おいでよ、最果ての村!

星野大輔

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第3章 偽りの王

はかりごと

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門の外では馬車が二台待機していた。
小男は手前に控えていた馬車へと近づくと、二言ほど言葉を交わしアリスたちの元へと戻ってきた。

「お三方、これからの計画をお伝えします。
 時間もないので手短に」

アリスたちはコクリと頷く。

「大人の二人は手前の馬車へ乗り込んでください。
 そちらのお嬢さんは奥の小さな馬車へ」
「おいおい、どういうことだ。」

小男の言葉を聞き、ラックがぐいっと詰め寄る。
男は焦ることなく、両手でラックを制し説明を続ける。

「説明はまだ途中ですよ。
 私達がまず目指すのは北にある海辺の街モモチです。
 こちらの街から中央大陸へ渡航していただく予定です。
 しかしながら、ハッカータより北の地には関所が設けられて身分証明が必要です。
 はい、こちらがご用意した仮の身分証明です。」

差し出されたのは二枚の証明書。

「一枚足りないが」
「ええ、そうなんです。
 このご時世、戦地となり得る北部へ子供がいく理由などありませぬ。
 人が定住する街はありませんからね。
 子供が関所を通り抜けられる証明書自体が存在しないのですよ。
 そこでお嬢さんだけは、森の中を迂回していただく事になります」
「関所を抜けなくてもモモチへ至る道があるのなら、全員でそこを通ればいいではないか」
「そうは行きませんよ、お姉さん。」

小男はチッチッチと、口の前で指を振る。

「船に乗る為には、これまた身分証明が必要です。
 ただ証明書があればいいというわけではなく、関所の印が必要になります。
 つまり、関所をスルーしてしまうと船に乗れません。」
「うーむ・・・しかし、ちーちゃんを一人にするのは心配だ。」
「そこは私どもを信用して頂きたいです。
 闇の人間とはいえ、信用が第一です。
 お金を貰っている以上完璧な仕事をお見せいたしましょう。」
「アリス、ここはおとなしく言うことを聞いておこう。
 ちーちゃん、ひとりで大丈夫か?」

相変わらず寝ぼけ眼なちーちゃんは、問われたままにコクリと頷く。

「はは、この分だったら、起きた頃には海の街だな」





数刻進んだ所で、二台の馬車は行く道を別れた。
片方は関所へ向け。
もう片方は深い森の中へと。

その様子をはるか上空から眺める姿があった。

ローミン王とマッキーである。
二人は何もない空中に佇み、眼下を見下ろす。

「ようやく来たようだな」
「ええ、思ったより待ちましたね」

何気ない顔をしているが、二人の体は若干震え気味である。
それもそうであろう。
冷たい風が吹き荒れる上空である。
いくら魔族といえど、寒いものは寒い。

しっかり者の性格が災いし、予定の時間よりもだいぶ前に到着していた二人は、数時間もの間つめたい風に吹きさらされていた。

「・・・お前の上着暖かそうだな」
「・・・貸しませんよ。
 だから出る前に厚着したほうが良いといったじゃないですか。
 って、ちょっと、私の後ろに隠れて風をやり過ごすのはやめてください!!」

ワチャワチャとはしゃぐ二人の策略に嵌められたちーちゃんは、森の奥へと運ばれていった。





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説明ばかりになってますねなんか。
次回はちーちゃんあばれます。
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