192 / 616
第六章 実り多き秋の騒動
192.収穫を楽しむ(途中別視点有り)
しおりを挟む
御名手は伏せているが後見人さん?としてセヴィルさんが宛てがわれたと言うことにしたため、今回は初参加だから他の子供達と一緒じゃない。
遠目にこっちを見る人達があり得ないモノを見たような目を向けてても、出来るだけスルーしておきます。
いちいち反応してたらキリがないので。
「果物の種類によって得点とかあるんですか?」
「そうだな……」
ポイントらしい場所を目指しながら歩いていると、セヴィルさんが少し立ち止まって周囲の木々を見渡した。
そして、綺麗なサクランボが成ってる枝に手を伸ばして三つ子ちゃんを摘んだ。
「こう言うモノだったり、色艶や大きさはもちろんだな。子供は好き放題取る傾向が強いからなんだって籠に入れるが」
「セヴィルさんはどうだったんですか?」
「……とりあえず、最下位にはならぬよう適当にやっていた」
実にセヴィルさんらしい回答だ。
「ふゅ、ふゅぅ!」
「今回はあんまり食べちゃだーめ!」
「ふゅぅ……」
言い聞かせておかないと、他の人が収穫する分まで食べちゃうだろうから念入りに。
僕達いつものメンバーが摘んだ分はフィーさんが言い出したようにデザートピッツァの材料にするから、マリウスさんに事情は説明してあります。
作るのは、はやくても明日だけどね?
せっかく上層コックの皆さんが用意してくれるご馳走を食べないわけにもいかない。
のは建前で、僕が食べたいからと少しワガママを言ったんです。
「俺は上の方を中心に収穫するが、ピッツァにチェイルは使えるのか?」
「前に作ったフェイのでしたら、同じようなのが作れますね」
「……焼くなら硬い方がいいのか?」
「うーん、味見したことがないのでなんとも」
「そうか」
なら、とさっき摘んだ三つ子ちゃんを僕の手に乗せてくれました。
「い、いいんですか?」
「収穫祭は親交会のようなものだ。子供もだが大人とて摘みながら食べる者もいる。ちなみにエディオスとフィルザス神はその筆頭だ」
わかりやすい解説ありがとうございます。
それなら、三つもあるので一人一個ずつ分ける事にした。
タネはないか少し心配だったが、これは無い品種らしいのでクラウがごっくんしても大丈夫だって。
クラウの口に入れてから僕も一口。
「甘酸っぱい!」
酸味はあんまり強くなくて、少し桃に近い味。
果物狩りでサクランボは遠方過ぎたから初めてだけど、これは美味しい。熟し具合も程よくて焼いたら酸味が少し抜けてクリームチーズと合いそう!
「これくらいなら大丈夫ですね!」
「他は適当でいいか?」
「お任せします!」
「ふゅ」
いつまでも話してちゃいけないから収穫に移ることにした。
クラウには摘み方をこの間教えたので、小ちゃい手でブルーベリーやラズベリーとかを一個ずつ摘んでは僕の持ってる籠に入れてくれた。
「ふゅ、ふゅ!」
「今摘んでもピッツァは明日だよ?」
「ふゅ」
むしろ、その為に必死になって摘んでるって感じだ。
僕も色艶や形を見ながら摘んでは籠に入れていく。
学校や職場では食材の良し悪しなんかの目利きは鍛えられるので、多少は今回の競技に有利だ。
それでも、何百年も生きてるこの世界の人達の経験値に比べたら大したことないけど。
「ん?」
セヴィルさんから少し距離を置いて見つけたブルーベリーの木。
マリウスさんに教えてもらった赤みの多い葉っぱではあるけど、実の形がどことなく他のより小さい気がした。
「これって」
「リルシャだな」
「ひゃ」
後ろからいきなりセヴィルさんが声をかけてきたから驚いてしまった。
「すまない。夢中になってフェイを摘んでるのを見ててな?」
「い、いえ。すみません……このリルシャって食べれないんですか?」
「薬効には最適だが、食用にするのはあまり好まれてない。とにかく渋いんだ」
「薬、ですか?」
「蜂蜜などを混ぜ込んで使うが、主に頭痛薬や腹痛用だ」
「おお」
たくさん実ってても、使わないからそのままだったんだ。
薬草についてのお勉強はまだ始まってないので、ちょっと覚えておこう。
「ぶ、ぶゅゆゆゆ⁉︎」
「クラウ?」
急に変な声を上げてどうしたんだろうと見れば、セヴィルさんが説明したのが遅かったからかリルシャの実を食べてしまったようだ。
「自業自得だよ、クー?」
「びゅー……」
「口直しに、そこのダイナでも食べて来い」
セヴィルさんが指したのは、この間裏庭で見つけた木苺みたいなのだった。
クラウはこくこくと頷いてから、すぐにその茂みに飛びついてぱくぱくとダイナを口に入れては咀嚼していった。
「あれも対象ですか?」
「一応そうだな。ほとんどはジャム用だが」
「セリカさんにジャムクッキー作ってもらえますかね?」
「頼んでみてはどうだ?」
なら、とクラウが食べてない方の群生を出来るだけ摘むことにした。
それでちょうど僕の籠は半分くらいになった。
「やっと半分ですね」
「俺もそんなところだ」
見せてくれた籠には木の枝に実ってるものが色々と入っていた。
「姿勢とか辛くないですか?」
「やわな鍛え方はしてない。……サイノス達のに比べれば劣るが」
そう言えば、セヴィルさんが身軽なのは知ってても剣とか攻撃魔法が使えるとか使ったところは見たことないや。
「鍛錬とかされてるんですか?」
「今は執務が多いから気晴らし程度だ。エディオスにはたまに付き合えと言われるが、受け流すので精一杯なのをどうしろと」
「エディオスさんは強そうですしね……」
冒険者もやってるくらいだから、腕っぷし強そうだもの。
「……一度休憩を挟もう。俺達は別に競ってないからな?」
「いいんですか?」
「子供とて休み休みやってるものだ。別に構わない」
なら小休止しますか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(????視点)
考えが甘過ぎた。
まさか、宰相閣下とご一緒に参加とは思わなかった。
(なんで子供なら守護獣とじゃないんだよ⁉︎)
連れ出そうに、子供嫌いで有名な閣下があり得ない表情と態度で接しているから捕まえようにも難しい。
一瞬、リルシャの方に一人で向かったから好機だと思ったのに、それもまた閣下がすぐに近づいたので拘束の魔法を撃てなかった。
「今ものんびり休憩って……なんであそこまで閣下が気を許してるんだ?」
子供もだが、女も王女殿下以外は特に苦手としてることで有名な方だ。
それでも、あの美貌だから憧れの的ではあるらしいが今はどうでもいい。
「やっぱ、予定に組み込むの躊躇ってたやつ使うか……」
こうなってはいてもたってはいられない。
準備をすべく、彼らが後で向かいそうなところへ仕掛けを施すことにした。
遠目にこっちを見る人達があり得ないモノを見たような目を向けてても、出来るだけスルーしておきます。
いちいち反応してたらキリがないので。
「果物の種類によって得点とかあるんですか?」
「そうだな……」
ポイントらしい場所を目指しながら歩いていると、セヴィルさんが少し立ち止まって周囲の木々を見渡した。
そして、綺麗なサクランボが成ってる枝に手を伸ばして三つ子ちゃんを摘んだ。
「こう言うモノだったり、色艶や大きさはもちろんだな。子供は好き放題取る傾向が強いからなんだって籠に入れるが」
「セヴィルさんはどうだったんですか?」
「……とりあえず、最下位にはならぬよう適当にやっていた」
実にセヴィルさんらしい回答だ。
「ふゅ、ふゅぅ!」
「今回はあんまり食べちゃだーめ!」
「ふゅぅ……」
言い聞かせておかないと、他の人が収穫する分まで食べちゃうだろうから念入りに。
僕達いつものメンバーが摘んだ分はフィーさんが言い出したようにデザートピッツァの材料にするから、マリウスさんに事情は説明してあります。
作るのは、はやくても明日だけどね?
せっかく上層コックの皆さんが用意してくれるご馳走を食べないわけにもいかない。
のは建前で、僕が食べたいからと少しワガママを言ったんです。
「俺は上の方を中心に収穫するが、ピッツァにチェイルは使えるのか?」
「前に作ったフェイのでしたら、同じようなのが作れますね」
「……焼くなら硬い方がいいのか?」
「うーん、味見したことがないのでなんとも」
「そうか」
なら、とさっき摘んだ三つ子ちゃんを僕の手に乗せてくれました。
「い、いいんですか?」
「収穫祭は親交会のようなものだ。子供もだが大人とて摘みながら食べる者もいる。ちなみにエディオスとフィルザス神はその筆頭だ」
わかりやすい解説ありがとうございます。
それなら、三つもあるので一人一個ずつ分ける事にした。
タネはないか少し心配だったが、これは無い品種らしいのでクラウがごっくんしても大丈夫だって。
クラウの口に入れてから僕も一口。
「甘酸っぱい!」
酸味はあんまり強くなくて、少し桃に近い味。
果物狩りでサクランボは遠方過ぎたから初めてだけど、これは美味しい。熟し具合も程よくて焼いたら酸味が少し抜けてクリームチーズと合いそう!
「これくらいなら大丈夫ですね!」
「他は適当でいいか?」
「お任せします!」
「ふゅ」
いつまでも話してちゃいけないから収穫に移ることにした。
クラウには摘み方をこの間教えたので、小ちゃい手でブルーベリーやラズベリーとかを一個ずつ摘んでは僕の持ってる籠に入れてくれた。
「ふゅ、ふゅ!」
「今摘んでもピッツァは明日だよ?」
「ふゅ」
むしろ、その為に必死になって摘んでるって感じだ。
僕も色艶や形を見ながら摘んでは籠に入れていく。
学校や職場では食材の良し悪しなんかの目利きは鍛えられるので、多少は今回の競技に有利だ。
それでも、何百年も生きてるこの世界の人達の経験値に比べたら大したことないけど。
「ん?」
セヴィルさんから少し距離を置いて見つけたブルーベリーの木。
マリウスさんに教えてもらった赤みの多い葉っぱではあるけど、実の形がどことなく他のより小さい気がした。
「これって」
「リルシャだな」
「ひゃ」
後ろからいきなりセヴィルさんが声をかけてきたから驚いてしまった。
「すまない。夢中になってフェイを摘んでるのを見ててな?」
「い、いえ。すみません……このリルシャって食べれないんですか?」
「薬効には最適だが、食用にするのはあまり好まれてない。とにかく渋いんだ」
「薬、ですか?」
「蜂蜜などを混ぜ込んで使うが、主に頭痛薬や腹痛用だ」
「おお」
たくさん実ってても、使わないからそのままだったんだ。
薬草についてのお勉強はまだ始まってないので、ちょっと覚えておこう。
「ぶ、ぶゅゆゆゆ⁉︎」
「クラウ?」
急に変な声を上げてどうしたんだろうと見れば、セヴィルさんが説明したのが遅かったからかリルシャの実を食べてしまったようだ。
「自業自得だよ、クー?」
「びゅー……」
「口直しに、そこのダイナでも食べて来い」
セヴィルさんが指したのは、この間裏庭で見つけた木苺みたいなのだった。
クラウはこくこくと頷いてから、すぐにその茂みに飛びついてぱくぱくとダイナを口に入れては咀嚼していった。
「あれも対象ですか?」
「一応そうだな。ほとんどはジャム用だが」
「セリカさんにジャムクッキー作ってもらえますかね?」
「頼んでみてはどうだ?」
なら、とクラウが食べてない方の群生を出来るだけ摘むことにした。
それでちょうど僕の籠は半分くらいになった。
「やっと半分ですね」
「俺もそんなところだ」
見せてくれた籠には木の枝に実ってるものが色々と入っていた。
「姿勢とか辛くないですか?」
「やわな鍛え方はしてない。……サイノス達のに比べれば劣るが」
そう言えば、セヴィルさんが身軽なのは知ってても剣とか攻撃魔法が使えるとか使ったところは見たことないや。
「鍛錬とかされてるんですか?」
「今は執務が多いから気晴らし程度だ。エディオスにはたまに付き合えと言われるが、受け流すので精一杯なのをどうしろと」
「エディオスさんは強そうですしね……」
冒険者もやってるくらいだから、腕っぷし強そうだもの。
「……一度休憩を挟もう。俺達は別に競ってないからな?」
「いいんですか?」
「子供とて休み休みやってるものだ。別に構わない」
なら小休止しますか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆(????視点)
考えが甘過ぎた。
まさか、宰相閣下とご一緒に参加とは思わなかった。
(なんで子供なら守護獣とじゃないんだよ⁉︎)
連れ出そうに、子供嫌いで有名な閣下があり得ない表情と態度で接しているから捕まえようにも難しい。
一瞬、リルシャの方に一人で向かったから好機だと思ったのに、それもまた閣下がすぐに近づいたので拘束の魔法を撃てなかった。
「今ものんびり休憩って……なんであそこまで閣下が気を許してるんだ?」
子供もだが、女も王女殿下以外は特に苦手としてることで有名な方だ。
それでも、あの美貌だから憧れの的ではあるらしいが今はどうでもいい。
「やっぱ、予定に組み込むの躊躇ってたやつ使うか……」
こうなってはいてもたってはいられない。
準備をすべく、彼らが後で向かいそうなところへ仕掛けを施すことにした。
21
あなたにおすすめの小説
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる