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第十七章 異界のバカンス旅行
507.洞窟観光から
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と、饕餮さんに言ってもらったのと、絶対ファルミアお手製だと思う『◎』の札を持ち上げたので……準備期間相当楽しんだんだろうなと言うのは予想が出来た。
それから彼には奥に行くように言われたので、また歩きながら目的地を目指すと。
「わぁ!」
奥に行けば行くほど、壁に虹が出来たんじゃ? と思う光景が広がっていたんだ。虹色以外にも、金や銀とか……本当に色んな色があって綺麗!! 蝋燭の灯りがなくてもだんだんと光が強くなっていくから、目が光で慣れていくようだ。
「……これが魔鉱石だ。密売人も欲しがるような美しさだが」
「……欲しがりますよね」
セヴィルさんの情報も納得の美しさだもん。たしかに、デュアリスさんが観光制限した意味がよーくわかった。
ちょっと、一個、欲しいとも思っちゃったけれど……ここは我慢だ。持ってたら大問題かもしれないし。
「……あそこか」
次のチェックポイントをセヴィルさんが見つけたようで、先に進もうと足を早くすると。
ぐにゃり。
って、体が変な具合に曲がった?
何が? と、セヴィルさんに振り返ったんだけど。
そこには……セヴィルさんがいなかった。真っ暗で、洞窟の石の光もない……本当に真っ暗な空間に僕は立っていたんだ。
「セヴィルさん!?」
ファルミアとかの仕業にしてはおかしい。彗にしても、ここまで意地悪な魔術とかしない子だもん。
けど、前後左右真っ暗で、足場は何とかあるんだけど……これは何事??
歩いてみたけど、やっぱりセヴィルさんも誰も居なくて。
僕だけ……になってしまったんだ。
「セヴィルさん!」
もう一度呼んでも、セヴィルさんの声どころか何も聞こえない。
いきなりのことに、びっくりしたけど……泣いている場合でもないから、とにかく走ろうと足を動かしたら。
「う……わっ!?」
地面がいきなり無くなって……落とし穴のように落ちてしまったんだ!?
落ちても落ちても先がわかんなくて、死んじゃうかとも思ったけれど……いきなり、体が思いっきり水の中に叩き込まれて、しょっぱい海水が口いっぱいに入ってきた。
「げほごほ!?」
ぺっぺっと吐き出して、目を出来るだけこすらないようにぐしぐしすると……暗さが消えて、虹色の空間が目の前にあった。
椅子と机が浮いてて……そこには、ひとりのおじいさんが座っていたんだ。
「ようこそ、愛し子よ」
おじいさんは、ある人に似ていた。
僕の記憶を戻してくれた……クロノさん。そして、フィーさんに。
二人を年老いたような感じに、そっくりだったんです。
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