チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號

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第2章

第百五十八話 道中

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 昼前には嫁たちが全員そろい、それぞれの役割を確認する。ノイリは引き続き情報の精査を行う。レイラは絶対安静でノイリのサポート。ルーミエとカラルはカムラドネで二日待機。ユウキは俺と一緒に箱魔法で現地に向かう。

 二人の旅行ということを優先してくれたようで、カラルとルーミエはあとから転移魔法陣で呼び寄せることになった。

 みんなに見送られる中、俺とユウキはオルビア共和国のフォーマントを目指す。



 箱魔法で高速でぶっ飛ばしながらの移動ではあるが、昔のように集中しないと速度が落ちたりすることもなく、ユウキと二人でくつろぎながら他愛のない会話をしている。

 遠くの景色を眺めながら、腕を組んでくるユウキ。

 冒険者として生きると決めた時に、動きやすさや生活のこと考えて長かった髪をルーミエと一緒にバッサリと切ったと聞いている。今もショートの髪をなでる。

「小さいときからおしとやかにしなさいって、長いのが当たり前だったんだけど……冒険者になるって決めて、切ったらとっても楽で気に入っちゃった。お風呂のあとも乾かすのが楽だからね」

 ショートカットの水色の髪が光に反射してとてもきれいだ。

「……んふふふ、何だか緊張するね」

「明後日には異世界からの侵略が来るもんな。現地の方も今頃は大慌てだろうね」

「……そうじゃなくて……お兄ちゃんと二人きりなんてほとんどなかったから何話したらいいかなんて思いつかなくて……」

 顔をのぞき込んだら赤くなっていて、何だかいつもの元気いっぱいのユウキでなくドキドキしてしまう。

 嫁とはいえどうしても四人の嫁のうちの一人としてしか時間が割けない、それにルーミエと一緒にいることも多かったから二人きりの時間なんてあまり記憶がないな……。

「いつも通りってのも難しいから箱魔法を練習してみる?……これから箱魔法を生成するから腕を組んだままで集中してみて。多分何か感じられると思うから」

「うん……」

 そして手のひらに収まる箱をゆっくりと生成してみる。

「あ、なんか伝わってくるよ!もう一回!」

 何かを感じ取っているようで、うんうんとうなりながら箱を作り出そうとしている。

 俺にくっついては感覚を読み取り、作りだそうとすることを何度も繰り返す。

 そして日の沈む頃、夕食の準備を始める俺の横で

「あ……う……ぁあん」

 と、なまめかしい声を出しながら頑張っているユウキの手のひらに小さな箱ができていた。

「やったーーー!できた!!うわーきれいー」

 ガラスのような箱を透かし見ている。

「お兄ちゃん、ありがとぉ」

「おめでとう、俺しか使えなかった魔法を使える唯一の存在だよ。やっぱり俺も嬉しいよ」

 分析能力でユウキのステータスを確認する。

◇ ◇ ◇
ユウキ Lv922 HP3250/MP1356
強さ:1503 守り:1106 器用さ:1050 賢さ:983 魔法威力:10 ボーナス:222
◇ ◇ ◇

 ”魔法威力”の項目が追加されたことを確認し、ボーナス分をすべて魔法威力に割り当てる。

「それとこれは俺からの贈り物だよ」

 手を取り抱き寄せ、おでこにキスをする。

「さあ、このくらいのものを出してごらん」

 そう言って一メートル四方の箱を展開する。

「そんなに大きいのはさすがに無理だよ~」って言いながら箱魔法を展開させると同じものがすぐにできた。

「どうして?え!?お兄ちゃん何したの?」

 慌てふためいているユウキに説明をする。

「俺の能力の一つで人の強さをコントロールできる力だよ」

「……うわ~、すごすぎて若干引いてしまうわ~」

「あははは!そうだよな。普通そうななるよな!」

「人には言えないことだけど、言ってもそんな話あるかって笑われて終わりだもんね」

「今なら変形や乗ることもすぐできるはずだよ」

「お兄ちゃんの魔法ってほんと楽しいね!」

 夕食を食べながらも、新しいおもちゃをもらった子供のようにずっとはしゃいで、箱魔法の形を変えたり、移動させたりして遊んでいた。
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