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第2章
第135話 フロアボス
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赤、白、黒の3体のドラゴンを相手にぎりぎりの戦力で戦っている冒険者たち。命のせめぎ合い、生きるか死ぬか人とモンスターの真剣勝負を目の当たりにする。
極私的絶対王国(マイキングダム)を発動している俺が「絶命」と、命じるだけで一気にこの戦いを終わらせることができるが、そんな無粋なことはしたくない。ルーミエとユウキをサポートするだけだ。
ルーミエとユウキは俺が作った障壁に身を隠し、ブレスをやり過ごす。すぐさま直上から、赤いドラゴンの踏みつぶし攻撃が来るが、よけた。
その間にまた空気が部屋の奥に向かって流れていく。
「第2波が来るぞ!」と、空気の流れを感じ取った者が大声で叫ぶ。
他の冒険者たちはブレスの第2波に備えて後退したり、盾に隠れたりしている。
連続でブレス攻撃されると反撃する時間がない。それに先ほどのブレスで魔法使いたちはほとんどやられてしまった。
次のブレスが来るまでの短い時間の中でも、赤いドラゴンに立ち向かおうとする。
「ルーミエ、足止めお願い!」
ユウキが叫び、少し後退する。
「わかった」
そう答えるとルーミエは赤いドラゴンの足下に向かい、細かく二刀流で切りつける。じたばたと赤いドラゴンはその場でスタンピング攻撃をするが、ルーミエは踊るかのような動きでひらりとかわし、切り刻んでいく。
「美しい……」
俺の隣にいる男がぽつりとつぶやく。
「ああ、まるでドラゴンと踊っているようだな……」
その隣いる男も同調する。
いつの間にか、俺が身を隠している障壁に数人の冒険者たちが、次のブレス攻撃から身を守るために集まり、その勇姿を傍観している。
次のブレス攻撃までの時間があまりないこの状況で、赤いドラゴンに攻撃を行うような強気の冒険者はあの2人しかいないようだ。
少し後退したユウキはアイテムボックスから大きな弓をだす。矢は矢尻以外が円すい状の金属で作られていて、ランスの小型版でユニコーンの角のように尖っている。弦は太く5本は束ねてあるな……。いつの間にあんな武器を扱えるようになったんだろう。
ユウキは息を吐き出し、吸い込む瞬間に弦をひく。ギリギリと引き絞った弦はとても重そうだが、歯を食いしばり目一杯引き、そして照準を合わせ放つ。
矢は目に見えぬ速度で射出され、赤いドラゴンの頭部を貫通し、天井に突き刺さる。
「よっし!」
ユウキが小さく叫ぶ。赤いドラゴンは頭から大量の血を流し、前のめりで倒れる。
おそらく、2人にドロップのほとんどが行ったはずだ。
ルーミエとユウキはさっき俺が設置した障壁に隠れ、第2波のブレス攻撃に備える。
衝撃波の後に炎の波が襲ってくる。
ブレスが通り過ぎたあと、冒険者たちは一斉に飛び出し、部屋の奥にいる白と黒とのドラゴンに向かっていく。
ユウキが振り返り
「おにーちゃーん!あれ取ってー!」
と、先ほどドラゴンの頭を射貫いても勢いは衰えず天井に突き刺さった矢を指さした。極私的絶対王国(マイキングダム)でぐらぐらと揺すり、下に落としてやる。
「ありがとー」
周りを見渡すと俺たち以外は次のドラゴンへ向かったようだ。
壁際には恐怖でうずくまっている者や、負傷して横たわっている者もいるが、フロアボス戦が終われば、介抱されるはずだ。
と、思っていた矢先、赤いドラゴンが倒されたと分かった今、宿場町の方から支援部隊がこちらに向かってきている。
俺たちも黒と白のドラゴンへ走って向かう。およそ100人ほとんどが前衛で、後衛の魔法使いがいない。ほそぼそと攻撃魔法を繰り出し、回復魔法をかけて回っている魔法使いが数人残っている。
「今回の討伐はやばいな……」
ぼそぼそと今回の討伐を危惧する冒険者たちの声が聞こえる。
「ここで倒せなかったらどうなる?」
「扉を閉めても宿場町の方にも攻めてくるから、被害は甚大だぞ!」
「あーあ、始末書ものだな……」
いかにもカンパニーらしい。
「後衛がいなけりゃ、難しいだろう!」
喧嘩にまで発展しているところもある。
今回の戦略として魔法、弓矢での遠距離、中距離攻撃から、ひるんだところへ前衛の近接攻撃の繰り返し、お互いの連携をとりながら、相手を弱らせていくのが攻略パターンだったようで、どちらか一方が破綻すると、倒すことが難しくなってしまうようだ。
黒と白のドラゴンは先ほどの赤のドラゴンよりも少し大きいように感じる。
25mくらいある4足歩行で攻撃方法はブレス攻撃前足での薙ぎ払い、尻尾での振り払いだ。
体躯が大きく、2体いることによりお互いをカバーする動きを取っていて、攻めにくそうだ。ただ先ほどのブレス攻撃はまだない。
少し離れて作戦を考える者、攻撃参加して足止めをしている者に別れている。
そんなことをしている間に、壁からケルベロスのようなモンスターやグリズリーと虎を会わせたようなモンスターが壁からぞろぞろと出現する。その数およそ200体。
ブレス攻撃をしないと思ったらこういうことだったのか……。
「全員待避ーー!」
それを聞いた冒険者たちは一目散に撤退していく。ある者は怪我を負った者を背負い、ある者は後ろも振り返らず扉へ走って逃げる。
扉を閉めることで一時的に時間は稼げるはずだ。戦力が整ってから、扉を開けて討伐を再開するのだろう。壁際に立ち、逃げる冒険者たちを襲うモンスターを倒す。
「あ、ありがとう。あんたたちも早く撤退した方がいいぞ!」
礼をいいながら、後退する冒険者。俺は逃げるつもりは全くなかった。
極私的絶対王国(マイキングダム)を発動している俺が「絶命」と、命じるだけで一気にこの戦いを終わらせることができるが、そんな無粋なことはしたくない。ルーミエとユウキをサポートするだけだ。
ルーミエとユウキは俺が作った障壁に身を隠し、ブレスをやり過ごす。すぐさま直上から、赤いドラゴンの踏みつぶし攻撃が来るが、よけた。
その間にまた空気が部屋の奥に向かって流れていく。
「第2波が来るぞ!」と、空気の流れを感じ取った者が大声で叫ぶ。
他の冒険者たちはブレスの第2波に備えて後退したり、盾に隠れたりしている。
連続でブレス攻撃されると反撃する時間がない。それに先ほどのブレスで魔法使いたちはほとんどやられてしまった。
次のブレスが来るまでの短い時間の中でも、赤いドラゴンに立ち向かおうとする。
「ルーミエ、足止めお願い!」
ユウキが叫び、少し後退する。
「わかった」
そう答えるとルーミエは赤いドラゴンの足下に向かい、細かく二刀流で切りつける。じたばたと赤いドラゴンはその場でスタンピング攻撃をするが、ルーミエは踊るかのような動きでひらりとかわし、切り刻んでいく。
「美しい……」
俺の隣にいる男がぽつりとつぶやく。
「ああ、まるでドラゴンと踊っているようだな……」
その隣いる男も同調する。
いつの間にか、俺が身を隠している障壁に数人の冒険者たちが、次のブレス攻撃から身を守るために集まり、その勇姿を傍観している。
次のブレス攻撃までの時間があまりないこの状況で、赤いドラゴンに攻撃を行うような強気の冒険者はあの2人しかいないようだ。
少し後退したユウキはアイテムボックスから大きな弓をだす。矢は矢尻以外が円すい状の金属で作られていて、ランスの小型版でユニコーンの角のように尖っている。弦は太く5本は束ねてあるな……。いつの間にあんな武器を扱えるようになったんだろう。
ユウキは息を吐き出し、吸い込む瞬間に弦をひく。ギリギリと引き絞った弦はとても重そうだが、歯を食いしばり目一杯引き、そして照準を合わせ放つ。
矢は目に見えぬ速度で射出され、赤いドラゴンの頭部を貫通し、天井に突き刺さる。
「よっし!」
ユウキが小さく叫ぶ。赤いドラゴンは頭から大量の血を流し、前のめりで倒れる。
おそらく、2人にドロップのほとんどが行ったはずだ。
ルーミエとユウキはさっき俺が設置した障壁に隠れ、第2波のブレス攻撃に備える。
衝撃波の後に炎の波が襲ってくる。
ブレスが通り過ぎたあと、冒険者たちは一斉に飛び出し、部屋の奥にいる白と黒とのドラゴンに向かっていく。
ユウキが振り返り
「おにーちゃーん!あれ取ってー!」
と、先ほどドラゴンの頭を射貫いても勢いは衰えず天井に突き刺さった矢を指さした。極私的絶対王国(マイキングダム)でぐらぐらと揺すり、下に落としてやる。
「ありがとー」
周りを見渡すと俺たち以外は次のドラゴンへ向かったようだ。
壁際には恐怖でうずくまっている者や、負傷して横たわっている者もいるが、フロアボス戦が終われば、介抱されるはずだ。
と、思っていた矢先、赤いドラゴンが倒されたと分かった今、宿場町の方から支援部隊がこちらに向かってきている。
俺たちも黒と白のドラゴンへ走って向かう。およそ100人ほとんどが前衛で、後衛の魔法使いがいない。ほそぼそと攻撃魔法を繰り出し、回復魔法をかけて回っている魔法使いが数人残っている。
「今回の討伐はやばいな……」
ぼそぼそと今回の討伐を危惧する冒険者たちの声が聞こえる。
「ここで倒せなかったらどうなる?」
「扉を閉めても宿場町の方にも攻めてくるから、被害は甚大だぞ!」
「あーあ、始末書ものだな……」
いかにもカンパニーらしい。
「後衛がいなけりゃ、難しいだろう!」
喧嘩にまで発展しているところもある。
今回の戦略として魔法、弓矢での遠距離、中距離攻撃から、ひるんだところへ前衛の近接攻撃の繰り返し、お互いの連携をとりながら、相手を弱らせていくのが攻略パターンだったようで、どちらか一方が破綻すると、倒すことが難しくなってしまうようだ。
黒と白のドラゴンは先ほどの赤のドラゴンよりも少し大きいように感じる。
25mくらいある4足歩行で攻撃方法はブレス攻撃前足での薙ぎ払い、尻尾での振り払いだ。
体躯が大きく、2体いることによりお互いをカバーする動きを取っていて、攻めにくそうだ。ただ先ほどのブレス攻撃はまだない。
少し離れて作戦を考える者、攻撃参加して足止めをしている者に別れている。
そんなことをしている間に、壁からケルベロスのようなモンスターやグリズリーと虎を会わせたようなモンスターが壁からぞろぞろと出現する。その数およそ200体。
ブレス攻撃をしないと思ったらこういうことだったのか……。
「全員待避ーー!」
それを聞いた冒険者たちは一目散に撤退していく。ある者は怪我を負った者を背負い、ある者は後ろも振り返らず扉へ走って逃げる。
扉を閉めることで一時的に時間は稼げるはずだ。戦力が整ってから、扉を開けて討伐を再開するのだろう。壁際に立ち、逃げる冒険者たちを襲うモンスターを倒す。
「あ、ありがとう。あんたたちも早く撤退した方がいいぞ!」
礼をいいながら、後退する冒険者。俺は逃げるつもりは全くなかった。
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