【完結】ピッツァに嘘はない! 改訂版

櫛田こころ

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第十八章 バカンスも終わって

587.懐かしのパンツェロッティを-①

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 美味しいお茶を飲んだら、小腹が空いてきてしまった。

 緊張が高まっているのに、体は正直だ。虫の音も響いたので、セヴィルさんには苦笑いされたのでありまする。


「何か用意するか?」
「……ここって、使用人さんとかいるんですか?」
「管理人のようなものは置いているが、常駐ではない。俺が作れなくないからな」
「セヴィルさんが?」
「城ではほとんどしないが、俺もエディオスらと昔はあちこち行ったりしていたからな。簡単なものなら出来る」
「……じゃあ、いっしょに作ります?」


 セヴィルさんと共同作業ができたら、きっと楽しいだろう。なので、提案してみればセヴィルさんは頷いてくれた。


「貯蔵庫に行こう。食材は保存の魔術がかかっているから、悪くなっていないはずだ」


 それでも定期的に入れ替えてはいるらしく……案内された貯蔵庫に行けば、新鮮な野菜から保存のきくものまでなんでもあった。これがセヴィルさんのために、と用意されているものだと思うと……料理する姿がどんなものになるのか、想像するだけで楽しい。

 とりあえず、僕らの思い出の味であるピッツァ……パンツェロッティを作ることにしたよ!


「生地の仕込みに必要な材料もあるだなんて」
「俺は作れないが、たまに管理人が自分でパンを作るらしい」
「なるほど。セヴィルさん、時間操作の魔術……出来ます?」
「? 生地に使うのか?」
「はい。僕だとまだ成功しにくくて」
「わかった」


 発酵の手間を省けるのであれば、ここは協力しなくちゃだからね。セヴィルさんだと無詠唱でパパッと出来るから、相変わらず凄い。

 具材はシンプルなトマトソースとベーコンにチーズ。

 もう片方は、ジェノベーゼ。にんにくあるけど。僕らだけだから気にしない。

 キス……するかはわかんないけどね!?

 それはともかくとして、セヴィルさんの料理技術は普通より少し上くらいだった。つまり、手際がいいのだ。


「閉じて……セヴィルさんひとつずつでいいです?」
「とりあえずはそうだな」
「余ったら、クラウが全部食べちゃいそうですもんね」
「違いない」


 緊張が少しずつほぐれてきたけど……やっぱり、ずっとドキドキしちゃう。

 バカンス以来だから、セヴィルさんとこんなにもたくさん話すのが。

 なので、進展はともかく……セヴィルさんともっとたくさんいっしょにいたい。

 料理も嬉しいけど、そんな穏やかな時間も過ごしていきたいのだ。

 パンツェロッティは、美味しそうに出来上がったから食堂の部屋で食べることになった。クラウは起こしてあげたら、いい匂いってよだれを洪水のように流したので、拭くのが大変だった……。
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