おいでよ、最果ての村!

星野大輔

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第3章 偽りの王

王の企み1

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ジョイフルは再びローミン王の前に跪いていた。
本日の成果を報告するためだ。

「というわけで、無事誘い出すことに成功しました。」
「随分と仕事が早いな」

優秀な部下として長年いろんな事を依頼してきたローミン王だが、今回の件は少なくとも一週間近く掛かると予想していた。
それが僅か一日にして成果を挙げたジョイフル。

「こちらとしても予想外のことが起こりましてね。
 向こうからノコノコとやって来てくれたんですよ」

ジョイフルはラックとの関係をローミンに語る。
それを聞いたローミンは邪悪な笑みを浮かべる。

「くっくっくく、幼馴染をも利用するか」
「そんな清い関係は遠い昔に終わっていますよ。
 お互い闇に生きる大人同士、騙される方が悪いのです。
 多少顔なじみだからと言って、油断する奴は、どちらにせよこの世界で生きていけません。」

ラックに見せていた明るい笑みは微塵も感じさせない、表情が消え失せたジョイフル。
これが今の彼の姿。
利があれば、どんな相手だろうと手にかける。

「それで、どういう手筈になったのだ?」
「やつらは中央大陸へ渡るために、俺の所へと訪ねてきました。
 こちらはその依頼を受けました。
 明後日、彼らを乗せた馬車が北の森を通過します。
 そこで子供だけを乗せた馬車は別方向へ進むよう計画しています。
 あとは、ローミン様のお好きなように」
「そうか、よくやってくれた」

ローミンは慎重な男である。
かつては魔王として絶対的な力を持っていながらも、決して真正面から戦うことはしなかった。
相手を調べ上げた上、万全の準備を整え戦に挑む。
およそ魔王らしくない行動だが、その強さは世界を恐怖に陥れた。

それは今でも変わらない。
まずは相手の分析。

ローミンはちーちゃんの力を測るべく、一つの計画を立てていた。

それを行うためには、ちーちゃんを街の外へ連れ出す必要がある。
だからこそジョイフルに頼み、彼らが街の外へいくよう手筈を整えてもらったのだ。
当初の予定であれば、何かしら適当な依頼をラックたちへ受けてもらい、連れ出す予定であったが、ラック自らが動いてくれたことで、その手間が省けた訳だ。

「さて、村人の力を見せてもらうとしようか」

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