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第三章 交わる記憶
101.事情が事情(ファルミア視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ファルミア視点)
少し、らしくない事をしてしまった。
(ううん、この世界に転生する前だったら……ごく普通のことだわ)
親しくなった知人を家に迎えたい。
そんな当たり前のことを彼女は思い出させてくれた。
しかし、今はそれが簡単に出来るようで出来ないのが歯がゆい。
(あの家のしがらみから抜け出せれただけでも僥倖なのに、欲張りになったものだわ)
友が全くいないわけではないが、リュシアを除けばごく僅か。大半が暗部時代の旧友であるし、王妃となってからは会う機会がめっきり減ってしまった。
私用の時は一応態度を崩してもらえても、カティのように隔たりもなく接してくれる感じではないから。
(カティは、この世界の事情をほとんど知らないもの)
私のように、前世の記憶を持って転生してきたのと訳が違う。
不明な箇所は多々あるが、実年齢より幼くされて一部封印を施されてる以外、ただの女の子。
私が前世あのままで過ごせてもし出会えてたら、いい友人になれてたくらいにとってもいい子。
(私より、元の世界に戻れる可能性はあるだろうけど……それももう手遅れかもね)
今の夫の親友を目線だけで探せば、遊戯に興じながらいつも以上に無愛想ながらも綺麗な顔立ちに苦笑しか湧いてこない。
現神王の従兄弟で王家とも血脈が濃い現宰相に、在ろう事かその初恋の相手が御名手となって再会出来るとは誰も思わなかっただろう。
(まさか、出会った当初に教えてもらったことが実現するなんて思わなかったわ)
ほんの少し、彼の口が滑っただけにこと。
それが、大雑把ではあったがカティとゼルの出会いと彼が抱いた恋心について。
出会ったばかりの頃は、異常に顔が綺麗でも無愛想過ぎて苦手意識を持っていたが、その話を聞けて印象ががらりと変わったのだ。
『……墓場まで持っていくつもりだ』
そう堅く決意していた彼の前に、フィーとエディが連れてきたカティ。
外見は当時と変わりないでいたらしいが、冷徹鉄仮面で知られているゼルの装甲をことごとく打ち砕いて、羞恥や喜色の感情などを簡単に引き出している。
ゼルは日本人年齢じゃ大体25、6歳程度だけど、思春期か!って叫びたかったわ。
それは夫のリースの方が大分驚いていたしね。
(ゼルはあからさま過ぎるけど、カティは自覚があるようでないし……)
この世界の恋愛基準を除いても、彼女がゼルに惹かれていないわけがない。
見るからに心は開いてるし、この前の散歩デートで打ち明けられたことから意識はしてるだろう。
なのに、普段はゼルが宰相の仕事で食事以外接する時間が少ないせいでほとんどいつも通り。
と言うよりも、恋愛感情の波が希薄なのか会話程度だけじゃ表情はあまり崩れない。
おそらく、そこは元の世界での就職先のスキルのせいもあるかも。料理人はなんだかんだで男が多い職業だ。カティが勤めていたところもそうだろうから、切り替えしやすいだけなのかもね。
(これは、第二弾のデート企画を早い事立てなきゃ!)
自国に帰る前に、そのプロデュースくらいは是非ともしたい。
さっきカティと話したように、ヴァスシードに来るようにする手筈もフィーがいるからなんとかなるだろう。
一旦そこは頭の片隅に置いといて、カティと厨房に向かいながらその計画を練ることにした。
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