【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第三章 交わる記憶

104.ジャンクな和菓子?

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 ◆◇◆






「うーん、そうねー……」

 ただ今貯蔵庫にてファルミアさんと材料探し中だ。
 することのない僕らは簡単に作れるお菓子かつまみを作るのに、ごそごそ動きながら材料を持ち上げては首をひねっていた。

「カッツで作るのも悪くないけど、今日はティラミスも食べたから……もう少し軽めのがいいわね」
「皆さん、あまりお酒を飲まれるところは見てないですが」

 晩酌とか食事中に飲むのはほとんど見たことがない。

「そうね。今はカティがいるからあえて飲んでないかもしれないわ。食後か自分の部屋では飲んでるかもしれないわね」
「え、どうして?」
「中身はともかく、外見がその姿だもの。分別があると言っても、幼子が興味を持ってはいけないとエディ達も考えてるでしょうね」
「あー……」

 もっともらしい理由だ。
 実年齢が成人してても、外見が8歳児じゃ誰だって信じてもらえないだろうし、万が一口にして二日酔いになったら心配されるだけで済まない。
 エディオスさん達もそこを考慮されて僕にお酒を触らせないでいるのだろう。
 と言っても、僕は最近成人式を迎えたばかりだからお酒なんてほとんど口にしたことがない。さすがに、式後の懇親会ではツッコミ親友達と一緒にカクテルを一、二杯は飲んだが大した量じゃなかった。
 レストランで就職してからも、お酒を扱うことはあっても試飲するのはおもに先輩達だけだから。
 ティスティングだったり料理用に使うのだったり。

(けど、甘いのが多いから塩気の多いのがいいかも)

 だとしたら、すぐに出来て美味しいものだとあれがいいだろう。

「ファルミアさん、ポテトチップスはどうでしょう?」
「いいわ!   海苔もまだ残ってるからのり塩もいい……ダメね。歯磨きとかで苦戦するからリュシアが可哀想だわ」
「そ、そうですね……」

 なので、無難な塩に加えてコンソメにすることになった。

「けど、芋系だけでも少し物足りないわね。うちの人達が特に際限なく食べるから」
「あともう一品くらいですか……」

 出来るだけ手づかみで手軽に食べられる……ポテチ以外になんだろう?
 そこまでスナック菓子を作ったことがないからなかなか思いつかない。

「あ、そうだわ。穀物はなくても粉状のはあったわね」

 手を叩いてから、ファルミアさんは粉の棚に向かってから少し大きめの紙袋を持ってこられた。だいたい2キロサイズかな?

「なんの粉ですか?」
「米粉よ。こっちじゃウルス粉って呼ばれてるのだけど」
「これでおつまみを?」
「私達には懐かしいお菓子よ。おかきを作る方法があるの!」
「おお!」

 作ったことはないが、これは楽しみだ。
 まずはジャガイモの皮を洗って皮を剥いてから大量にスライスをこしらえた。

「揚げるのは私がするわ。その間に調味料とかをお願いね」
「はーい」

 と言ってもすぐ出来ちゃうから、終わってすぐにポテチの揚げ具合を一緒に見ることに。

「揚げたては作り手の特権よ?」

 数枚は塩なしで食べたが、それでも十分美味しかった。ちょっと甘くてパリパリとした食感が病みつきになること間違いなし!

「これは……良いつまみになりますね」

 まだ残っていらしたマリウスさんには塩味で試食してもらいました。

「味付けは色々出来るけれど、指が汚れるのが難点ね。フォークなんかじゃ崩れるもの」
「手拭きが常備品となりますか」
「もし作る機会があるなら、そうしてちょうだいな。さて、これが出来たらメインの方よ」

 冷ましてる間におかき作りに取り掛かるようだ。
 材料は、米粉と水に塩を少し。
 たったこれだけを計量してからボウルに投入。
 そのまま混ぜるかと思いきや。

「ここに熱を加えるの。……レンジの要領で」

 最後の部分を僕にこそっと教えてくれたが、その内容には納得出来た。
 もち米とかなら蒸す作業をすれば出来るだろうが、原材料の米類がないので普通の用法じゃ餅状にはならないのだろう。

「魔法は火を起こすのと冷却魔法の応用だと思えばいいわ」

 と言ってボウルに手をかざせば、冷却とは違って火の粉のような結晶が手のひらから出てボウルに向かっていく。
 ざっと1分くらいそのままにして、終わればターナーでかき混ぜてもう一度温める。二回繰り返したことで混ぜれば弾力が出てきて、粉っぽさがなくなるまでこねてから打ち粉を振ったまな板に乗せた。

「これを薄く伸ばしてひと口大に切って、中温の油で綺麗な色になるまで揚げればいいわ。一手間に揚げる際手でもう少し薄く伸ばしておけば、より食感がよくなるの」

 実践して出来上がったものを見れば、綺麗なおかきが出来上がっていた。
 同じく製作の特権で揚げたてを少し塩をまぶして食べれば、ポテチよりは固くてもパリポリと口の中で弾ける食感と程よい塩気が絶妙だ。

「美味しいです!」
「ウルス粉はおもにパンでしか使っていなかったんですが……わずかな材料と手間次第でこのようにもなるのですね?」

 マリウスさんも気に入られたようでぽりぽりと食べ進めていた。

「これも味付けは色々出来るの。サイソースだけでもいいけど、砂糖を混ぜてもいいわね」
「興味深いですね」

 けど試すのは自分達でやってみるからとファルミアさんには聞かないことにされて、片付けを終えてから僕らはお菓子を乗せた台車を押して食堂に戻った。
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