【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第二章 交わる会合

074.ピッツァはジャンクフード-②

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「こら、四凶達もだけどリースも食べ過ぎよ⁉︎   カティとクラウの分全然ないじゃない!」
『うぐっ』

 ファルミアさんのお陰でヴァスシードサイドがようやく止まりました。

「まあ、カティアはこいつらの爆食い見んの初めてだったからな?」
「残りはお取りしますわ。サイ兄様、そちらのもよろしくて?」
「ああ、いいぞ。しっかし、こりゃ本当に美味いな?   俺も手が止まらなくなりそうだったぜ」

 サイノスさんも気に入ってくださったみたい。
 と、僕とクラウの前には数枚だけどピッツァの盛り合わせが届いたよ。

「ふゅゆぅーー‼︎」

 一斉に自分の前に集まったピッツァにクラウの水色オパールのお目々が輝いたと確信。薄金の羽根もピコピコと言うかバタバタってなってるもの。
 けど、大きいままじゃ持てないからマルゲリータから順にナイフで切り分けてあげたよ。

「はい、どーぞ。僕は後で焼く方の食べるから好きなだけお食べ?」
「ふゅぅ?」

 すると、クラウは何故か首を傾げた。
 僕をジーっと見つめてきてから、くいくいと袖を掴んだ。

「……カティアも一緒に食して欲しいのではないか?」

 セヴィルさんがそう言ってきて、そうなの?とクラウに問いかければコクコクと頷いた。

「……じゃあ、僕も食べるね?」
「ふゅゆ!」

 どれにしようかなーと選んでいれば、サラミピッツァがあったので、それをクラウと半分こしてから頬張りました。

「このラミートン美味しいです‼︎」

 絶妙な塩加減と香辛料の調合具合と言いますか。
 皮くらいの薄さしかないけど、トマトソースと抜群に合ってピーマンと玉ねぎの薄切りを追い出さない旨さ。ぱくぱくって食べきってしまい、物足りなくなったけどサラミピッツァはもうない。

「二回目はこれ多めに作りたいです!   燻製肉オンパレードとかで」
「待って、カティ。それならカッツクリームも乗せてしまいましょうよ」
「あしらいにジェノベーゼ回すのもいいかもです!」

 店じゃやれないけど、お家やデリバリーのトッピングだと何でもし放題に出来るからね。

「ラミートンは美味かったが、そんな興奮するもんか?」
「ルーストしかないと思ってたんで、僕やファルミアさんとしてはラミートンのが馴染み深いんですよ」

 ハーブサラダも頬張りながら僕はエディオスさんの問いに答えた。

「ふゅ、ふゅぅふゅぅ!」

 クラウもサラダを間に挟みながら、口端にトマトソースやマヨネーズをつけちゃってるけど、どんどんお腹に入れていく。昨日のミニマムパンツェロッティの勢いに負けないくらい食べ進めちゃってるよ。

「うぅ……これ余計にお腹空くよ」

 ユティリウスさんがくたんとテーブルの上に顎を乗せちゃった。

(Mサイズにしたけど、あれだけ食べたのに余計にお腹が空くとですと⁉︎)

 他の皆さんの倍以上は食べてましたよね?  
 その細い体のどこにいっちゃったんですか?

「生地を多めに仕込んで正解だったわ。リースの胃袋にはまだまだ入りそうだもの。さ、カティ。急かすようで悪いけど第二陣焼きに行きましょうか?」
「あ、はい!」

 ちょうど自分の分は二、三枚食べて残りはクラウにあげてたから準備は出来ていた。
 厨房に戻り、生地をすぐに広げようとしたらファルミアさんに待ったをかけられちゃった。

「さっきカティが提案してくれた燻製肉のオンパレードについて、私もちょっと考えたの」

 何をするんだろうと見ていたら、ベーコンは短冊切りにソーセージは粗みじん切りに。それをフライパンに油を引かずに入れて、カリカリに焼き上げたのです。

「窯の火だけでもいいかもしれないけど、出来るだけ食感があった方がいいでしょう?」
「これ、デリバリーのトッピングタイプですね」
「ええ、さっき思い出したの」

 レストランとかの店とかじゃこう言う風にはあまりしないんだけど、デリバリーはとにかく早く正確に、しかも美味しいものを提供するがキャッチコピーに多いからね。
 火の通りやすさもだけど、食感も楽しめるトッピングもすっごく多いのだ。

「この炒めたのに、プチマトゥラーとラミートンのスライスに、大雑把にカッツクリーム乗せたのと、別でジェノベーゼ回すのと二種類にしましょうか?」
「うわぁ……よだれ止まらないメニュー!」
「今度はリースや四凶しきょう達もそんなにがっつかないでしょうけど、念の為にたくさん焼きましょう?」
「はーい」

 他にもマリナーラにマルゲリータの追加や箸休めも兼ねてハニーチーズピッツァも焼きました。チーズは一種類とクリームチーズ合わせた二種類タイプと別々に。

「第二陣お待たせしましたー!」

 僕がそう言えば、ユティリウスさんががばりとテーブルから顔を上げたよ。

「何このさっきよりも香ばしい肉の匂い!」
「バラ肉とルーストを炒めてカリカリにしたのを乗せてるのよ。たくさんあるし、今度は皆の分も考慮するのよ?」
「あ、うん」

 ユティリウスさん、奥さんが注意しなければ一人でワンホール分食べる気でいましたね。そうなってもいいように多めには焼いてきたけどさ。

「ん?  このカッツだけしか乗ってないのはなんて言うんだ?」

 サイノスさんがハニーチーズに興味を持ったみたいです。

「デザートには早いですが、お口直しに甘じょっぱいものを用意しました。それは焼いたカッツの上に蜂蜜がかけてあるんです」
「カッツと蜂蜜?  美味いのか?」
「騙されたと思って食ってみろよ。それゼルも食えたんだぜ?」
「マジか?」
「ああ」

 既にセヴィルさんクリームチーズ入りのを食べちゃってるけど。
 それを見てサイノスさんはお目々をぱちぱちされました。

「甘いものが得意じゃねぇゼルが食えるとはなぁ?」

 どれどれ、と1ピース手に取られすぐに口に入れてくれた。

「うぉ!   なんだこれ⁉︎   無茶苦茶美味いぞ‼︎」
「サイノスさんの右手にあるのはカッツクリームも入ったのですよ」
「へぇ。カッツが甘いものと合うなんて思わなかったなぁ?」
「ほんと、これも美味しい‼︎」

 ユティリウスさんもまたがっついています。
 僕も今度はクラウの分も確保しつつ自分の分も食べてるよ?
 ファルミアさん監修の燻製肉オンパレードピッツァは堪らない美味しさです。ジェノベーゼ回した方は風味が加わってクリームチーズのこってり具合とマッチしていた。

「ふゅふゅぅ!」
「……クラウ、もうちょっとゆっくり食べようよ」

 昨日のこともあったから出来るだけ多めには切り分けて上げたけど、ものの数分でお皿が空っぽに。

「そんなちんまいのに俺ら並みに食うのな?」

 サイノスさんはよっぽどハニーチーズがお気に入りになったようで、お肉よりもそっちに手を出していた。

「昨日もよく食べてたもんねー?   まあ、神力を豊富に含んだ卵の殻も全部平らげたから、ちょっとくらいは落ち着いてるだろうけど」

 フィーさんはそう言って、燻製肉とクリームチーズのをぱくぱく食べていた。

「卵の殻も食わせた?」
「何それ、どう言うこと?」
「一応はクラウの空腹を落ち着かせるためにだったけど、証拠隠滅も兼ねてね」
「それは良かったわ。暗部にもまだ調べさせているけど、神獣や高位の聖獣達の体の一部や卵の殻も闇取引で相変わらず注目されてるらしいもの」
「特にクラウはフィーがしょう洞窟に爺様達が生まれる前から置いてたもんな。この城の聖獣達は知ってたらしいが、外部に漏れてたら狙われるだけですまねぇ。四凶しきょう達はそこんとこどうなってた?」

 エディオスさんが実に王様らしい雰囲気を漂よわせて四凶さん達に聞けば、四人共ゆっくりと首を左右に振った。

「その事実は我らも知らなかったな。昨日の力の解放で初めてそちらの神獣の存在を知ったばかりだ。神王国内部でもこちらの獣舎に居る者達の秘匿内容のはず故」

 代表して答えたのは窮奇きゅうきさん。
 すいません、かっこよく言っているんですが口端のトマトソースで台無しです。誰か拭いてあげてください。あ、渾沌こんとんさんがやってあげたね。

「けど、四凶が感じ取れてたってことはさ?   他の国々の守護獣達も気づいてるのは気づいてるかもね」

 ユティリウスさんも実に王様らしい雰囲気ですが、窮奇さん同様にお口周りが……すぐにおしぼりで拭いてくれたからほっとできたけど。

「「あー……」」

 同時に、エディオスさんとセヴィルさんが頭を抱え出しちゃった。セヴィルさんの落ち込む表情初めて見たかも。

「各国の王らからまだ問い合わせは来てねぇが……」
「式典後には殺到するだろうな」
「式典ですか?」
「ええ。エディお兄様の即位記念式典がありますの。今年で50年目ですから、ちょうど節目となるので盛大にとり行われますわ」
「50年、ですか……」

 一瞬、日本史で有名な名言思い出しちゃった。

「カティや私じゃ、蒼の世界だと両親が成人期の子供を持ってて普通の年齢だものね」
「10年ひと昔が普通ですもんね」

 その5倍なのに、この世界だと大したことのない年数らしいからね。

「蒼の世界って、人族の寿命がそんな短いのか?」
「魔獣や聖獣とかも全然いないわよ。かと言って、世界全域が平和とは言い切れないし、貧困の格差は下手すればこちらのスラム以上に危ない国もあるくらいよ」

 中近東やアフリカとかの話だね。
 ちなみにこれらの会話は念の為にフィーさんがまた裏口を封鎖してくれているので給仕さん達には筒抜けになっていません。

「ふゅ、ふゅーぅ!」
「……君はどこまでも食欲に忠実過ぎだよね」

 怖いお話や難しい話題をスルーしてクラウはピッツァを夢中になって貪っていたもの。
 特に、サイノスさんのようにハニーチーズは1ピースを千切らずとも両手を使ってぱくぱくと頬張っている。
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