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第3章 偽りの王
ラックの過去2
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ラックとジョイフルは久々の再会を懐かしんでいた。
「ったく、長い散歩だったなラック。
何年ぶりだよ、おい」
「お前も相変わらず変わってないな、ジョイフル。
まだこんな汚い所で仕事してるのかよ」
「阿呆、これは仕事のひとつ。
俺がどれだけ成り上がったか、お前が聞いたらチビッちまうぜ」
受付にいた男は目を白黒させていた。
貧困街一帯の裏の組織を取り締まるジョイフルが、こんなにも打ち解けた様子で人と話すところなどこれまで見たことがなかったからだ。
そもそもジョイフルの過去は謎に包まれている。
彼が一帯の権力を手にした時、大規模な粛清が行われ、彼の過去を知るものがいなくなった。
それは彼の冷淡さを知らしめ、部下の忠誠を一層強いものとした。
だからこそ、笑い合う二人が信じられなかった。
ジョイフルの過去は知ってはいけない。
それがこの街の暗黙の了解なのだから。
だが、男は聞かずにはいられなかった。
「ジョイフルさん、そちらはどなたなんですか?」
「おお、そうかお前らは知らないか。
こいつは俺の幼馴染、つまりお前らの先輩でもあるってわけよ」
「先輩、ですか」
もしかしてこいつもヤバイやつなんじゃないか。
そんな心配が男の脳裏を薄っすらと過ぎった。
ラックはそんな事を思われてるとは露知らず、ジョイフルとの再会を懐かしんでいた。
ここに居た頃の思い出なんて、大半が吐いて捨てたい物だが、唯一といっていい楽しかった思い出は全てジョイフルとのことだ。
「もうこの街からは足を洗ったんだ。
今日は客としてきたんだ」
「なんだ、今はカタギになっちまったのか?」
「はっ、俺がまともな仕事に就けると思ってんのか。
今は何でも屋、としか言いようがないかな」
「ふーん・・・」
ジョイフルは探るような目でラックを見つめた。
「深くは聞かないよ。
いくら幼馴染とは言え、自らの手の内を見せるわけにはいかないもんナ。
とりあえず今はお前が帰ってきたことを喜ぼう!!」
大きく手を広げラックを迎え入れる様、大仰に振る舞った。
「さあ、懐かしむのもこれくらいにしよう。
お前も懐かしむためだけにここへ来たのではないだろう?
ラックよ、そろそろ商売の話にでも移ろう!」
「ああ、そうだな。
何かんたんな話さ、俺と仲間を中央大陸へ渡して欲しい」
「・・・中央大陸ねぇ。
今がどんな状況だか知ってるのか?」
「勿論さ、だからこそお前に頼んでいる。」
ジョイフルは考え込むようにして数秒の間頭を伏せた。
「わかった、整えてやる。
ただ金はあるんだろうな、この時期だ、だいぶ高くつくぜ」
「ったく、長い散歩だったなラック。
何年ぶりだよ、おい」
「お前も相変わらず変わってないな、ジョイフル。
まだこんな汚い所で仕事してるのかよ」
「阿呆、これは仕事のひとつ。
俺がどれだけ成り上がったか、お前が聞いたらチビッちまうぜ」
受付にいた男は目を白黒させていた。
貧困街一帯の裏の組織を取り締まるジョイフルが、こんなにも打ち解けた様子で人と話すところなどこれまで見たことがなかったからだ。
そもそもジョイフルの過去は謎に包まれている。
彼が一帯の権力を手にした時、大規模な粛清が行われ、彼の過去を知るものがいなくなった。
それは彼の冷淡さを知らしめ、部下の忠誠を一層強いものとした。
だからこそ、笑い合う二人が信じられなかった。
ジョイフルの過去は知ってはいけない。
それがこの街の暗黙の了解なのだから。
だが、男は聞かずにはいられなかった。
「ジョイフルさん、そちらはどなたなんですか?」
「おお、そうかお前らは知らないか。
こいつは俺の幼馴染、つまりお前らの先輩でもあるってわけよ」
「先輩、ですか」
もしかしてこいつもヤバイやつなんじゃないか。
そんな心配が男の脳裏を薄っすらと過ぎった。
ラックはそんな事を思われてるとは露知らず、ジョイフルとの再会を懐かしんでいた。
ここに居た頃の思い出なんて、大半が吐いて捨てたい物だが、唯一といっていい楽しかった思い出は全てジョイフルとのことだ。
「もうこの街からは足を洗ったんだ。
今日は客としてきたんだ」
「なんだ、今はカタギになっちまったのか?」
「はっ、俺がまともな仕事に就けると思ってんのか。
今は何でも屋、としか言いようがないかな」
「ふーん・・・」
ジョイフルは探るような目でラックを見つめた。
「深くは聞かないよ。
いくら幼馴染とは言え、自らの手の内を見せるわけにはいかないもんナ。
とりあえず今はお前が帰ってきたことを喜ぼう!!」
大きく手を広げラックを迎え入れる様、大仰に振る舞った。
「さあ、懐かしむのもこれくらいにしよう。
お前も懐かしむためだけにここへ来たのではないだろう?
ラックよ、そろそろ商売の話にでも移ろう!」
「ああ、そうだな。
何かんたんな話さ、俺と仲間を中央大陸へ渡して欲しい」
「・・・中央大陸ねぇ。
今がどんな状況だか知ってるのか?」
「勿論さ、だからこそお前に頼んでいる。」
ジョイフルは考え込むようにして数秒の間頭を伏せた。
「わかった、整えてやる。
ただ金はあるんだろうな、この時期だ、だいぶ高くつくぜ」
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