は吊り上っているけども勝気な美人さんだ。あと、法衣でも隠しきれぬお胸の大きさを見て僕は自分の胸を触ってみるも、服の上からでもぺったんこ。幼児より体が大きくても子供姿だから発育ゼロなのね。
「そう言えば、宰相……ゼルお兄様はどちらに? いらっしゃらないようですが」
「俺の部屋行ってる。自分で仕掛けた奴の片付けだと」
「あら、わたくしのもお気づきでしょうか?」
「はぁ⁉︎ お前もなんかしやがったのか!」
「ええ、少しばかりですが……ゼルお兄様でしたら、すぐに片付けられてしまいますわね」
「おいおい……」
なんか物騒なお話ですね。
割り込めない雰囲気に、僕とフィーさんは外野で待機しているのが平和だ。
フィーさんはのほほんと口笛吹いてるけど、小さいからお姉さん達には聞こえてないみたい。
「アナも久しぶりに見るねぇ」
「どう言う人なんですか?」
セヴィルさんを『お兄様』って呼んでたから、もしかしたら妹さんかなと思ったが。
「ああ、彼女はエディの妹だよ」
「え⁉︎」
エディオスさんの方だったんだ!
じゃあ、セヴィルさんとは従兄妹さんか。
「あら、フィルザス様もいらして……その子は?」
おや、舌戦は中断されたのかな?
アナってお姉さんがフィーさんと僕に気づくと、目をパチパチと瞬いた。
「まあ、可愛らしいお客様ですわ。え……っと、失礼ですがお嬢さんでしょうか?」
「あ、はい」
この身体つきじゃ、性別はわかりにくいみたい。
元々も中性っぽいって言われてたから余計にわかりにくかったのかも。
とりあえず聞かれたので、僕は頷いた。
「まあまあ、小さなお客様は久しぶりですわね。でも、エディお兄様。フィルザス様も大変お久しぶりですが、この子はどうしてこちらに?」
「あー……」
エディオスさん、どう説明しようか考えあぐねちゃった。
た、たしかに、いきなりセヴィルさんの婚約者になりましたって説明は無茶あるよね!
「説明はあとですっから、とりあえず中入れろよ。ゼルが来てからのがいい」
「お兄様がそう仰るのでしたら、仕方ありませんわね。さ、フィルザス様やお嬢さんもどうぞ」
た、助かった。
セヴィルさん抜きに話進んでたら、このお姉さんの反応がどう出てくるかわからないもの。
ひとまず、僕らは食堂なるVIPルームに入ることになりました。
◆◇◆
中はまさにお貴族様の食卓に相応しい調度品ばかりでした。
ただ華美ではなくシンプルなものばかり。でも、とっても綺麗で触ってみたくなるけど我慢だ。
シャンデリアなんかに見惚れていたらフィーさんに手を引かれて席に連れてってもらいました。机は長机が一脚のみで、テーブルクロスと椅子の数分のテーブルセットが既にされていた。
「あー……疲れた」
「僕はこっちでいい?」
「勿論ですわ。お嬢さんはどうされますか?」
「ふふ。あとで教えてあげるからセヴィルの隣にしておいてよ」
「まあ、わたくしの居ない間に一体?……わかりましたわ。じゃあ、お嬢さんはこちらにどうぞ」
エディオスさんは王様だから、当然上座唯一の席に。
フィーさんはエディオスさんの右手側で、僕は左手側の2番目。お姉さんはフィーさんの隣で僕の向かい側。
それぞれ席に着くと、椅子の擦れる音が合図だったのか、奥の方から給仕らしき男の人がピッチャー片手にやってきて、卓の上にあるグラスに水を入れてくれた。
「陛下、今日は如何なさいますか?」
「そーだな。俺は肉系でいいが、お前らどーする?」
「じゃあ、僕もお肉ーっ」
「わたくしは魚で」
「えーっと、僕もお魚でお願いします」
どうやらコース料理のようだ。
一応は、レストランでテーブルマナーを学んだ身。大丈夫っちゃ大丈夫ですよ?
給仕のお兄さんはメモも取らずに軽く会釈をすると、また奥に戻っていった。
個人的に厨房見てみたいけども我慢だ。
今はそれどころじゃないしね!
「───────遅れてすまない……アナもいたか」
おお、タイミング良く?セヴィルさんもやってきた。
ただ、席を見て一瞬顔を顰めたけども、特に何も言わずに僕の隣が空いてる席についた。
それと同時にまた給仕のお兄さんがやってきて、水と注文を受けると奥に戻っていった。
セヴィルさんはお肉でした。
「エディオス、アナには言ったのか?」
「いいや、まだだ。お前が来てからのがいいと思ってよ」
「まあ、そうだな……」
さすがのセヴィルさんでも、どう説明しようか悩んでるみたい。
うん。今回の事態を誰に説明するにしても難しいよね!
フィーさんが言っていた、僕が知らない事情をセヴィルさんが知っているから?
お互い初対面にはずなのに、そこに訳が隠されてるかもしれない。……あの様子からすぐに話してくれるとは思えないけど。
「お、着いたぜ」
どうやら食堂に到着したようだ。
エディオスさんの後ろから前を見れば、執務室程じゃないが綺麗な木の扉が。大きさは執務室よりはひと回りくらい小さい? それでも大きいことに変わりない。
やっぱり王様が食事をするとこだからVIPルームなのだろう。
そのまま先頭のエディオスさんが開けるかと思いきや、
「ここはカティアに開けさせようよ」
「けど、さっきもああだったのに出来るか?」
「まあ、物は試しとも言うじゃない?」
「どう言うことですか?」
二人の会話の意味がわからずなので聞けば、フィーさんはまたくすくす笑い出した。
「あのね。僕の小屋は別だけど、この世界の『もの』には魔力が込められているんだ。動かしたりするには、自分の魔力を流して相殺させる必要があるんだよ。とーくに、エディのこの城は特別製だからね。さっきの椅子も勿論特注品」
「えっと……じゃあ、さっき重く感じたのは?」
「君の魔力の具合が椅子より下回ってたってこと。まあ、教えてなかった僕もごめんね?」
「いえ……」
じゃあ椅子が引けなかったのは、単に僕が非力だったからじゃないんだ?
と言うことは?
「僕の魔力ってそんなに少ないんですか?」
「いいや」
「それはないね?」
おや、二人揃って否定してくださいました。
「ゼルの御名手になったからあり得ねぇな」
「僕が身体を創り変えたのもあるしね?」
後半物騒な理由でした。
ただ身長差からノブに手が届くかなと思ったけど、なんとかギリギリ大丈夫だった。
普通に捻れば難なく開き、やったと思ってたら後ろから脇に手を入れられて扉から離された。誰だと振り返ればにこにこ笑顔のフィーさんだった。
「え?」
「君だけはちょっと下がろうか」
「あ? どーした」
ガチャ!
ドガッ!
僕が退いた途端向こうから扉が開いてきて、ちょうど後ろにいたエディオスさんの顔面に戸板が当たってしまった。
(え──⁉︎ なんでなんで⁉︎)
フィーさんはこうなるのを予想してた?
にしては、タイミングがバッチリ過ぎやしないだろうか?
エディオスさんはと言うと、戸板がぶつかったそのままの状態。
「───────っ⁉︎」
角が鼻にぶつかった感じだから、声も出ないようです。物凄い痛そう……。
「────……よーやく、来ましたわね」
地を這うような声が、部屋の方から聞こえてきた。
しかも、女の人の声。
あ、この世界に来て初めての同性だ、とか思うよりもまた恐怖に当てられて体がぷるぷると震えてしまう。
(なんかこう言うのばっかりっ)
今日これで3度目だ。
「いってぇっ‼︎……って、アナ?」
「遅過ぎますわ! アルシャの報告を聞きましてからもう半刻近く。一体何をなされていましたの」
そろーっとフィーさんの影から顔を覗かせてみると、お姉さんの姿がちゃんと見えた。
ディシャスよりは明るめの紅いウェーブがかかった長い髪と、身体を覆う大きな碧色の法衣が特徴的だった。
セヴィルさんやフィーさん以外は異常色多い。
グレーの服のお兄さんはちらっと見えたけど、水色の髪だったのは覚えてる。兵士さん達は兜被ってたから見えなかったしね。
他にも、お姉さんの瞳は薄い紫……藤の花みたいな色だね。物凄い怒気が表れていて、目も吊り上っている。
そう言えば、エディオスさんも忘れてたけど濃い紫だ。何この無茶苦茶配色。
だけど、物すっごい美人さんだ。
「何って、ゼルから聞いてねぇのか?」
「擦れ違いましたの。識札からの通達は受けておりましたからこちらでお待ち申し上げておりましたのに……貴方様ときたら!」
敬語ではあるけど、セヴィルさん同様に親しい感じだ。また高位の人なんだろうか?
しかし、目は吊り上っているけども勝気な美人さんだ。あと、法衣でも隠しきれぬお胸の大きさを見て僕は自分の胸を触ってみるも、服の上からでもぺったんこ。幼児より体が大きくても子供姿だから発育ゼロなのね。
「そう言えば、宰相……ゼルお兄様はどちらに? いらっしゃらないようですが」
「俺の部屋行ってる。自分で仕掛けた奴の片付けだと」
「あら、わたくしのもお気づきでしょうか?」
「はぁ⁉︎ お前もなんかしやがったのか!」
「ええ、少しばかりですが……ゼルお兄様でしたら、すぐに片付けられてしまいますわね」
「おいおい……」
なんか物騒なお話ですね。
割り込めない雰囲気に、僕とフィーさんは外野で待機しているのが平和だ。
フィーさんはのほほんと口笛吹いてるけど、小さいからお姉さん達には聞こえてないみたい。
「アナも久しぶりに見るねぇ」
「どう言う人なんですか?」
セヴィルさんを『お兄様』って呼んでたから、もしかしたら妹さんかなと思ったが。
「ああ、彼女はエディの妹だよ」
「え⁉︎」
エディオスさんの方だったんだ!
じゃあ、セヴィルさんとは従兄妹さんか。
「あら、フィルザス様もいらして……その子は?」
おや、舌戦は中断されたのかな?
アナってお姉さんがフィーさんと僕に気づくと、目をパチパチと瞬いた。
「まあ、可愛らしいお客様ですわ。え……っと、失礼ですがお嬢さんでしょうか?」
「あ、はい」
この身体つきじゃ、性別はわかりにくいみたい。
元々も中性っぽいって言われてたから余計にわかりにくかったのかも。
とりあえず聞かれたので、僕は頷いた。
「まあまあ、小さなお客様は久しぶりですわね。でも、エディお兄様。フィルザス様も大変お久しぶりですが、この子はどうしてこちらに?」
「あー……」
エディオスさん、どう説明しようか考えあぐねちゃった。
た、たしかに、いきなりセヴィルさんの婚約者になりましたって説明は無茶あるよね!
「説明はあとですっから、とりあえず中入れろよ。ゼルが来てからのがいい」
「お兄様がそう仰るのでしたら、仕方ありませんわね。さ、フィルザス様やお嬢さんもどうぞ」
た、助かった。
セヴィルさん抜きに話進んでたら、このお姉さんの反応がどう出てくるかわからないもの。
ひとまず、僕らは食堂なるVIPルームに入ることになりました。
◆◇◆
中はまさにお貴族様の食卓に相応しい調度品ばかりでした。
ただ華美ではなくシンプルなものばかり。でも、とっても綺麗で触ってみたくなるけど我慢だ。
シャンデリアなんかに見惚れていたらフィーさんに手を引かれて席に連れてってもらいました。机は長机が一脚のみで、テーブルクロスと椅子の数分のテーブルセットが既にされていた。
「あー……疲れた」
「僕はこっちでいい?」
「勿論ですわ。お嬢さんはどうされますか?」
「ふふ。あとで教えてあげるからセヴィルの隣にしておいてよ」
「まあ、わたくしの居ない間に一体?……わかりましたわ。じゃあ、お嬢さんはこちらにどうぞ」
エディオスさんは王様だから、当然上座唯一の席に。
フィーさんはエディオスさんの右手側で、僕は左手側の2番目。お姉さんはフィーさんの隣で僕の向かい側。
それぞれ席に着くと、椅子の擦れる音が合図だったのか、奥の方から給仕らしき男の人がピッチャー片手にやってきて、卓の上にあるグラスに水を入れてくれた。
「陛下、今日は如何なさいますか?」
「そーだな。俺は肉系でいいが、お前らどーする?」
「じゃあ、僕もお肉ーっ」
「わたくしは魚で」
「えーっと、僕もお魚でお願いします」
どうやらコース料理のようだ。
一応は、レストランでテーブルマナーを学んだ身。大丈夫っちゃ大丈夫ですよ?
給仕のお兄さんはメモも取らずに軽く会釈をすると、また奥に戻っていった。
個人的に厨房見てみたいけども我慢だ。
今はそれどころじゃないしね!
「───────遅れてすまない……アナもいたか」
おお、タイミング良く?セヴィルさんもやってきた。
ただ、席を見て一瞬顔を顰めたけども、特に何も言わずに僕の隣が空いてる席についた。
それと同時にまた給仕のお兄さんがやってきて、水と注文を受けると奥に戻っていった。
セヴィルさんはお肉でした。
「エディオス、アナには言ったのか?」
「いいや、まだだ。お前が来てからのがいいと思ってよ」
「まあ、そうだな……」
さすがのセヴィルさんでも、どう説明しようか悩んでるみたい。
うん。今回の事態を誰に説明するにしても難しいよね!
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