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第1章
第九十三話 複数契約
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カムラドネの遠見夜(とおよみ)の巫女の屋敷の裏にある自宅に向かう。玄関を入ると三人のメイドさんが深々とお辞儀をして迎えてくれた。
「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」
「ただいま、皆さん。長い間ほったらかしにしておいてすいませんでした」
「ほんとうですわ、雇われたと思ってこちらのお屋敷に異動したものの、まったくの放置ですし……」
「お給料は出るから、毎日きっちりお屋敷をみがかせていただきましたよ。ご主人様のお部屋は面白いことになっていますわね……ふふふ」
確か俺の部屋は嫁たちの部屋とつながっていたんだっけ……。
彼女たちにしどろもどろになりながら部屋の説明をして、ようやく本題にたどり着き、イドンにある賃貸住宅に来てほしいことを告げる。
「まぁ、カガモン帝国領の高級リゾート地ですか?憧れの地ですけど、とても遠いところですわね、ここから何日かかるのでしょうか?」
「そんなにはかからないよ。このことはできるだけ秘密にしてほしいんだけれど、俺の魔法ならすぐにつくよ」
「じゃあ、何か実家で緊急事態があったら?」
「屋敷を通して連絡をもらえるように手配するよ」
「もともと住み込みの身ですが、実家にも連絡しておきたいのと、身支度を整えたいので少しお時間をください」
「わかった、明日の朝に出発するから、準備をしておいてね」
そう伝えると三人のメイドさんはそれぞれ準備に取り掛かった。
□
庭で待っているとノイリが笑顔いっぱいで出てきた。
「お待たせしました、アキトさん」
「それじゃあ行くよ」
箱魔法を展開して、その中に乗ってもらう。異世界転移魔法陣……発動。
赤く輝く魔法陣を箱魔法で潜り抜け、そして魔人の世界をから魔法陣を通り、こちらの世界のイドンに戻ってくる。今回も特に何事もなく無事に到着した。
「はい、到着したよ」
玄関を入って帰ったことを告げるとみんな出てきた。ノイリを連れてくることは伝えていなかったのでちょっとしたサプライズイベントになった。
食事はすでに準備が整っていて、ユウキが始まりの音頭をとった。
「それでは明日からのエソルタ島奪還に向けて、景気づけで豪勢なお料理やお酒も用意したよ。それではサプライズゲストのノイリから一言お願いね!」
「えっ!あっ、はい。今日は皆さんとお会いできて本当にうれしいです。
先代の時には旅行なんて考えられなかったのですが、アキトさんのおかげでここに来ることができました。これからも皆さんのところへちょくちょく来ちゃいますがよろしくお願いしますね。それじゃあ、かんぱーい」
「「「「「かんぱーい」」」」」
レイラとノイリは抱き合って再開を喜んでいる。
それにしてもノイリ以外は全員嫁だもんな…。レイラは俺の子を身篭っているし、まだ20歳になったばかりだというのにすでに大所帯だ。
□
用意された食事もほとんどたいらげ、宴も盛り上がっている。カラルもいい具合に酔っているようで、色っぽくこちらにすり寄ってきた。
「アキト様お願いしたいことがあるんだけど……」
「どうしたの?」
「実はね……」
カラルはルーミエとユウキのことを、話し始める。
俺がカムラドネの家に戻っているときにあった対決のことやエソルタ島の復興のために強さを欲しているということを聞いた。
侵略により故郷を占領されて、自分たちが戦うこともできなかったことを後悔しているのだろうか。考えて出した結果であるなら俺は全力でサポートしよう。
「ルーミエもユウキも自分自身が強くなりたいって思っているんだね。そうなってくると厳しい修行することになるだろう。長い辛い道のりになると思うけど応援するよ」
「それでね、その強くなることなんだけれどね」
ソファの背もたれと俺の間に座って入ってきたルーミエが俺の首に手を回し耳元で囁いた…。
「アキトの強さをカラルは共有しているのでしょう?」
「カラルが話したの?」
「ええ」
”契りの寝具”のことを話したようだ。悪魔族と番(つが)いになるには、そのベッドでアレをおこなう。悪魔族ならではの宝具だ。
「……あれは番(つが)い契約した者同士じゃないと使えないんじゃなかったっけ?」
「ええ、ですので別の宝具があるの」
「そうなの、それって?」
「”側室(そくしつ)の寝具”っていうの」
えらいド直球なネーミングの宝具だな。やっぱりアレをすることになるのかな?ドキドキしている俺にカラルが宝具について説明してくれる。
「使い方が少し違って、同時契約が可能なの。
初回契約時にまたは契約更新時に全員同時にベッドに乗らないと複数の関係が認められないわ。あっ!でもアレはしなくても軽くスキンシップするだけで大丈夫よ。それ以降は個別で関係を持ってもらえればいいから……」
作った奴の趣味なのだろうか、まったくどういう感覚をしているんだか。だが男にとってはうれしい限りだ。
ユウキが俺の手を取り、うるんだ瞳で懇願する。
「お願いね、お兄ちゃん」
「私に力を頂戴!」
ルーミエもお酒のせいか、頬を赤くして言っているが、なんだかすごいセリフだ。
「じゃあ今回の契約はルーミエとユウキってことになるのか」
「いいえ、私も参加するわ」と、レイラも入ってきた。
「え?先代も参加されるのれふか?わらしもなんだかわからないけれど参加する~」
例によって酒に弱く、すでにベロベロのノイリも参加することになった。
はい、四名様からご指名いただきました~。
「「「おかえりなさいませ、ご主人様」」」
「ただいま、皆さん。長い間ほったらかしにしておいてすいませんでした」
「ほんとうですわ、雇われたと思ってこちらのお屋敷に異動したものの、まったくの放置ですし……」
「お給料は出るから、毎日きっちりお屋敷をみがかせていただきましたよ。ご主人様のお部屋は面白いことになっていますわね……ふふふ」
確か俺の部屋は嫁たちの部屋とつながっていたんだっけ……。
彼女たちにしどろもどろになりながら部屋の説明をして、ようやく本題にたどり着き、イドンにある賃貸住宅に来てほしいことを告げる。
「まぁ、カガモン帝国領の高級リゾート地ですか?憧れの地ですけど、とても遠いところですわね、ここから何日かかるのでしょうか?」
「そんなにはかからないよ。このことはできるだけ秘密にしてほしいんだけれど、俺の魔法ならすぐにつくよ」
「じゃあ、何か実家で緊急事態があったら?」
「屋敷を通して連絡をもらえるように手配するよ」
「もともと住み込みの身ですが、実家にも連絡しておきたいのと、身支度を整えたいので少しお時間をください」
「わかった、明日の朝に出発するから、準備をしておいてね」
そう伝えると三人のメイドさんはそれぞれ準備に取り掛かった。
□
庭で待っているとノイリが笑顔いっぱいで出てきた。
「お待たせしました、アキトさん」
「それじゃあ行くよ」
箱魔法を展開して、その中に乗ってもらう。異世界転移魔法陣……発動。
赤く輝く魔法陣を箱魔法で潜り抜け、そして魔人の世界をから魔法陣を通り、こちらの世界のイドンに戻ってくる。今回も特に何事もなく無事に到着した。
「はい、到着したよ」
玄関を入って帰ったことを告げるとみんな出てきた。ノイリを連れてくることは伝えていなかったのでちょっとしたサプライズイベントになった。
食事はすでに準備が整っていて、ユウキが始まりの音頭をとった。
「それでは明日からのエソルタ島奪還に向けて、景気づけで豪勢なお料理やお酒も用意したよ。それではサプライズゲストのノイリから一言お願いね!」
「えっ!あっ、はい。今日は皆さんとお会いできて本当にうれしいです。
先代の時には旅行なんて考えられなかったのですが、アキトさんのおかげでここに来ることができました。これからも皆さんのところへちょくちょく来ちゃいますがよろしくお願いしますね。それじゃあ、かんぱーい」
「「「「「かんぱーい」」」」」
レイラとノイリは抱き合って再開を喜んでいる。
それにしてもノイリ以外は全員嫁だもんな…。レイラは俺の子を身篭っているし、まだ20歳になったばかりだというのにすでに大所帯だ。
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用意された食事もほとんどたいらげ、宴も盛り上がっている。カラルもいい具合に酔っているようで、色っぽくこちらにすり寄ってきた。
「アキト様お願いしたいことがあるんだけど……」
「どうしたの?」
「実はね……」
カラルはルーミエとユウキのことを、話し始める。
俺がカムラドネの家に戻っているときにあった対決のことやエソルタ島の復興のために強さを欲しているということを聞いた。
侵略により故郷を占領されて、自分たちが戦うこともできなかったことを後悔しているのだろうか。考えて出した結果であるなら俺は全力でサポートしよう。
「ルーミエもユウキも自分自身が強くなりたいって思っているんだね。そうなってくると厳しい修行することになるだろう。長い辛い道のりになると思うけど応援するよ」
「それでね、その強くなることなんだけれどね」
ソファの背もたれと俺の間に座って入ってきたルーミエが俺の首に手を回し耳元で囁いた…。
「アキトの強さをカラルは共有しているのでしょう?」
「カラルが話したの?」
「ええ」
”契りの寝具”のことを話したようだ。悪魔族と番(つが)いになるには、そのベッドでアレをおこなう。悪魔族ならではの宝具だ。
「……あれは番(つが)い契約した者同士じゃないと使えないんじゃなかったっけ?」
「ええ、ですので別の宝具があるの」
「そうなの、それって?」
「”側室(そくしつ)の寝具”っていうの」
えらいド直球なネーミングの宝具だな。やっぱりアレをすることになるのかな?ドキドキしている俺にカラルが宝具について説明してくれる。
「使い方が少し違って、同時契約が可能なの。
初回契約時にまたは契約更新時に全員同時にベッドに乗らないと複数の関係が認められないわ。あっ!でもアレはしなくても軽くスキンシップするだけで大丈夫よ。それ以降は個別で関係を持ってもらえればいいから……」
作った奴の趣味なのだろうか、まったくどういう感覚をしているんだか。だが男にとってはうれしい限りだ。
ユウキが俺の手を取り、うるんだ瞳で懇願する。
「お願いね、お兄ちゃん」
「私に力を頂戴!」
ルーミエもお酒のせいか、頬を赤くして言っているが、なんだかすごいセリフだ。
「じゃあ今回の契約はルーミエとユウキってことになるのか」
「いいえ、私も参加するわ」と、レイラも入ってきた。
「え?先代も参加されるのれふか?わらしもなんだかわからないけれど参加する~」
例によって酒に弱く、すでにベロベロのノイリも参加することになった。
はい、四名様からご指名いただきました~。
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