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第三章 交わる記憶
103.思考の渦(ユティリウス視点)
しおりを挟む☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(ユティリウス視点)
(皆は俺が気づいていないと思ってるんだろうな……?)
皆と言っても、我が妻の守護妖である四凶達の事だけど。
俺はこの国の王女であるアナリュシアとチャイルに興じながら、意識を少しだけ妻に向けているよ?
四凶達には敢えて知らせていないが、俺だって一国の城主だ。暗部にも直属の部下はいるし、他人の気配に機敏になるよう鍛えられている。なにせ、愛しの妻のことだからね。いつでも気にかけているとも。
前にエディに話したら、愛が重いと言われたが気にしていない。
だって、彼女は何もかもが特殊過ぎで目が離せないから。
(そのミーアに、いい友人が出来たしね)
国じゃ気の許せる同性は、正直言って実家から連れてきた侍女達でも乳母子くらいだろう。彼女は当然付いてきてるが、ほとんどは中層でミーアの式典中の衣装の点検などをしてもらっている。
この国の属国とは言っても一国の王妃だから側仕えくらいつけててもおかしくないだろうが、出来ることは大抵出来る俺達だし、四凶達もいるから滞在中は準備の方をまるっとお願いしてるんだ。俺の方も侍女や近習達が不備がないか点検してもらってるしね。
と言うのは建前で、エディ達とはこちらの即位後から気兼ねない付き合いをしてるから好きにさせてもらってるだけだ。
考えが逸れたが、妻とあれだけ気の合う友人が出来たのは今対戦しているアナ以来……いや、それ以上かもしれない。
(趣味もだけど、出身が同じで歳も近いとなれば余計にだろうね)
カティは今幼子でも、実年齢はミーアが前世で身罷った年頃と近いそうだ。
そう言った内容はまだカティには話してないだろうが、どっちにしたって、ミーアの感情の起伏が激しい状態になるなど、俺か四凶達以外にはほとんどなかった。
(そのミーアが、すぐに懐に入れたからねぇ?)
手番がこちらになって札を取りながらも、先程感じた妻の違和感を考察することにした。
(窮奇が何も行動しないと言うことは、もう俺以上に考えてあとで念話するかどうか決めかねてるってとこか?)
俺の勘は大体当たることが多い。
今隣にいる窮奇の表情は試合に半分集中してるせいで見れないが、無表情を装ってもミーアの守護妖になってからは感情の表現が実にわかりやすい。
聖獣に近い存在でも、国では異形の姿が伝承されてるせいで忌み嫌われている彼ら四凶。
俺以上にミーアの側にいる彼らのことだから、内心は酷く焦ってるんだろうな。俺も、多少なりとは焦っているけど。
(俺と出会った時か婚約を申し込んだ時以来じゃないかな?)
ミーアの感情があれほど表に出たのも。
そして、彼女はすぐに諦める悪い癖がある。王妃となってそこそこになるが、元が質素な生活をしていたのと前世の遠慮がちな癖を引き継いで、出来ないことと決めた時は酷くあっさりと諦めてしまう。
今回はどうだったのか予想しか出来ないが……多分、カティのことだろう。
ゼルとのことじゃなく、純粋に彼女だけを一友人としてヴァスシードに招きたかったのかもしれない。
しかし、カティの外見もだがミーア以上に特殊な条件を持ってこの世界にきてしまったのだから、簡単にはエディの国から出せれない。
二人とも頭がいいからそこにはすぐに気づいたのだろう。そのことに行き当たった後、ミーアは自己嫌悪してしまった可能性が高い。
(いいのになぁ……少しくらいは)
基本わがままを言わない妻だから、それについては叶えてあげたい。
カティは、俺だって気に入ってる子だから。
「いけますわ!」
半分意識を沈めていたのでふと盤上を見れば……アナにかなり札を取られていた。どうやら、今日は俺が調子が悪くて彼女は調子が良いようだ。
考え事をしながら遊戯に興じるのは悪いことだが、ミーア達がいない今これ以上思考の渦に沈んでても意味がない。あとで聞いて来るだろう四凶達と考えることにしよう。
「まだ挽回は出来るよ、アナ?」
「望むところですわ!」
宣戦布告をして、妻のもう一人の友人との試合を続けた。
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