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魔道師、現る

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ひろしは、大好きアイドル加藤アイリを追いかける日々を過ごしていた。

あれから、必死に買い漁りまくった、アイリのグッズやDVDなど。

PCに映るアイリを眺めては、あの日の笑顔、あの時の感触を、思いだしていた。

(アイリの身体、細かったなぁ~。良い香りもしてたぁ~。はぁ~、アイリぃ~。)

オタクきも男ひろし

こいつはいつもこう思っては、絶対忘れないよう、頭に焼きつけていた。

(アイリぃ~ずっと大好きだよぉ~アイリぃ~アイリ~)



その時

「我は大魔道師カナ・エール」

カナ・エールが現れる。

ドキぃ~!とした、ひろし
カナ・エールを、また来たの?顔で質問する。

「なにをしに来たのですか?」


大魔道師カナ・エールは答えた。

「我は、人の辛く、苦しむことを望む」


ひろしは、それを聞いて言う。


「知ってますよ。」

「2回目ですよ。」

「さんざん苦しみましたよ。」

「またですか?」

大魔道師は答える


「そう」


(いや、そうってぇ~)

ひろしは愕然とした。また苦しむのは、ごめんだ。

こいつの恐ろしさは命に感じているが、あの日、あの時の辛い日々を思いだし、カナ・エールに言う。

「また、アイドルになるんですか?」


大魔道師カナ・エールは答えた。

「我は、お前のそばで、苦しむ姿を見ててやろう」


ひろしは意味がわからない。

「どういう事ですか?」


カナ・エール

「……。ここで暮らす。」


ひろしは驚いた。なにいってんだこいつ。迷惑すぎるだろと思いカナ・エールに反抗する。

「冗談じゃないですよ。帰ってください。」

その反抗的な態度にカナ・エールは腹が立ち、纏っていた黒いマントをひろしに向かってぶんなげた。

ばっさぁ~


ひろしに当たると同時にマントは消える。

マントを脱いだカナ・エールを見たひろしは驚き叫ぶ。


「お前、ひょっとして女?」



大魔道師カナ・エールは答えた。

「誰が、男だと言った?」


ひろしは心の中でひとりごとを言う。

(ずっとマントに包まれてたから、気づかなかった。う~ん。だけど、吐き捨てられた時、口元、見えたけど、女とは気づかなかった。まぁそうだよな、目は鋭いし、声はなんか変だし、そもそも自分のこと、我とか言うし、あまり胸も大きくないし。)


カナ・エールはキレた。

「…。全部聞こえてるぞ、お前。」


大魔道師は、人の心の声を聞く事ができる。


ひろしは驚き、そして困った。
こんな心の声も聞こえてしまう闇の使者と一緒に暮らすのは、本当に嫌だ。お願いして帰ってもらうのが一番と思い、ひろしはお願いする。


「ほんとに帰ってもらえませんか?お願いします。」




大魔道師カナ・エールは、にやけ顔で答える。


「それが、お前の願いかな?」



ひろしは、あっ!と、思う。

(こいつに願い事を言ったら、また、辛い、苦しい日々にされる。
いや、まて、そもそも、こいつは、願ってもいないのに、女にしやがったあげく、さんざん苦しい道を、道しるべぇ~とか言ってあたえてきやがったんだった。しまいの果てには、ひとのこと、きんもちわるぅ、くさいし、とか吐き捨てて消えるし、ほんと性悪女だな。あっそうか、こいつ女だからひとのこと、きも、とか、くさい、とか、言うんだな。自分だってたいしたつらしてないくせに。…はぁ。言う事聞くしかないか…。)


ひろしはあきらめた。


大魔道師カナ・エールは、心の声は、聞こえてると言っているのに、いいだけ、くっちゃべるこいつにほんと腹がたつが、とりあえず、こう呼べと、ひろしに言う。


「今日から、我のことは、カナ様と呼べ。」
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