【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

文字の大きさ
64 / 616
第二章 交わる会合

064.情報の共有-①

しおりを挟む
 





 ◆◇◆






「俺が知らないことが多いけど、どれから話してくれるの?」

 事態収拾しまして、とりあえずはユティリウスさん優先にすることになりました。
 ユティリウスさん若干不貞腐れております。

(まあ、しょうがないよね?)

 自分だけ蚊帳の外状態だったもの。
 だけど、よくよく考えればそれはクラウのことだけで、他はまだ情報共有してないことの方が多い。
 それが、僕とファルミアさんのことだったりだけど。

「あー……お前らに言うか悩んだのは、クラウがまだ今日生まれたばっかだからだ」
「それ……じゃなくて、クラウがなの?」
「お前が一度報せに来た時に言ってただろう?   力の解放とやらが、おそらくクラウの誕生についてだと俺やエディオスは見解しているが」
「ああ、四凶しきょうの皆が言ってたあれか?……って、そうだったのかい?」
『是』

 ユティリウスさんがしきょうさん達に聞けば、同時に同じ答えが返ってきた。

「へぇ。こんなに小ちゃいのが神獣?」
「ふゅ?」

 話題の中心に今なってるクラウは僕からチーズケーキを食べさせてもらいながら聞いてる状態。
 一回下げようとしたらお目々をウルウルさせたので仕方なくです。

「で、なんでカティと一緒なの?」
「うちの相棒がカティアをクラウの卵んとこ連れてって、かえしたせいかなんだかで自然と主人になっちまったらしい」
「僕も許可出したしねー」
経緯いきさつはそう言うことね」

 ここはファルミアさんにも知らせてない情報だったから、わかって納得されたようだ。

「じゃ、次にいってもいい?」
「いいぜ?」
「どーしてカティのドレス姿にゼルが珍しくあんな表情になったの?    と言うか、カティはいつからこの城にいるの?   前来た時はいなかったし」
「後の方はともかく、先のは聞く必要あるか⁉︎」

 セヴィルさん、今のお顔さっきくらい真っ赤だ。
 僕のことも話さなきゃとは思ってたけど、まさかセヴィルさんの赤面状態のとこから突っ込まれるとは。

「大有りだよ。ゼルが鉄仮面剥がしちゃうくらいああなるなんて俺初めて見たし」
「あれは俺も初めて見たなぁ?」
「僕も」
「わたくしもですわね」
「私もね」

 どうやら、これだけ感情を露わにさせてるセヴィルさんは大変珍しいようです。
 僕は初対面の時にちょいちょい見てからなんとなくわかってるのでそんな不思議じゃないけども?
 でもこの場合、誰から話せばいいのだろうか?
 僕からなんて恥ずかし過ぎて言えますか!

「と言うか、これだけ滅多にない色彩だからカティって神霊オルファなの?」
「僕は普通の人間ですよ⁉︎」

 だからなんで神格化されちゃうんですか⁉︎

「我も聞きたいことがあるのだが」
窮奇きゅうき?」

 ここで初めてしきょうさんから手が挙がった。
 まとめ役?のきゅうきさんからだったよ。

「カティアとセヴィルの結びつきが異常に強いのだが……」
「我もそれは感じている」
「魔力とも違うな」
「もっと強い結びつき……そう、まるでファルとリースのような」
「私と?」
「俺って……もしかして、ゼル⁉︎」

 しきょうさん達の言葉に僕はだんらだんら冷や汗を流していたら、ユティリウスさんが斜め向かいにいるセヴィルさんに詰め寄った。

「な、なんだ」
「もしや、それって君達が『御名手みなて』同士ってことかい⁉︎」
「ユティせいかーい!」

 ぱちぱちと彼の隣に座ってるフィーさんはのんきに拍手していた。
 確実に面白がっていますね、この神様は。

「ゼルとカティが御名手みなて⁉︎   どうして?   カティは他所の世界から来た子なのに?」
「え、ちょっとミーア何それ?」
「もうどこから話します?」

 また更にこんがらがるような事態になっちゃった。
 実はさっきの説明の時はファルミアさんに僕とセヴィルさんの関係の事は一切お伝えしていない。気恥ずかしさと信じてもらえないのもあったから。

「一旦落ち着いてくださいまし、御二方」

 ぱんぱんと手を叩かれたのは、ほぼ黙っていたアナさんだった。
 僕らはびっくりして彼女の方に視線を向けた。

「色々とお話すべき事は多いですが、順に参りましょう。フィルザス様、わたくしからご説明させていただいてもよろしくて?」
「いいよー?」

 と言うわけで、アナさんの口から僕が一週間前からこのお城に厄介になってる経緯が説明されたのだった。

「…………カティが異界渡りで数日前からこっちに来たのは、わかった」

 一通り説明が終わってから、ユティリウスさんがおもむろに口を開いた。
 ファルミアさんはまだ何か考えられていたけど、旦那さんの次の言葉をとりあえず待ってるようだ。

「だけど……なんで親友のそんな大事な瞬間に立ち会わせてくれなかったんだよエディ⁉︎」
「アナと同じ事言うなよお前は‼︎」

 距離があるので、エディオスさんは怒鳴ることしか出来なかった。
 それにしても、エディオスさんよりセヴィルさんの方が親友なんだ?   

「けど、それでゼルがあんな表情をする説明にはならないわよ?」

 ファルミアさん考えてらしたのそこですか?

「……何故言う必要がある」
「そんじょそこらの女性を袖に振ってばっかなあなたが、外見年齢は置いとくにしてもカティに一目惚れはおかしすぎるわ」

 ビシッと指を突きつけてファルミアさんは淡々と言い放った。

「え、あのー……僕一応いるんですが」

 聞いてていい話?
 クラウ抱っこして退散すべきでしょうか?

「いいえ。カティも聞くべきよ?    だって私、ゼルから初恋の話聞いてるもの」
「ファルミアそれは⁉︎」
「はつこい……?」

 それと僕とどう関係が?

「ふゅ、ふゅ⁉︎」

 クラウの声が何故か遠くに聞こえる気がする。
 僕にしがみついているのはわかるのに、どうしてか。

(なんで、こんなにも……?)

 痛い。
 胸の奥底が。
 視界までもが歪んできて、クラウの姿がよく見えない。

「ーーーー…………ゼル」

 それを地を這うような低い、滅茶苦茶ひっくい声によって現実に引き戻された。
 呼んだのはユティリウスさんじゃなくて、

「なんで従兄弟の俺が知らずに、40年程度の付き合いしかねぇはずのファルの方がそんな重大な事知ってんだよ?」
「そ、それはっ」

 エディオスさんだった。
 振り返れば、ものっそい形相とご対面でしたよ⁉︎
 初日に僕がフィーさんの小屋で見た比じゃなかった!

「ふゅぅ⁉︎」

 クラウもそれに気づいて怖くなったのか更に僕にしがみついてきた。

「エディお兄様のおっしゃる通りですわ。何故わたくしにもお教えくださらなかったのですか!」

 ご兄妹で僕らをサンドイッチしないで⁉︎
 こんな剣幕の中にいたら、さっきの悲愴感なんか彼方に吹き飛んで行っちゃったよ!

「ミーア、いつそれ聞いたの?   俺にだって教えてもらってないのに」
「ちょっと訳ありでね?」
「ミーア、僕も聞きたーい」
「あら、フィーは知っているんじゃなくて?   だって導いてあげたんでしょう?   この二人を?」
「「「は?」」」
「ふゅ?」

 ファルミアさんの意味深な発言に、こっちサイド全員ぴたっと止まっちゃったよ。
 クラウも鳴くのをやめてくりんと顔を彼女に向けた。
 正確にはファルミアさんが呼んだフィーさんの方にか。

「相変わらず勘がいいねぇ、ミーアは」

 かく言うフィーさんは相変わらず自由人マイペース。コフィーのカップを手の中で遊ばせながら、ふふっと笑っていた。

「カティの記憶を読んでからゼルとの相性を調べただけにしちゃ、あなたにしては詰めが甘いと思うわよ?」
「まあね。でも、僕から言っても意味ないでしょ?」
「そうね。そこはゼルからの方がいいわ」
「っ⁉︎」

 セヴィルさんの方を向けば、ゆでダコって単語がバッチリ当てはまるくらい超真っ赤になって固まっちゃってました。
 念の為くいくいと僕がマントを引っ張っても反応ナッシングです。
 これって、初日にも似た状況になったよね?

「おーい、ゼル?」

 こんこんとエディオスさんが頭を軽く叩いても無理でしたよ。

「え、てことはさー……ゼルの初恋の相手がカティなの?」
「そう言う事よ。この二人初対面じゃないらしいから」
「はぃいいい⁉︎」

 ヴァスシード国王夫妻の会話に、今度は僕が赤面になる番だった。
 思わずクラウをぎゅーって強く抱きしめちゃったけど、嬉しそうにきゃっきゃと声を上げたのは置いといて。

「ぼ、ぼぼ僕が、セヴィルさんの……えぇっ⁉︎」

 初対面じゃないってことは初日にもちゃんと聞いていたから知ってたけど、そこはまだセヴィルさんから結局は話してもらえていない。

(どうして僕が、その……セヴィルさんの初恋の相手になるんだ⁉︎)



 ぷしゅー、ぱたり。




「ふゅ⁉︎」

 何の音かと言いますと、僕がクラウを抱っこしたままテーブルに突っ伏してしまったんです。

「「カティア⁉︎」」
「カティアさん⁉︎」
「え、カティ⁉︎」

 上から慌てる声やなんやらが聞こえてきてはいたけど、キャパシティオーバーになった僕は段々と意識が遠のいてしまっていたから気にすることも出来なかった。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-

いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、 見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。 そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。 泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。 やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。 臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。 ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。 彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。 けれど正人は誓う。 ――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。 ――ここは、家族の居場所だ。 癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、 命を守り、日々を紡ぎ、 “人と魔物が共に生きる未来”を探していく。 ◇ 🐉 癒やしと涙と、もふもふと。 ――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。 ――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。 まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。 ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。 転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。 それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...

処理中です...