63 / 182
第1章
第六十三話 冒険者ラッテの物語
しおりを挟む
冒険者ラッテの物語の中でルーミエはどの話が好きか聞くと
「私は衛星ゲオルでの魔人との戦いね」
と答えてくれた。
衛星ゲオルとは前世の世界でいうところの”月”にあたるもので、こちらの世界でも同じように太陽の光を浴 びて満ち欠けをする衛星のことだ。
「昨日ちょうどゲオルが丸くきれいに輝いていたから思い出していたの。それで今、この話をしてるってすごい不思議だなーって思って……」
夜空に輝く衛星ゲオルにある国でラッテたちと魔人率いる魔物軍団との戦いが広大な王国を舞台に繰り広げられる物語だ。
ラッテの時代にもいた遠見夜(とおよみ)巫女の神託によって、ゲオルにある王国が襲われることがわかった。
国王はゲオルの外にも助けを求め冒険者たちを多く募った。ラッテ一行もその要請に答えるべく、黄金の船で暗闇の夜空を渡り、ゲオルに到着したのは襲撃直前だった。そして魔人との死闘を繰り広げ、何とか王国を守り抜いた。
しかし、ラッテは魔人との激しい戦いの中、愛刀をゲオルの外の闇に落とし、失ってしまう。魔人になんとか勝利したものの代償は大きかった。いくら探しても見つからず、諦めて帰るラッテ一行。
失った愛刀は変幻自在の魔剣で持ち主を選ぶと言われ、持つ者の強さによって特製が変わる武器だ。
ルーミエはその物語を呼んだあとの思い出を語ってくれた。
「そのお話を読んだあとにね、本当にそのラッテの使っていた剣が欲しくてね。どこかに落ちてないかって、お兄様やお父様に聞いたことがあるわ。ふふふ……。落ちてるわけないのにね」
確かにあんな魔剣があったら俺もほしいとは思うが、あの広い宇宙空間を宇宙服やそれ相応の装備無しで探し出すことは不可能だろう……。
ん……待てよ?この世界では宇宙に出られるのかな。
「ルーミエ、衛星ゲオルって行くことができるのか?」
「ラッテたちは黄金の船で行ったって書いてあるけど、実際に行く手段はないわね」
そりゃそうだよな……。
「俺の箱魔法でも行けるかな?」
ユウキも「あ、それいいかも、行ってみたい~」と喜んでいる。
そもそもこの世界の宇宙は空気があるのか?
いや、箱魔法でかなり高いところを飛ぶと空気を薄く感じる。おそらく前世の世界と同じく宇宙には空気がないはずだ……。
しかし行くことのできない場所に行ったことになっているのだろうか。他の物語の地名や場所はほんとんど実在するものばかりなのにこの話は少しあいまいに書かれている。謎だな……。
□
まるまる一日ベッドで楽しんでしまった。そしてさらに食べて語って飲んで楽しんでを繰り返し迎えた二日目の真夜中のこと。カラルが予定を一日早めて戻ってきた時に、俺たち三人はあられもない姿で、楽しんでいる最中だった。
あとで聞いたら、寝ていたら起こすのも悪いかなって思って連絡せずに帰ってきたんだとか。
カラルは俺たちの姿を見ても平然している。
「あら?アキト様、お取込み中だったのね。どうぞお続けになって、わらわはここで待ってるから……」
ルーミエもユウキも気まずそうだが、俺は思い切った提案をする。勢いって大切だって言ってたよな。
「カラルも一緒にする?」
「「えっ?」」
ルーミエとユウキが驚く。
カラルは「もちろんよ」と満面の笑みだ。カラルは着替えてくるということでバスルームの方へ向かった。一旦ストップして、俺は悪魔族との契約についてルーミエとユウキに説明した。
「へぇ~、悪魔族にはそんな秘密があるんだね」
「アキト、千年も生きちゃうの?すごいね」
二人には怒られるどころか、逆に感心されてしまった。
そして戻ってきたカラルは、俺の好きな猫耳ミニスカートメイド姿だった。それを見たルーミエとユウキの『ふ~ん、なるほどね。アキトはこういうのが好きなんだ……』と二人の顔に書いてあった。
描写をすればおそらく長々となってしまうので端的に言うと、三人をどういう感じに取り扱っていいのかわからず,迷いながらも時間をかけてさらに明け方まで楽しみました。とだけ言っておこう。
□
翌朝、ベッドで絡み合ったまま眠っていた俺たちは朝食前にみんなで仲良く風呂に入った。湯舟が狭いので大きなものを買おうとお風呂担当大臣であるユウキの提案をみんなで採択した。
そして朝食後はみんな思い思いの時間を過ごす。
エソルタ島攻略のことをルーミエの持っている地図を見ながら、どの部分から攻めていこうか……。と考えているときだった。俺は「あっ」と、声を上げるくらいのことを思いついてしまった。
昨日のルーミエのラッテの愛刀を失う話で、衛星ゲオルも物語からは欠けている様子もなく、真ん丸なことが書いてある。そしてエソルタ島は真円に近い形をしている。
もしかしてラッテ一行はゲオルではなくエソルタ島に来ていないか?
実際に行くことのできない衛星に行ったことにして、愛刀を失った事実をぼやかして書いている可能性はないだろうか。さすがのラッテも海底に落としてしまって取りにいけなかったのだろう……。俺の箱魔法であればラッテ達でも取りに行くことができなかった海底を探ることは可能かもしれない。
エソルタ島の攻略前にさぐってみるか。
「私は衛星ゲオルでの魔人との戦いね」
と答えてくれた。
衛星ゲオルとは前世の世界でいうところの”月”にあたるもので、こちらの世界でも同じように太陽の光を浴 びて満ち欠けをする衛星のことだ。
「昨日ちょうどゲオルが丸くきれいに輝いていたから思い出していたの。それで今、この話をしてるってすごい不思議だなーって思って……」
夜空に輝く衛星ゲオルにある国でラッテたちと魔人率いる魔物軍団との戦いが広大な王国を舞台に繰り広げられる物語だ。
ラッテの時代にもいた遠見夜(とおよみ)巫女の神託によって、ゲオルにある王国が襲われることがわかった。
国王はゲオルの外にも助けを求め冒険者たちを多く募った。ラッテ一行もその要請に答えるべく、黄金の船で暗闇の夜空を渡り、ゲオルに到着したのは襲撃直前だった。そして魔人との死闘を繰り広げ、何とか王国を守り抜いた。
しかし、ラッテは魔人との激しい戦いの中、愛刀をゲオルの外の闇に落とし、失ってしまう。魔人になんとか勝利したものの代償は大きかった。いくら探しても見つからず、諦めて帰るラッテ一行。
失った愛刀は変幻自在の魔剣で持ち主を選ぶと言われ、持つ者の強さによって特製が変わる武器だ。
ルーミエはその物語を呼んだあとの思い出を語ってくれた。
「そのお話を読んだあとにね、本当にそのラッテの使っていた剣が欲しくてね。どこかに落ちてないかって、お兄様やお父様に聞いたことがあるわ。ふふふ……。落ちてるわけないのにね」
確かにあんな魔剣があったら俺もほしいとは思うが、あの広い宇宙空間を宇宙服やそれ相応の装備無しで探し出すことは不可能だろう……。
ん……待てよ?この世界では宇宙に出られるのかな。
「ルーミエ、衛星ゲオルって行くことができるのか?」
「ラッテたちは黄金の船で行ったって書いてあるけど、実際に行く手段はないわね」
そりゃそうだよな……。
「俺の箱魔法でも行けるかな?」
ユウキも「あ、それいいかも、行ってみたい~」と喜んでいる。
そもそもこの世界の宇宙は空気があるのか?
いや、箱魔法でかなり高いところを飛ぶと空気を薄く感じる。おそらく前世の世界と同じく宇宙には空気がないはずだ……。
しかし行くことのできない場所に行ったことになっているのだろうか。他の物語の地名や場所はほんとんど実在するものばかりなのにこの話は少しあいまいに書かれている。謎だな……。
□
まるまる一日ベッドで楽しんでしまった。そしてさらに食べて語って飲んで楽しんでを繰り返し迎えた二日目の真夜中のこと。カラルが予定を一日早めて戻ってきた時に、俺たち三人はあられもない姿で、楽しんでいる最中だった。
あとで聞いたら、寝ていたら起こすのも悪いかなって思って連絡せずに帰ってきたんだとか。
カラルは俺たちの姿を見ても平然している。
「あら?アキト様、お取込み中だったのね。どうぞお続けになって、わらわはここで待ってるから……」
ルーミエもユウキも気まずそうだが、俺は思い切った提案をする。勢いって大切だって言ってたよな。
「カラルも一緒にする?」
「「えっ?」」
ルーミエとユウキが驚く。
カラルは「もちろんよ」と満面の笑みだ。カラルは着替えてくるということでバスルームの方へ向かった。一旦ストップして、俺は悪魔族との契約についてルーミエとユウキに説明した。
「へぇ~、悪魔族にはそんな秘密があるんだね」
「アキト、千年も生きちゃうの?すごいね」
二人には怒られるどころか、逆に感心されてしまった。
そして戻ってきたカラルは、俺の好きな猫耳ミニスカートメイド姿だった。それを見たルーミエとユウキの『ふ~ん、なるほどね。アキトはこういうのが好きなんだ……』と二人の顔に書いてあった。
描写をすればおそらく長々となってしまうので端的に言うと、三人をどういう感じに取り扱っていいのかわからず,迷いながらも時間をかけてさらに明け方まで楽しみました。とだけ言っておこう。
□
翌朝、ベッドで絡み合ったまま眠っていた俺たちは朝食前にみんなで仲良く風呂に入った。湯舟が狭いので大きなものを買おうとお風呂担当大臣であるユウキの提案をみんなで採択した。
そして朝食後はみんな思い思いの時間を過ごす。
エソルタ島攻略のことをルーミエの持っている地図を見ながら、どの部分から攻めていこうか……。と考えているときだった。俺は「あっ」と、声を上げるくらいのことを思いついてしまった。
昨日のルーミエのラッテの愛刀を失う話で、衛星ゲオルも物語からは欠けている様子もなく、真ん丸なことが書いてある。そしてエソルタ島は真円に近い形をしている。
もしかしてラッテ一行はゲオルではなくエソルタ島に来ていないか?
実際に行くことのできない衛星に行ったことにして、愛刀を失った事実をぼやかして書いている可能性はないだろうか。さすがのラッテも海底に落としてしまって取りにいけなかったのだろう……。俺の箱魔法であればラッテ達でも取りに行くことができなかった海底を探ることは可能かもしれない。
エソルタ島の攻略前にさぐってみるか。
44
あなたにおすすめの小説
ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~
楠富 つかさ
ファンタジー
ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。
そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。
「やばい……これ、動けない……」
怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。
「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」
異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる