【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第三章 交わる記憶

100.迷うことは仕方ない

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 ◆◇◆







「う、うーん?」

 食事を終えてもまだお風呂には早いからと、お片付けしてから僕はゲームに参加していた。
 ゲームと言っても、前に皆さんが興じてたチャイルって言う神経衰弱みたいな遊戯だ。

「ふふーん、初心者にすぐ出来てもらっちゃ困るね?」

 対戦相手はフィーさん。
 このゲームは神経衰弱と同じように、相手側が積み札のペアで合わない限りいつまでも引いていい。
 ただし、考え込むとセットで使う砂時計が3分落ち切ってしまうと自動的に相手へチェンジしてしまうルールもある。
 それとは別の大砂時計で、終了した時のタイムも測ってるから何気に頭もだけど、直感力も必要な遊びだ。
 こう言った遊戯は、他だとトランプと同じようなカードゲームだったりチェスだったりとか、地球にあったものが類似してあるそうだ。
 だが、ダントツに人気があるのはこのチャイルだってさ。

「よ、よし、これとこれだ!」

 猫の図式に並べられた小さい木の札を二枚ひっくり返す。
 片方がサイコロみたいな六個の丸達。
 もう片方が、竜の紋様。
 つまりはハズレです。

「はーい、交代!」
「む、難しい……」

 ポンジャンとかと違って、札の中身は伏せて全部同じ裏側にさせてあるからどれがどれだかさっぱりだ。
 今手元にあるのはたったの二組。対するフィーさんは今取っていくのと合わせても15組もある。
 ズルしてんじゃないかってくらい持って行っちゃうけど、最初に『透視はしないからかかってこい』と言われてるので単に経験の差だろう。見た目中学生でもこの少年は神様だからね。

「あ、ハズレだ。いいよー」
「はーい」

 態と外したんじゃないかって思っても違うものは違っていたから手番はこちらに移る。フィーさんの手持ちがいつのまにか30組近く増えてたのは無視だ。盤上も残り少ないのは無視だ。負けるのは当然だから慣れていくしかない。

「全然取れなかったねー?」
「うー……」

 結果はようやく5組取れただけで、他は全部フィーさんに持っていかれて惨敗。
 わかりきってはいた結果でも、こうもぼろぼろにされると地味にショックだ。

「お疲れ様、カティ」
「お疲れ様です」

 設置しておいたドリンクコーナーに行けば、ファルミアさんも終わったのかアイスコーヒーを飲んでいた。
 僕もそれを飲むことにして、甘みをつけるのにシロップと牛乳を加えてカフェオレに。
 シロップは固まりにくいように加工した砂糖らしいが、ガムシロ並みに甘くて美味しい。たっぷり入れて一口飲めば、馴染みあるカフェオレの味になっていた。

「ふーーゅぅ……」

 クラウは、ドリンクの側に簡易ベッドを作って寝かせている。
 夢でも何か食べているのか口をモゴモゴとさせていた。

「ファルミアさんの方はどうでした?」
「ギリギリでサイノスに勝てたわ。彼、曲がりなりにもこの国の将軍だから、なかなか手強いわよ?」
「僕はフィーさんに惨敗でした」
「フィーは特に容赦ないものねー」

 カフェオレを半分飲み終えたら、一度テーブルに置いた。
 他の人達の状況を見れば、皆さん真剣に遊んでいて終わった人はバラバラに見学されているような感じ。フィーさんはエディオスさんのところで、サイノスさんは四凶さん達のところだった。

「楽しいわー、ヴァスシードじゃこうものんびり出来ないもの。帰りたくなくなるわ」

 今はこうしてまったり過ごせても、ファルミアさんは一国の王妃様。お仕事も色々あるから、今みたいに僕とかと料理やお菓子を作ったりする時間はぐっと減っちゃうんだろう。

「式典が終わって少ししたら帰るけど、カティはいつでも遊びにいらっしゃい?   ここに籠り過ぎも良くないもの」
「エディオスさん達が許可出してくれたらですけど……」

 この神王国はかなり広く、規模はアメリカ大陸並みにあるとファルミアさんが言っていた。その隣国でも、距離は相当あるだろう。
 けど、徒歩と言うよりは転移方陣と言うワープゲートを複数利用して移動するそうだ。が、ゲートパスが必要なのと体力がそこそこ削られるので、いくら外見以上の体力がある僕でも予想がつかないのもあるらしい。
 そこは置いとくにして、エディオスさん達が許可を出してくれるか正直怪しい。同行者が誰かいれば問題ないだろうが、世情に疎いのに異常に大人びててかつ料理が得意な子供は少ない。
 このお城の皆さんは優しい人達ばかりでも、他国の人がそれに当てはまるとは限らない。犯罪がまったくない世界なんてないもの。
 セヴィルさんがこの前も言っていたし、下手すると珍しい純金の髪の子供と言うだけで誘拐される恐れもある。だから、いくら親しいファルミアさん達のお国でも早々に遊びに行けるかわからない。
 ファルミアさんもそこは当然わかっているようなので、僕が渋った後に少し苦笑いした。

「まあ、対策は色々すると思うわ。フィーもいるし、そこは考慮されてるはずよ」

 それはたしかに。
 創世神のフィーさんがいるから、万が一のことがあっても大丈夫と思っちゃうのはある。
 今はごく普通の少年な態度で皆さんと接しててもあの人は神様だから。

「まだ終わりそうにないわね。何か作りましょうか?」
「食後ですから、重たくないのがいいですね」
「それと時短出来そうな……おつまみ程度かしら?」

 難しいことは今は忘れて、残りの時間を有意義に過ごすことにする。
 別に遠く離れることになっても、今生の別れじゃない。
 僕は、彼女と同じく元の世界には帰れないから。
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